2026年7月31日の東京株式市場は、TOPIX(東証株価指数)が前日比1.29%高の4,003.30と上昇しました。決算発表が本格化するなか、半導体や電機関連の大型株が軒並み急騰。一方で通信やディフェンシブ銘柄には売りが出て、資金の大きな移動(セクターローテーション)が鮮明になった一日でした。

1. サマリー——株価指数と為替の地合い

日経平均株価は前日比4.03%高の6万4,362円と大きく上昇し、TOPIX(東証株価指数)も1.29%高の4,003.30と堅調でした。

注目したいのは、日経平均の上昇率がTOPIXを大きく上回った点です。これは、値がさ(株価の絶対値が高い)の半導体株が、日経平均を強く押し上げたためです。この日は決算発表が集中し、好業績を手掛かりに半導体・電機関連へ買いが向かいました。

為替も円高(ドル安)に振れる傾向が続き、円高は自動車などの輸出企業には逆風となりやすい要因ですが、この日はそれを上回る半導体関連への買いが、相場全体を押し上げました。

株価指数の動き1/2

2. 大きく動いた主要銘柄——半導体・電機が2ケタ%高、通信・トヨタは下落

時価総額上位のなかで目立ったのは、半導体・電機関連の急騰です。

  • パナソニックHD(6752)+19.53%
  • キオクシア(285A)+17.72%
  • アドバンテスト(6857)+16.34%
  • 村田製作所(6981)+15.59%
  • ソフトバンクグループ(9984)+13.80%
  • 三菱電機(6503)+11.17%
  • 東京エレクトロン(8035)+6.24%

決算や個別の材料を手掛かりに、買いが集中しました。金融でも三井住友FG(8316)+2.22%、みずほFG(8411)+4.46%としっかりでした。

対照的に、下落が目立ったのは通信とディフェンシブ銘柄です。

  • 任天堂(7974)▲5.72%
  • KDDI(9433)▲4.26%、NTT(9432)▲4.15%、ソフトバンク(9434)▲3.71%
  • 武田薬品工業(4502)▲3.59%、中外製薬(4519)▲1.97%
  • トヨタ自動車(7203)▲1.89%

主要銘柄の動き2/2

3. 円高でも株高、半導体・電機が相場を主導

この日を振り返ると、円高という逆風のなかでも、好決算を追い風に半導体・電機の大型株が急騰し、相場全体を押し上げた一日でした。日経平均は4.03%高、TOPIXも1.29%高。パナソニックHDやキオクシア、アドバンテスト、村田製作所などが2ケタの上昇となる一方、通信のNTT・KDDIやトヨタは下落しました。買われた銘柄と売られた銘柄が業種でくっきり分かれ、資金の物色対象が半導体・電機へ明確に偏ったのが、この日の特徴です。

4. セクターの動き——電気機器が急騰、通信・医薬品は下落

東証33業種で見ると、この日の主役は明確に「電気機器」でした。半導体製造装置(東京エレクトロン、アドバンテスト)、電子部品(村田製作所)、総合電機(三菱電機、パナソニックHD)、メモリ(キオクシア)まで、決算を手掛かりに幅広く買われました。電気機器は時価総額でTOPIXの約4分の1を占める最大の業種で、ここが動くと指数全体への影響も大きくなります。TOPIXがしっかりだったのも、この業種の急騰が効いています。

対照的に売られたのが「情報・通信業」(NTT、KDDI、ソフトバンク)と「医薬品」(武田薬品、中外製薬)です。景気や金利に業績が左右されにくいディフェンシブなセクターから、成長期待の高い半導体・電機へと資金が移る、典型的なセクターローテーションが起きました。「輸送用機器」のトヨタが軟調だったのは、円高が輸出採算の重しとして意識されたことと、バリュー株であったためとみられます。

5. NT倍率——16倍台へ上昇、ハイテク優位の歴史的高水準

NT倍率(日経平均株価をTOPIXで割った値)は、この日約16.08倍と、前日の約15.65倍から上昇しました。NT倍率の上昇は、値がさのハイテク株が相対的に強く買われたことを示す目安とされ、この日の半導体主導の相場と符合します。

過去10年で見るとNT倍率はおおむね12〜18倍で推移しており、足元の16倍台は2021年前半のピーク(約16倍)に並ぶ歴史的な高水準です。ハイテク・値がさ株が相場を主導する局面が続いていることを映しています。

6. イズミダの視点:円高なのに株高、が示す「相場の主役」

この日いちばん興味深いのは、「円高なのに株高」という、一見あべこべの構図です。教科書的には、円高は自動車をはじめとする輸出企業の採算を悪化させ、日本株には逆風のはず。実際、トヨタは下げました。それでも相場が上昇したのは、為替以上に「半導体・電機という成長セクターへの資金集中」が、この日の主役になったからです。言い換えれば、SBG(ソフトバンクグループ)やキオクシア、東京エレクトロンといった「グロース株(成長株)」が買われ、トヨタのような「バリュー株(割安株)」が売られた一日でした。

これがセクターローテーション。プロの投資家が「どの銘柄か」の前に「どのセクターに資金を厚く置くか」で相場を動かしている、その証拠です。もっとも、半導体・電機の一斉高の多くは決算を手掛かりにしていますが、こうした急騰は期待の先取りでもあり、過熱すれば反動も出やすい。この半導体主導のリスクオンがどこまで続くのか、そして円高がじわりと輸出企業の重しとして効いてくるのか——需給とファンダメンタルズの両面から見極めることが、これからの注目ポイントです。

泉田 良輔