3. 【元銀行員からのアドバイス】教育費の時期を乗り切る3つの手順

40歳代・二人以上世帯の貯蓄は、平均1486万円・中央値500万円でした。子育て世帯の6割が「苦しい」と感じるなか、それでも家計を整える工夫はできます。今日からできることを3つに絞ってお伝えします。

3.1 手順1:教育費のピークを「西暦」で書き出す

ひとつめは、教育費のピークを西暦で書き出すことです。子どもの高校・大学の入学年をカレンダーに並べ、いつ・いくら必要になりそうかを見える化します。ゴールの時期がわかれば、それに向けて毎月いくら先取りすればよいかが逆算でき、あわてずに準備できます。きょうだいがいる場合は、入学が重なる年を先に把握しておくと安心です。

3.2 手順2:家族の固定費をまとめて見直す

ふたつめは、家族の固定費をまとめて見直すことです。スマホの家族割やプランの変更、使っていないサブスクの解約、保険の重複の整理など、一度見直せば節約が毎月続きます。支出を削るのがつらい時期でも、固定費なら暮らしの質を落とさずに効きます。家族の人数が多いほど、一つの見直しが複数人分に効くのもこの年代の特徴です。

3.3 手順3:苦しいときこそ「使える支援」を確認する

みっつめは、苦しいときこそ使える支援を確認することです。児童手当や高校の授業料支援、子どもの医療費助成、自治体独自の助成など、要件に当てはまれば家計を助けてくれる制度があります。内容や所得の要件は自治体によって異なるため、お住まいの市区町村の窓口でご確認ください。

積立額と期間の組み合わせで資産がどう変わるかについてはこちらの記事でくわしく解説しています。あわせてご参考ください。
【新NISAシミュレーション】月10万円×15年積立+放置で資産はどう化ける?月3万円の少額戦略も公開

3.4 【試算】同じ「月3万円×8年」でも、運用を組み合わせるとどう変わる?

1ページ目では運用を考えない前提で試算しましたが、ここでは運用を組み合わせた場合を見てみます。前提は「毎月3万円を8年間(96カ月)積み立て、年率3%・年率5%で複利運用できたと仮定する」というもので、税金・手数料は考慮していません。

  • 積み立てた元本:月3万円 × 96カ月 = 288万円
  • 年率3%で運用できた場合:約324万円(うち運用益は約36万円)
  • 年率5%で運用できた場合:約352万円(うち運用益は約64万円)

8年という期間では、運用を組み合わせても増える金額は数十万円規模にとどまります。老後資金のように20年、30年かけられるお金と違い、教育費は使う時期が動かせないためです。値下がりした時期がちょうど入学の年に重なると、必要な金額を用意できないおそれもあります。使う時期が決まっているお金は預貯金や安定した運用で確保し、時間をかけられる老後資金のほうで運用を活用する。この使い分けが、40歳代の資産形成では特に大切になります。

中本 智恵

教育費の準備でつまずきやすいのは、金額の目標を先に立ててしまうことです。「大学までに1000万円」と決めても、いつまでにいくら必要かが決まっていなければ、毎月の行動には落ちてきません。順番は逆で、期限を先に決めると積立額は自然に出てきます。

もうひとつ意識したいのが、教育費と老後資金を同じ財布で考えないことです。使う時期が8年後のお金と、25年後のお金では、置き場所の選び方が変わります。混ぜてしまうと、どちらの判断も中途半端になりがちです。

支出を削ることばかりに気を取られる必要はありません。固定費のように一度の見直しで毎月効くものから手をつければ、日々の楽しみを削らずに家計は整います。使える制度の確認も含めて、動かせるところから順に進めてみてください。

4. まとめにかえて

今回は、40歳代・二人以上世帯の平均貯蓄額(1486万円)と中央値(500万円)を確認しました。2000万円以上が21.3%、金融資産非保有が18.8%と差が広がり始める年代であること、そして生活が「苦しい」と答えた割合が児童のいる世帯で61.5%と最も高いことも見てきました。

あわせて、大学入学までの8年間で積み上げられる金額の試算と、教育費の時期を乗り切る3つの手順も紹介しています。

教育費と住宅費が重なる時期は、家計がいちばん踏ん張りどころになります。平均や中央値と比べて一喜一憂するのではなく、わが家がいつ・いくら必要になるのかを書き出すところから始めてみてください。

参考資料

LIMO編集部家計解説班