8. 【年収500万円から始める資金計画⑦】副業、転職が悪影響を与えることもある
働き方の多様化は、資産形成のあり方にも影響を及ぼしています。
特に「副業」は、収入の柱を増やす有効な手段として、多くの会社員にとって関心の的となっています。しかし、不動産投資のローン審査という観点から見ると、この副業が思わぬ「落とし穴」になることがあるので注意が必要です。
金融機関の審査では、「本業の給与所得」がすべてです。たとえ副業で年間数百万円を稼いでいたとしても、その収入は、ほとんどの場合、審査上の年収には加算されません。
なぜなら、副業による収入は不安定であり、将来にわたって継続する保証がないと見なされるからです。それどころか、副業がマイナスの影響を及ぼすことさえあります。
副業をしている方の多くは、節税のためにさまざまな経費を計上し、確定申告で所得を圧縮しています。しかし、副業での経費が収入を上回り「赤字申告」となっていた場合、その赤字額は、本業の年収から差し引かれて評価されてしまうのです。
例えば、本業の年収が1000万円あっても、副業で300万円の赤字を出していれば、審査上の年収は700万円にまで下がってしまいます。良かれと思って始めた副業が信用力を毀損し、ローン審査の足かせとなってしまう。そんな皮肉な事態が起こり得るのです。
8.1 転職はタイミングに注意が必要
「転職」もまた、ローン審査における大きなリスク要因です。特に、ローン審査の直前や、審査の最中に転職が決まっている場合は、細心の注意が必要です。
先日、こんな事例がありました。
複数の不動産会社を比較検討し、最終的に当社の物件を選んでくださったお客様が、契約直前に「実は、来月末で会社を辞めることが決まっています」と打ち明けてくださったのです。他の不動産会社からは「金融機関に黙って、今の会社に在籍しているうちにローンを通してしまいましょう」と、不正な提案をされたそうです。
お客様は、その方法でやりたいという希望をお持ちのようでした。しかし、私たちはお客様のその考えはきっぱりと断り、「転職先の会社で半年間勤務し、収入が安定してから、改めてローンを申し込みましょう」とご提案しました。私の会社にとっては目先の契約を逃すことになりますが、後々お客様に不利になったり、金融機関を欺くような不誠実な行為は、絶対にできないからです。
万が一、この不正があとで発覚すれば、最悪の場合、お客様はローンの一括返済を求められる可能性さえあります。そうした危険を冒すようなことを、お客様にさせるわけにはいきません。
このまっとうな説明をお客様は高く評価してくださいました。そして、半年後、そのお客様は約束通り私たちの元へ戻ってきてくださり、無事に別の物件を購入されたのです。
副業や転職は、キャリアにとってプラスになるかもしれません。しかし、それが不動産投資のローン審査に影響を与えることも知っておいてください。
