4. 【年金一覧表の手取り】額面から引かれる4項目と「85〜90%」という目安
ここまで並べてきた一覧表の金額は、すべて額面です。口座に振り込まれるのは、そこから保険料と税金を差し引いた後の金額になります。
4.1 【早見表】年金月額別に天引きされる項目を並べる
年金から差し引かれるのは次の4つです。介護保険料、国民健康保険料または後期高齢者医療保険料、住民税および森林環境税の3種類は、年金の年額が18万円以上あると原則として年金からの天引き(特別徴収)になります。所得税および復興特別所得税は源泉徴収という別の扱いです。
- 介護保険料:65歳以上が対象。年金年額18万円以上で特別徴収
- 国民健康保険料または後期高齢者医療保険料:65歳以上75歳未満は国民健康保険料、75歳以上は後期高齢者医療保険料。年金年額18万円以上で特別徴収
- 住民税および森林環境税:住民税非課税限度額を超えると発生。65歳以上で年金年額18万円以上なら特別徴収(単身では年金収入155万円が目安)
- 所得税および復興特別所得税:65歳以上は年金収入が214万円以上になると源泉徴収の対象(65歳未満は164万円以上)
年金収入が155万円(月12万9166円)までであれば住民税非課税に該当することが多く、引かれるのは介護保険料と医療保険料の2項目にとどまります。155万円を超えると住民税が加わり、214万円(月17万8333円)を超えると所得税も加わって、差し引かれる項目が4つに増えます。
手取りの目安は額面のおおむね85パーセントから90パーセントです。ただし保険料の額は自治体や所得の段階によって変わるため、具体的な金額はここでは出せません。
4.2 【仮徴収と本徴収】10月に振込額が減るのはなぜか
天引き額は年度の途中で切り替わります。この仕組みについて、LIMOの記事「【2026年最新】60歳~89歳の年金一覧表!年代別の平均受給額と「手取り・非課税世帯」のリアル!年金口座の「凍結リスク」とは?」から要点を引用します。
6月に届く「年金額改定通知書」「年金振込通知書」では、今年度の年金額と実際の振込額を確認できます。「年金振込通知書」には、介護保険料、公的医療保険料、個人住民税・森林環境税、所得税・復興特別所得税といった年金からの天引き(特別徴収)の内訳が記載されています。なお、天引きには前年度の情報をもとに仮の金額を徴収する「仮徴収(4・6・8月)」と、確定額から仮徴収分を差し引いて調整する「本徴収(10・12・2月)」があり、10月以降に天引き額が増えて手取りが減るケースもあります。
出所:【2026年最新】60歳~89歳の年金一覧表!年代別の平均受給額と「手取り・非課税世帯」のリアル!年金口座の「凍結リスク」とは?
つまり4月・6月・8月は前年度の情報にもとづく仮の金額、10月・12月・2月はその年度の確定額との差を調整した金額になります。同じ年でも10月の振込額が急に減ることがあるのは、この調整によるものです。
年金額そのものが下がったわけではないので、通知書の内訳を見れば理由がつかめます。
4.3 年金振込通知書で自分の天引き額を確かめる
正確な手取り額は、毎年6月に届く年金振込通知書で確認できます。6月から翌年4月まで、2カ月に1回支払われる金額とその内訳が記載されています。
なお働きながら年金を受け取っている場合は、2026年4月から在職老齢年金の基準額(※)が月51万円から65万円へ引き上げられました。以前より年金が減額されにくくなっています。
※支給停止調整額。賃金と老齢厚生年金の合計がこの金額を超えると、年金の支給額が調整されます。
5. 【まとめ】年金一覧表の平均月額は年代差より男女差が大きい。手取りは額面の85〜90%
厚生年金の平均月額は65歳で14万9862円まで上がり、そこから70歳代は14〜15万円台、80歳代は15〜16万円台で推移します。89歳では16万6767円に届きます。
国民年金の平均月額は65歳以降6万円台に乗りますが、年齢が上がるほどわずかに下がり、80歳代では5万7000円台から5万9000円台にとどまります。
男女別では厚生年金の差が大きく、男性16万9967円に対して女性は11万1413円で約6万円の開きがあります。国民年金の男女差は約4000円にとどまります。
ただし一覧表の数字は各年齢の平均です。自分がいくら受け取れるのかは、ねんきん定期便やねんきんネットで加入記録を確かめるのが確実です。
参考資料
- 厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 日本年金機構「令和8年4月分からの年金額等について」
- 日本年金機構「年金からの介護保険料、国民健康保険料(税)、後期高齢者医療保険料、住民税および森林環境税の特別徴収」
- 日本年金機構「年金から介護保険料・国民健康保険料(税)・後期高齢者医療保険料・住民税および森林環境税を特別徴収されるのはどのような人ですか。」
- 日本年金機構「年金振込通知書」
- 日本年金機構「年金の繰上げ受給」
- 日本年金機構「在職老齢年金の計算方法」
- 厚生労働省「年金制度改正法が成立しました」
中本 智恵
