家族が急に亡くなると、葬儀や役所への届出に追われ、お金のことまで手が回らないという方は少なくありません。
年金を受け取っていた家族が亡くなった場合、未支給年金や遺族年金など、遺族が請求できるお金が複数あります。
銀行員だった頃、名義人が亡くなった後の口座の相続手続きで、ご遺族と机を挟んで向き合う機会が何度もありました。
この記事では、年金を受け取っていた家族が亡くなったときに必要な届出と、未支給年金や遺族年金など家族が受け取れる可能性のある5つのお金について解説します。
- 年金受給者が亡くなると、死亡日の翌月分までの年金は「未支給年金」として遺族が請求できる
- 未支給年金のほか、遺族厚生年金や葬祭費など複数のお金が別々の窓口から支給される
- 死亡届の提出期限は厚生年金が「10日」以内、国民年金が「14日」以内と決まっている
1. 年金受給者が亡くなったとき、未支給年金の届出はいつまでに必要か
年金を受け取っていた家族が亡くなったときは、まず年金の受給を止めるための届出が必要になります。
日本年金機構によると、届出の期限は厚生年金の場合が「10日」以内、国民年金の場合が「14日」以内です。
ただし、日本年金機構にマイナンバーが登録されている方については、この届出が原則不要とされています。
届出が遅れて、亡くなった月の翌月以降の年金を受け取ってしまった場合には、後日その分を返納することになるため、早めに手続きを進めておくと安心です。
1.1 死亡届と未支給年金の請求はまとめて行える
年金を受け取っていた方が亡くなったときは、「年金受給権者死亡届(報告書)兼未支給年金・未支払給付金請求書」という書類を使うと、死亡の届出と未支給年金の請求を同時に行うことができます。
次の章で、この未支給年金を含めた5つのお金について、順に確認していきます。
2. 未支給年金・遺族年金など、家族が受け取れる可能性がある5つのお金
年金を受け取っていた家族が亡くなったときに受け取れる可能性があるお金は、未支給年金だけではありません。
ここでは、代表的な5つのお金について、それぞれの窓口や条件とあわせて見ていきます。
年金受給者が亡くなった後に家族が受け取れる可能性がある5つのお金の一覧(未支給年金・遺族厚生年金・遺族基礎年金・葬祭費・死亡保険金)
日本年金機構・大阪市・江東区・国税庁の資料をもとにLIMO編集部作成
2.1 未支給年金
未支給年金とは、亡くなった月の分まで、まだ受け取っていない年金や、亡くなった後に振り込まれた年金のことです。
年金は偶数月に、前の2か月分をまとめて支払う仕組みになっているため、亡くなるタイミングによっては、この未支給年金が必ず発生することになります。
請求できるのは、亡くなった方と生計を同じくしていた遺族で、配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹、その他3親等内の親族という順に優先順位が決まっています。
先の順位の方がいる場合、後の順位の方は受け取ることができません。
2.2 遺族厚生年金
厚生年金に加入していた方や、老齢厚生年金の受給資格を満たした方が亡くなったときは、生計を維持されていた配偶者や子などに遺族厚生年金が支給されます。
年金額の目安は、亡くなった方の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3です。
また、夫を亡くした「40歳」から「65歳」になるまでの間で、生計を同じくする子がいない妻には、中高齢寡婦加算として年額「63万5500円」が上乗せされる仕組みもあります。
ただし、亡くなった方の年金の加入状況や家族の年齢などによって対象になるかどうかが変わるため、申請したからといって全員が受け取れるわけではありません。
2.3 遺族基礎年金
遺族基礎年金は、国民年金に加入していた方や、老齢基礎年金の受給資格を満たした方が亡くなったときに、生計を維持されていた「子のある配偶者」または「子」に支給されます。
ここでいう子とは、18歳になった年度の3月31日までの子、または20歳未満で一定の障害がある子を指します。
令和8年4月分からの年金額は、配偶者が受け取る場合で「84万7300円」に子の加算額を加えた金額です。
18歳未満の子どもがいない場合は対象外となるため、年金受給者が亡くなった場合は遺族厚生年金のみが支給されることもあります。
2.4 葬祭費(国民健康保険・後期高齢者医療制度)
国民健康保険や後期高齢者医療制度に加入していた方が亡くなったときは、葬祭を行った方に葬祭費が支給されます。
支給額は自治体によって異なり、大阪市では「5万円」、江東区では「7万円」です。
申請期限は葬祭を行った日の翌日から2年以内で、それを過ぎると時効により受け取れなくなります。
お住まいの自治体によって金額や必要書類が違うため、ご自身の自治体窓口で確認しておくとよいでしょう。
2.5 死亡保険金(生命保険)
亡くなった方が生命保険に加入していた場合は、契約で指定された受取人に死亡保険金が支払われます。
受取人が相続人であれば、「500万円」に法定相続人の数をかけた金額までは相続税がかからない非課税枠が設けられています。
一方で、相続人以外の方が受け取った死亡保険金には、この非課税枠は適用されません。
保険料を誰が負担していたかによって課税の扱いが変わるため、詳しい判断は税務署などで確認することをおすすめします。

