3. 【元銀行員の視点】相続の手続きで見てきた、口座凍結の実務

ここからは、元銀行員としての実務経験を交えながら、相続の手続きが終わるまでの流れを振り返ります。

銀行員だった頃、名義人が亡くなったことを届け出ていただくと、その口座はいったん凍結され、相続の手続きが終わるまで基本的に入出金ができなくなる仕組みになっていました。

年金の振込先として使われていた口座も例外ではなく、未支給年金や遺族年金がその口座に振り込まれるはずだった場合には、受け取り方法をあらためて年金事務所に確認していただく必要がありました。

相続の手続きでは、亡くなった方との関係を確認できる戸籍謄本などの書類の提出をお願いすることが多く、内容によっては司法書士や弁護士などの専門家が間に入るケースも見てきました。

通帳や振込明細を確認する立場にいると、年金だけでは心もとないという声を聞くこともあり、遺族年金や葬祭費など複数のお金を組み合わせて生活を支える必要性を感じる場面もありました。

4. 【確認のしかた】未支給年金・遺族年金の手続きと、相続全体のスケジュールを確認する

未支給年金や遺族年金の手続きと並行して、相続の手続き全体のスケジュールも押さえておくと、慌てずに進めやすくなります。

死亡届は、厚生年金で「10日」以内、国民年金で「14日」以内です。

相続を放棄するかどうかを判断する期限は、家庭裁判所によると、自己のために相続の開始があったことを知ったときから「3か月」以内とされています。

相続税の申告と納税の期限は、国税庁によると、亡くなったことを知った日の翌日から「10か月」以内です。

未支給年金や遺族年金の請求には、この放棄の判断や相続税の申告ほど厳しい期限は設けられていませんが、時効により受け取れなくなる給付もあるため、後回しにしすぎない方がよいといえます。

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相続の手続きが終わるまでの主なスケジュール(死亡届→相続放棄の検討→相続税の申告・納税)

相続の手続きが終わるまでの主なスケジュール(死亡届→相続放棄の検討→相続税の申告・納税)

日本年金機構・裁判所・国税庁の資料をもとにLIMO編集部作成

5. 未支給年金や遺族年金で見落としやすいポイント

最後に、未支給年金や遺族年金の手続きを進めるうえで、見落としやすいポイントを整理します。

未支給年金や遺族年金、葬祭費、死亡保険金の非課税枠は、いずれも該当すれば大きな助けになる仕組みです。

一方で、これらは基本的に申請しないともらえないお金であり、対象になる方に自動的に振り込まれるわけではありません。

ただし、申請したからといって必ず受け取れるわけではなく、遺族基礎年金のように子の有無で対象外になったり、葬祭費のように自治体で金額や条件が異なったりすることもあります。

また、口座が凍結されている間は、葬儀費用など当面の支出をどう工面するかという課題も出てきます。

不安に感じたときほど、まずはご自身の状況を年金事務所や市区町村の窓口で確認し、現状を把握することから始めるとよいでしょう。

6. 未支給年金・遺族年金の手続きに迷ったら、まず年金事務所や市区町村の窓口へ

年金を受け取っていた家族が亡くなったときは、未支給年金や遺族年金、葬祭費、死亡保険金など、複数のお金が関わってきます。

それぞれ窓口や期限が異なるため、一つずつ確認しながら進めることが、相続の手続き全体を落ち着いて終える近道になります。

分からないことがあれば一人で抱え込まず、年金事務所やねんきんダイヤル、お住まいの市区町村の窓口、必要に応じて税理士や弁護士などの専門家に相談してみてください。

参考資料

中本 智恵