2. 今年10月から「106万円の壁」撤廃、新たに始まる「保険料調整制度」とは?
2026年10月から、短時間労働者が社会保険に加入する際の「月額賃金8万8000円以上」という賃金要件が撤廃され、いわゆる「106万円の壁」がなくなります。
今後は企業規模要件も段階的に縮小されるため、新たに厚生年金や健康保険へ加入する短時間労働者が増えていくと考えられます。「厚生年金に加入することで、保険料の支払いで手取りが減るのが心配」という方も多いのではないでしょうか。手取りの逆転現象を避けるために働く時間を抑える「就業調整」に悩む方に向け、令和8年10月から「保険料調整制度」が始まります。
これは、新たに社会保険の加入対象となる短時間労働者(パートやアルバイトなど)に対し、事業主(勤務先)が保険料を多く負担することで、働く本人の負担を軽減できる支援策です。
制度の主なポイントは以下の通りです。
- 対象となる方:月収12万6000円以下の短時間労働者(新たに社会保険に加入する方)
- 対象となる企業:従業員数50人以下の会社など(支援を受けるには会社からの申請が必要)
- 支援の期間:最大3年間(特例的・時限的な措置であり、3年目は軽減割合が半減)
- 将来の年金額への影響:個人の負担が軽減されても、将来もらえる年金額が減ることはない
会社側が多く支払った保険料分は制度全体で支援されるため、会社への過度な負担増も防ぐ仕組みになっています。
2.1 月収8万8000円なら負担半減。具体的な軽減イメージをみる
具体的にどれくらい手取りへの影響が和らぐのか、年収106万円(月収8万8000円)のケースを見てみましょう。
本来であれば、社会保険料は労使折半(会社と自分で半分ずつ負担)となり、負担割合は「50対50」で本人負担額は月1万2500円です。しかし、この支援策を使うと負担割合が「本人25対事業主75」となります。その結果、本人の負担は半額の6250円に大きく軽減されます。
対象となる最大3年間は「働き始めの急激な手取り減少」を防ぐことができます。3年目は軽減割合が半減するため徐々に本来の負担へ近づいていきますが、この3年間を助走期間と捉え、その後の働き方をどう広げていくかを考えるための大切な期間となるでしょう。
3. まとめにかえて
今回は厚生年金受給額の男女差と、新しい保険料調整制度について解説しました。女性の厚生年金は平均11万1413円であり、多くの方が月10万円未満となっている現実がある一方で、社会保険への加入ハードルを下げる新たな支援策も始まります。人生の選択肢は多様であり、働き方やお金の正解は人それぞれ異なります。ご自身のライフステージに合わせて、無理のない範囲で将来の準備を進めていくことが何より大切です。
厚生年金への加入は、将来の年金が増えるだけでなく、万が一の際の「障害厚生年金」や「遺族厚生年金」など、手厚い保障を受けられるメリットもあります。目先の手取り減少だけでなく、長期的な安心という視点も持って働き方を検討してみてくださいね。制度の変更を味方につけて、ご自身にぴったりのライフプランを描いていきましょう。
参考資料
村岸 理美


