定年前後になると、貯蓄の話が「いくら貯めるか」から「どう取り崩すか」に変わっていきます。
金融経済教育推進機構(J-FLEC)の「家計の金融行動に関する世論調査 2025年」によると、60歳代の二人以上世帯が持つ金融資産は平均2683万円、中央値1400万円でした。さらに、この1年で残高が減った世帯にその理由を聞くと、47.7%が「定例的な収入が減ったので金融資産を取り崩したから」と答えています。
この記事では、60歳代の金融資産がいくらあり、何で持っていて、どんな理由で減っているのかを順に確認していきます。
なお、貯蓄額の平均と中央値の見方、および老後の家計収支に関する詳しい解説は、下記の記事より一部を引用・参照しています。
- 60歳代の二人以上世帯の金融資産は平均2683万円、中央値1400万円。3000万円以上が27.2%を占める
- 中身は預貯金1087万円、株式629万円、投資信託270万円。預貯金と有価証券がそれぞれ4割前後
- 残高が減った世帯の47.7%が「収入が減ったので取り崩した」と回答。50歳代の25.6%から急増する
1. 60歳代の金融資産は平均2683万円、中央値1400万円
まずは金額の全体像から確認していきます。ここで扱うのは二人以上世帯で、金融資産を持っていない世帯も分母に含めた数値です。
1.1 平均と中央値には1283万円の開きがある
60歳代の二人以上世帯(1022世帯)の金融資産保有額は、平均2683万円、中央値1400万円でした。差は1283万円あります。
平均と中央値がこれだけ離れる理由については、LIMOの記事「【全世代(20〜70歳代)比較】貯蓄額の平均・中央値はいくら?単身・二人以上世帯で比較すると見えた「お金がある人・ない人の差」」から要点を引用して確認しておきましょう。
貯蓄額の統計データを調べると「平均値」と「中央値」の金額に大きな開きがあり、戸惑う方も少なくありません。大切なのは、一部の富裕層に引き上げられた平均値に惑わされず、現実の実態を正しく把握した上で自分に合った貯蓄ペースを作ることです。
出所:【全世代(20〜70歳代)比較】貯蓄額の平均・中央値はいくら?単身・二人以上世帯で比較すると見えた「お金がある人・ない人の差」
1.2 3000万円以上が27.2%、一方で非保有も12.8%
金額帯ごとの分布は次のとおりです。
- 金融資産非保有:12.8%
- 100万円未満:4.7%
- 100万円以上500万円未満:11.5%
- 500万円以上1000万円未満:12.5%
- 1000万円以上2000万円未満:16.9%
- 2000万円以上3000万円未満:12.4%
- 3000万円以上:27.2%
- 無回答:2.0%
3000万円以上が27.2%と最も多く、その一方で非保有が12.8%います。中央値の1400万円あたりに人が集まっているというより、上と下に分かれた形です。
2. 中身は預貯金1087万円と株式629万円
金額の次は、何で持っているのかを見ていきます。ここも金融資産を持っていない世帯を含めた平均です。
2.1 預貯金が4割、有価証券が4割
60歳代の二人以上世帯の商品別の内訳は次のとおりです。
- 預貯金:1087万円(うち定期性預貯金584万円)
- 株式:629万円
- 生命保険:282万円
- 投資信託:270万円
- 個人年金保険:162万円
- 債券:101万円
- 損害保険:50万円
- 財形貯蓄:28万円
- 金銭信託:19万円
- その他の金融商品:55万円
合計すると2683万円になります。預貯金が全体の40.5%、株式・投資信託・債券を合わせた有価証券が37.3%で、この2つでおよそ8割です。
2.2 定期性預貯金は預貯金の半分ほど
預貯金1087万円のうち、定期性預貯金は584万円です。残りの503万円は普通預金などで、すぐに動かせるお金ということになります。
年金以外の収入が細っていく年代では、この「すぐ動かせる部分」がどれだけあるかが家計の安定に効いてきます。金額の大きさだけでなく、引き出しやすさの内訳も見ておきたいところです。



