6月30日に総務省が公表した「労働力調査(基本集計) 2026年(令和8年)5月分結果」によると、就業者数は6890万人に達し、前年同月に比べて52万人の増加となりました。

働く人が増え、キャリアの選択肢も多様化する中で、やはり気になるのはベースとなる「給与の実態」です。

かつて筆者が銀行窓口でお客さまの資産形成をサポートしてきた経験からも、まずは客観的なデータでご自身の現在地を知ることが、将来のマネープランを立てる第一歩だと実感しています。

国税庁から公表された「令和6年分民間給与実態統計調査」の結果によると、日本の給与所得者における平均給与は477.5万円です。

男女別のデータを詳しく見ていくと、男性は586.7万円、女性は333.2万円となっており、全体的には緩やかな右肩上がりの傾向が続いています。

平均給与の推移(1年を通じて勤務した給与所得者)1/3

平均給与の推移(1年を通じて勤務した給与所得者)

出所:国税庁長官官房企画課「令和6年分 民間給与実態統計調査-調査結果報告-令和7年9月」をもとにLIMO編集部作成

そこで今回は、「年収600万円」という基準に焦点を当てて解説します。年収600万円を超える給与を得ている労働者は全体の何パーセントほど存在するのか、さらに気になる「手取り額」の目安について詳しくシミュレーションしていましょう。

1. 給与階級のデータから読み解く年収600万円超の割合

給与階級別分布グラフ(全体・男女別)2/3

給与階級別分布グラフ(全体・男女別)

出所:国税庁長官官房企画課「令和6年分 民間給与実態統計調査-調査結果報告-令和7年9月」をもとにLIMO編集部作成

多くのビジネスパーソンが目標の一つとする年収600万円ですが、国内の給与所得者全体の中ではどのような位置づけになるのでしょうか。

実際の給与階級別分布データをチェックしてみると、年収600万円超の条件を満たす層は全体の24.9%という結果が出ています。

つまり、年収600万円を超えている人は、労働者全体の上位約24.9%に絞られる、比較的限られた層であるといえます。

さらに、この分布状況を男女別に分けて詳しく分析してみると、顕著な違いがあることが見えてきます。

男性労働者に限定した場合、年収600万円超を達成している人の割合は36.2%を記録しています。

その一方で女性労働者の場合、年収600万円超の割合は9.7%という低い水準にとどまっているのが現状です。

2. 年収600万円の実際の生活費目安は?単身世帯と扶養あり世帯で手取りを試算

実際に年収600万円となった場合、手元に残る金額はいくらになるのでしょうか。ここでは一般的な条件を設定し、具体的な手取り額を試算してみました。

2.1 手取り額を試算する上での主な前提条件

  • 収入源は給与のみ(副業収入や不動産所得などはないものとする)
  • 社会保険:全国健康保険協会(協会けんぽ)に加入(40歳以上65歳未満のケース)
  • 適用される控除:給与所得控除、基礎控除、社会保険料控除のみ(医療費控除や生命保険料控除などは計算に入れない)
  • 住民税は当年の収入をベースに算出(実際の天引きは翌年6月から開始)
  • ケース①:独身の単身世帯
  • ケース②:配偶者がいる2人世帯

2.2 2つのケースにおける手取り試算結果

年収600万円の手取りシミュレーション3/3

年収600万円の手取りシミュレーション

LIMO編集部作成

2.3 【ケース①】独身・単身世帯の詳しい内訳

  • 額面年収:600万円 → 手取り額:455万2820円(毎月の換算額:37万9401円)
  • 健康保険料:29万9400円
  • 介護保険料:4万8000円
  • 厚生年金保険料:54万9000円
  • 雇用保険料:36000円
  • 子ども子育て支援金:10800円
  • 所得税(復興特別所得税を含む):20万300円
  • 住民税:30万3680円

2.4 【ケース②】配偶者がいる2人世帯の詳しい内訳

  • 額面年収:600万円 → 手取り額:476万393円(毎月の換算額:39万6699円)
  • 健康保険料:29万9400円
  • 介護保険料:4万8000円
  • 厚生年金保険料:54万9000円
  • 雇用保険料:36000円
  • 子ども子育て支援金:10800円
  • 所得税(復興特別所得税を含む):9万1727円
  • 住民税:20万4680円

※社会保険料の算出にあたっては、全国健康保険協会(協会けんぽ)東京支部の令和8年度保険料額表を使用しています。なお、子ども子育て支援金は令和8年4月から徴収がスタートした新しい負担項目です。加入している健康保険組合や各都道府県によって適用される保険料率が変わるため、実際の金額と異なる場合があります。

※住民税については、基本的には前年の収入をベースに計算が行われ、翌年6月から1年かけて給与から天引きされます。そのため、転職される方や退職される方はタイミングに注意が必要です。

※記載しているシミュレーション結果はあくまでも一つの目安です。実際の手取り額は、各種控除の適用内容や加入先の健康保険組合の規定によって変動します。

このように様々な控除が適用されることで、配偶者がいる世帯は単身世帯と比べて年間で20万7573円手取りが多くなる計算です。ただし、配偶者の所得状況によって受けられる控除額は左右される点には留意してください。

3. 国税庁のデータと手取りシミュレーションの総括

公表された国税庁の統計データから、年収600万円超に該当する層は給与所得者全体の24.9%を占める立ち位置であることが明らかになりました。男女別に比較すると、男性の36.2%がこの年収水準を満たしている一方、女性は9.7%という割合にとどまっており、性別による大きな格差が見られます。

また、関心の高い「手取り額」について試算したところ、各種税金や社会保険料に加えて子ども子育て支援金などが差し引かれる結果、実際の金額は455万2820円〜476万393円(毎月の換算で37万9401円〜39万6699円)という水準になりました。

ただし、今回ベースとした統計資料は「1年を通じて勤務した給与所得者」のみが対象となっています。自営業者やフリーランスの収入、あるいは副業や投資などで得た所得などは加味されていないデータである点には注意してください。

参考資料

中本 智恵