9. まとめにかえて:老後家計の現実にどう向き合うか

後期高齢期の家計を考えるうえで重要なのは、「現在の残高」そのものではありません。その資産が、物価変動を含む環境の中で、どれだけの期間生活を支えられるのかという視点です。

多くのシニア夫婦は、預貯金を中心とした安定的な資産構成をとっています。元本が減りにくいという安心感はあるものの、物価が上昇する局面では、額面が変わらなくても実質的な購買力は徐々に低下していきます。

つまり、家計に影響を与えるのは「赤字の大きさ」だけでなく、「お金の価値の変化」でもあります。支出が徐々に増えていけば、想定よりも早いペースで貯蓄を取り崩すことになりかねません。

「人生100年時代」が現実味を帯びる中で、健康寿命と同じように意識しておきたいのが資産の持続力です。物価動向も踏まえながら、年金などの公的給付、手元資産、支出構造を一体として捉え直すことが、後期高齢期を安定して過ごすための土台となります。

参考資料

マネー編集部家計班