公的年金の受給額は、現役時代の働き方や加入してきた年金制度によって大きく変わります。2026年度の最新データによれば、厚生年金の平均月額は男性が約16万9000円、女性が約11万1000円と、男女間で約6万円もの差が生じています。

この格差の背景には、出産・育児などのライフイベントに伴う離職や、専業主婦、パートタイム、フリーランスといった女性ならではの多様な選択が影響しています。

本記事では、代表的な5つのライフコース別に年金受給額のイメージを整理しました。会社員か自営業か、共働きか片働きかによる違いを把握し、ご自身の将来に向けた老後資金計画のヒントを見つけていきましょう。

なお、公的年金の仕組みや平均受給額、ライフコース別の年金額に関する詳しい解説は、下記の記事より一部を引用・参照しています。

【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?
【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル
【2026年最新】60歳~89歳の年金一覧表!年代別の平均受給額と「手取り・非課税世帯」のリアル!年金口座の「凍結リスク」とは?
【2026年最新】60歳~89歳の年金一覧表!年代別の平均受給額と「手取り・非課税世帯」のリアル!年金口座の「凍結リスク」とは?
ココがポイント
  • 2026年度の国民年金は満額で月7万608円。ただしライフコース別に見ると月6万円台から17万円台まで幅がある

  • 厚生年金の平均月額は男性16万9967円、女性11万1413円と、男女で5万円以上の差がある

  • 「1.9%増」の案内なのに手元の通知と増え方が違うのは、再評価率の違いと端数処理という2つの理由による

1. まずは基本をおさらい。公的年金の「2階建て構造」と2026年度の受給額

まずは公的年金のしくみからみておきましょう。

公的年金制度は、しばしば「2階建て構造」に例えられます。これは、日本の年金制度が「1階」の国民年金(基礎年金)と、「2階」の厚生年金という2つの制度で構成されているためです。1階部分の国民年金は、原則として日本国内に居住する20歳以上60歳未満のすべての人が加入対象で、保険料は所得にかかわらず一律(2026年度は月額1万7920円)。保険料を40年間(480カ月)すべて納付すると、満額(2026年度は月額7万608円)を受け取ることができます。2階部分の厚生年金は、会社員や公務員のほか、パートタイマーなどで特定適用事業所に勤務し一定の要件を満たす人が国民年金に上乗せして加入します。保険料は収入に応じて変動し、受給額は加入していた期間や納付した保険料額によって個人差が生じます。

出所:【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説

2026年度の年金額は、国民年金が前年度比1.9%増、厚生年金(報酬比例部分)が同2.0%増の増額改定となりました。国民年金(満額・1人分)は月額7万608円、厚生年金(モデル夫婦世帯・2人分)は月額23万7279円です。ただし「ねんきん定期便」などに記載された金額は税金や社会保険料が引かれる前の「額面」であるため、実際の手取り額はこれより少なくなります。

出所:【2026年最新】60歳~89歳の年金一覧表!年代別の平均受給額と「手取り・非課税世帯」のリアル!年金口座の「凍結リスク」とは?

2. 【男女・ライフコース別】5つのパターンで見る年金受給額シミュレーション

年金加入期間や収入により、どのように年金額が変わっていくのでしょうか。年収別の厚生年金の受給額の目安とあわせて確認していきましょう。

厚生労働省は、2026年度の年金額改定内容とともに、現役時代の年金加入状況や年収ごとの年金額例を、「多様なライフコースに応じた年金額」として公表しました。

具体的には、「2026年度に65歳になる人の場合」の年金額の概算が、公的年金加入履歴の類型・男女別に「合計5パターン」提示されています。

多様なライフコースに応じた年金額1/4

多様なライフコースに応じた年金額

出所:厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」

  • パターン①男性・厚生年金期間中心:年金月額17万6793円
  • パターン②男性・国民年金(第1号被保険者)期間中心:年金月額6万3513円
  • パターン③女性・厚生年金期間中心:年金月額13万4640円
  • パターン④女性・国民年金(第1号被保険者)期間中心:年金月額6万1771円
  • パターン⑤女性・国民年金(第3号被保険者)期間中心:年金月額7万8249円

 

2.1 パターン①:男性・厚生年金期間中心

年金月額:17万6793円

平均厚生年金期間:39.8年
平均収入:50万9000円※賞与含む月額換算。以下同じ。
基礎年金:6万9951円
厚生年金:10万6842円

出所:【最新データ】老後の「ふつう」が分かる!65歳以上の平均貯蓄額と年金月額は?老後夫婦のリアルな生活費と家計収支を解説

2.2 パターン②:男性・国民年金(第1号被保険者)期間中心

年金月額:6万3513円

平均厚生年金期間:7.6年
平均収入:36万4000円
基礎年金:4万8896円
厚生年金:1万4617円

出所:【最新データ】老後の「ふつう」が分かる!65歳以上の平均貯蓄額と年金月額は?老後夫婦のリアルな生活費と家計収支を解説

2.3 パターン③:女性・厚生年金期間中心

年金月額:13万4640円

平均厚生年金期間:33.4年
平均収入:35万6000円
基礎年金:7万1881円
厚生年金:6万2759円

出所:【最新データ】老後の「ふつう」が分かる!65歳以上の平均貯蓄額と年金月額は?老後夫婦のリアルな生活費と家計収支を解説

2.4 パターン④:女性・国民年金(第1号被保険者)期間中心

年金月額:6万1771円

平均厚生年金期間:6.5年
平均収入:25万1000円
基礎年金:5万3119円
厚生年金:8652円

出所:【最新データ】老後の「ふつう」が分かる!65歳以上の平均貯蓄額と年金月額は?老後夫婦のリアルな生活費と家計収支を解説

2.5 パターン⑤:女性・国民年金(第3号被保険者)期間中心

年金月額:7万8249円

平均厚生年金期間:6.7年
平均収入:26万3000円
基礎年金:6万9016円
厚生年金:9234円

出所:【最新データ】老後の「ふつう」が分かる!65歳以上の平均貯蓄額と年金月額は?老後夫婦のリアルな生活費と家計収支を解説

厚生年金の加入期間が長く、収入が高いほど、老後に受け取る年金額は多くなる傾向が見られます。

また、国民年金と厚生年金のどちらを中心に加入していたのかが、年金水準に大きな影響を与えていることも見て取れます。

3. データで見る年金のリアル。厚生年金・国民年金の「平均月額と男女差」

老後に受け取る年金額は、現役時代の年金加入状況により人それぞれです。ここでは、60歳~90歳以上のすべての受給権者について、厚生年金と国民年金の受給額分布を見ていきます。

厚生年金平均月額2/4

厚生年金平均月額

出所:厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

国民年金平均月額3/4

国民年金平均月額

出所:厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

3.1 厚生年金《平均月額の男女差・個人差》

厚生年金の平均年金月額は、全体では15万289円でした。男女別は下記のとおりです(国民年金部分を含む)。

  • 男性の平均年金月額:16万9967円
  • 女性の平均年金月額:11万1413円

出所:【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説

年金月額階級ごとの受給者数

~1万円:4万3399人
1万円以上~2万円未満:1万4137人
2万円以上~3万円未満:3万5397人
3万円以上~4万円未満:6万8210人
4万円以上~5万円未満:7万6692人
5万円以上~6万円未満:10万8447人
6万円以上~7万円未満:31万5106人
7万円以上~8万円未満:57万8950人
8万円以上~9万円未満:80万2179人
9万円以上~10万円未満:101万1457人
10万円以上~11万円未満:111万2828人
11万円以上~12万円未満:107万1485人
12万円以上~13万円未満:97万9155人
13万円以上~14万円未満:92万3506人
14万円以上~15万円未満:92万9264人
15万円以上~16万円未満:96万5035人
16万円以上~17万円未満:100万1322人
17万円以上~18万円未満:103万1951人
18万円以上~19万円未満:102万6888人
19万円以上~20万円未満:96万2615人
20万円以上~21万円未満:85万3591人
21万円以上~22万円未満:70万4633人
22万円以上~23万円未満:52万3958人
23万円以上~24万円未満:35万4人
24万円以上~25万円未満:23万211人
25万円以上~26万円未満:15万796人
26万円以上~27万円未満:9万4667人
27万円以上~28万円未満:5万5083人
28万円以上~29万円未満:3万289人
29万円以上~30万円未満:1万5158人
30万円以上~:1万9283人

出所:【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説

厚生年金の平均年金月額は、全体で見ると15万円台ですが男女差があり、男性16万円台、女性10万円台となっています。

また、月額1万円未満となる人から、25万円を超える高額受給者まで幅広い層に分布しており、個人差が大きいことがわかります。

3.2 国民年金《平均月額の男女差・個人差》

国民年金の平均年金月額は、全体では5万9310円でした。男女別は下記のとおりです。

  • 男性の平均年金月額:6万1595円
  • 女性の平均年金月額:5万7582円

出所:【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説

年金月額階級ごとの受給者数

1万円未満:5万1828人
1万円以上~2万円未満:21万3583人
2万円以上~3万円未満:68万4559人
3万円以上~4万円未満:206万1539人
4万円以上~5万円未満:388万83人
5万円以上~6万円未満:641万228人
6万円以上~7万円未満:1715万5059人
7万円以上~:299万7738人

出所:【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説

国民年金の平均年金月額は、男女ともに5万円台、ボリュームゾーンは「6万円以上~7万円未満」です。

多くの人が満額に近い年金額を受け取る一方で、月額1万円未満となる人も一定数存在しています。

4. 監修者からのコメント

熊谷 良子

5つのライフコースのパターンを見ると、男女で生じる「平均月6万円」という年金額の格差の理由がよくわかります。

女性の場合、出産や育児、介護などのライフイベントを機に離職したり、扶養内のパート勤務(第3号被保険者)を選択したりするケースがまだ多く、厚生年金に長く加入しづらいことが、この格差の最大の要因です。

これまでの働き方を変えることはできませんが、「自分の年金は少ないかも」と悲観する必要はありません。これから厚生年金に加入して長く働くことや、受け取り開始時期を遅らせて年金額を増やす「繰下げ受給(※後述)」などを活用するなどの選択肢はあります。

まずはご自身がどのパターンに当てはまるのかを把握し、現在地を知ることが大切です。