住宅ローンは現役のうちに返し終えるもの、というイメージがあります。ところが定年を迎えても返済が残っている世帯は、実際に存在します。

金融経済教育推進機構(J-FLEC)が2025年12月に公表した「家計の金融行動に関する世論調査」によると、70歳代で借入金がある二人以上世帯は6.7%でした。少数派ではありますが、その世帯に限ると借入金残高は平均927万円にのぼります。

この記事では、70歳代で借入を抱えている世帯の割合と残高、そして借入の目的が現役期からどう変わっていくのかを順に確認していきます。

ココがポイント
  • 70歳代で借入金がある二人以上世帯は6.7%。50歳代の22.3%から大きく下がる
  • 借入金がある70歳代世帯の残高は平均927万円、中央値275万円。2000万円以上も16.4%
  • 借入の目的は住宅資金が34.2%まで下がる一方、日常の生活資金が21.9%と全年代で最も高い

なお、70歳代の家計と貯蓄に関する詳しい解説は、下記の記事より一部を引用・参照しています。

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1. 70歳代で借入金がある世帯は6.7%

まずは、どれくらいの世帯が借入を抱えたまま70歳代を迎えているのかを確認していきます。ここで使うのは、J-FLECが2025年6月から7月にかけて実施した世論調査の二人以上世帯調査です。

1.1 50歳代の22.3%から段階的に下がる

世帯主の年令別に借入金の有無を見ると、50歳代が22.3%、60歳代が14.3%、70歳代が6.7%でした。全国平均は18.7%です。

年代が上がるにつれて借入を抱える世帯は減っていきます。70歳代では93.3%の世帯に借入金がありません。

世帯主の年令別にみた借入金がある二人以上世帯の割合1/2

世帯主の年令別にみた借入金がある二人以上世帯の割合

出所:金融経済教育推進機構「家計の金融行動に関する世論調査2025年(二人以上世帯調査)」をもとにLIMO編集部作成

1.2 借入がある世帯の残高は平均927万円

借入金がある世帯に限って残高を見ると、70歳代は平均927万円、中央値275万円でした。60歳代は平均1131万円、中央値500万円です。

70歳代の分布を見ると、50万円未満が15.1%ある一方で、2000万円以上も16.4%あります。少額まで返し終えた世帯と、まとまった額が残る世帯に分かれている形です。

住宅ローン残高に絞ると、70歳代は平均474万円でした。中央値は0円で、住宅ローンそのものは大半の世帯で完済されていることが読み取れます。

2. 借入の目的は住宅から生活資金へ移っていく

70歳代に残る借入は、必ずしも住宅ローンばかりではありません。借入の目的を見ると、現役期とは違う姿が見えてきます。

2.1 住宅資金は34.2%まで下がる

借入金がある世帯に3つまで選んでもらった借入の目的では、「住宅の取得または増改築などの資金」が70歳代で34.2%でした。全国平均は48.1%、60歳代は45.9%です。

年代が上がるほど、借入に占める住宅資金の比重は下がっていきます。

2.2 日常の生活資金が21.9%と全年代で最も高い

これに対して「日常の生活資金」は70歳代が21.9%で、全国平均の17.6%を上回り、全年代で最も高くなっています。「医療費や災害復旧資金」も8.2%でした。

「土地・建物等の実物資産への投資資金」も13.7%あり、これも全年代で最も高い水準です。高齢期に残る借入は住宅ローンだけではない、という点は押さえておきたいところです。

70歳代の二人以上世帯における借入の目的(3つまでの複数回答)2/2

70歳代の二人以上世帯における借入の目的(3つまでの複数回答)

出所:金融経済教育推進機構「家計の金融行動に関する世論調査2025年(二人以上世帯調査)」をもとにLIMO編集部作成

3. 家計調査でも70歳代の負債は残っている

別の統計でも同じ傾向が確認できます。総務省統計局の家計調査(貯蓄・負債編)2025年平均結果を見ていきます。

3.1 負債保有世帯に限ると住宅・土地の負債は644万円

世帯主が70歳以上の二人以上世帯では、全世帯平均の負債は81万円、うち住宅・土地のための負債は65万円でした。貯蓄は2471万円、持家率は95.3%です。

ただしこれは負債がない世帯も含めた平均です。負債を保有している世帯に限ると、負債は797万円、うち住宅・土地のための負債は644万円まで上がります。

同じ区分の年間収入は569万円、貯蓄は2171万円でした。J-FLECの調査と数字の取り方は違いますが、いずれも「割合は小さいが、残っている世帯の額はまとまっている」という同じ構図を示しています。

70歳代の家計収支については、LIMOの記事「【最新データ】老後の「ふつう」が分かる!65歳以上の平均貯蓄額と年金月額は?老後夫婦のリアルな生活費と家計収支を解説」から要点を引用して確認しておきましょう。

収入の内訳を見ると、合計25万4395円のうち、公的年金などの社会保障給付が22万8614円と約9割を占めています。

出所:【最新データ】老後の「ふつう」が分かる!65歳以上の平均貯蓄額と年金月額は?老後夫婦のリアルな生活費と家計収支を解説

収入の9割が年金という家計に返済が乗ると、月単位の負担感は現役期と大きく変わります。

熊谷 良子

統計の数字は目安として役立ちますが、判断のもとになるのは手元の書類です。

返済予定表で完済予定年月を、団信の証書で保障の終期を確認しておくと、残りの返済期間が具体的に見えてきます。

返済が高齢期にかかる見込みであれば、その内容をご家族と共有しておくことをおすすめします。