4月3日は「資産形成の日」です。皆さんはどのような資産形成をされているでしょうか。資産形成といっても目的は様々で、教育資金や老後資金であったり、自分の将来の旅行にお金を増やしておきたいということまで様々な内容があるのではないでしょうか。今回は良い投資信託とダメな投資信託の見分け方を見ていきましょう。

資産形成で欠かせない金融商品なのだが

資産形成をする中で、多くの方と接点が増えてきているのが投資信託ではないでしょうか。「つみたてNISA(ニーサ)」やiDeCo(イデコ)といった非課税制度も整う中、投資信託は資産形成の際に避けては通れない金融商品となりつつあります。

ところがこの投資信託、実はとにかく商品の本数が多すぎます。これがまず問題です。

投資信託協会が発表した2019年2月時点の株式投信は6019本、また公社債投信は102本となっており、個人投資家はこの中から選ばないといけなくなっています。

「つみたてNISA」では気を利かせた金融庁だが

「6000本?そんなに多いと選ぶのは無理」

という声も聞こえてきそうですが、金融庁もその辺りは個人投資家の声を反映し、「つみたてNISA」では、かなり購入できる投資信託を絞り込んできています。どうしても迷ったらそうしたラインナップも参考にして検討するというのは一つの選択肢です。

金融庁の2018年10月の発表では「つみたてNISA」のラインナップでもインデックスファンドが142本、アクティブファンドが17本と、合計159本と、ほとんどインデックスファンドだとはいいながらも160本の中から選ばなくてはいけません。

「投資をこれから始めるのだけど・・・」という方が、選ぶという難しさは一部軽減されましたが、それでもまだどれを選んでよいのかわからないというのは変わりがないかと思います。

インデックスファンドも万全ではない

金融庁の「つみたてNISA」のラインナップを見て、気づかれたことがありますでしょうか。

はい、その通りです。ベンチマークといわれる株価指標のパフォーマンスを上回ろうとするアクティブファンドの本数がインデックスファンドに比べて圧倒的に少ないのです。

これには大きな理由が2つあります。

インデックスファンドはベンチマークに対してよりそのパフォーマンスを近づけるという努力をする投資信託なのですが、アクティブファンドと異なって複数のポートフォリオマネージャーやアナリストを配置しなくてもよいので、信託報酬が安くて済むという構造です。したがって、金融庁もインデックスファンドの品揃えを多くしているわけです。

インデックスファンドはトラッキングエラー(ベンチマークとのズレ)を抑えるために、運用現場ではそれはもう人知れずに相当な手間をかけているので、全く持ってメンテナンスするのが楽な金融商品ではないです。この辺りに焦点が集まりにくいのは残念です。

ただ、世間ではそういうことになっていて、信託報酬が安いのです。金融庁は国民に運用費用を安く抑えてもらうためにインデックスファンドをより多く提示しているわけです。

二つ目の理由は、多くのアクティブファンドのパフォーマンスがインデックスファンドにパフォーマンスで負けるので、インデックスファンドの方が資産形成に結び付きやすいと考えているのではないでしょうか。

ただ、「インデックスファンドもベンチマークに対して信託報酬の分だけ確実に負ける」ので、多くの投資家が思っているような夢の金融商品ではないですが、相対的にマシな商品ということです。

良いアクティブファンド、悪いアクティブファンドの見分け方

前置きが長くなりましたが、ここではアクティブファンドの見分け方をお伝えしていきます。

なぜ、アクティブファンドの見分け方が必要なのでしょうか。

銀行等の店頭では販売手数料が落ちにくいインデックスファンドはそもそもあまり取り扱われていません。

仮に、この記事を読んだ読者の方で「間違った投資信託を銀行で購入して失敗した」と思うのであれば、それはアクティブファンドの可能性が高いです。銀行が自分たちにとって実入りが少ない商品をあえて店頭で、また人件費をかけてまで売るはずはありません。これは銀行だけではなく、どんな商売も同じでしょう。

話はそれますが、インデックスファンドであれば、儲かってないのであれば「日本株が悪い」、「世界の株式市場が不調だった」とマクロ環境のせいにできるので、怒りの矛先が漠然とした「市場」やひいては「景気」という矛先に向くので心理的安全性を保ちやすいともいえます。そもそもの怒りが少ない商品かもしれません。

アクティブファンドというのは先程も簡単に触れていますが、通常はファンドマネージャーが運用を担当し(最近はAIで銘柄を決めるという話もあるので、ファンドマネージャーが必ずしも生身というわけではなくなりました)、ベンチマーク(例えば、TOPIXやS&P500など)のパフォーマンスを上回ろうとするものです。

アクティブファンドの失敗はつまるところ、「ファンドマネージャーのせい」というところになるので、パフォーマンスが良くないとこれまた怒りが増長するわけです。心理的安全性を担保するためにもアクティブファンドの見極めが重要です。

ダメな投資信託の例

さて、ここでは、手を出してはいけない投資信託の特徴をリストアップしていきます。ご自身の投信をみていただき、各ケースでの指摘について、その可能性についてチェックをしてみてください。

(ケース1)保有銘柄数が多い投信

通常は企業調査やバリュエーション(株価評価)を行うアナリストがファンドマネージャーに銘柄推奨をして、最終的にファンドのリスク管理しているファンドマネージャーが投資判断を行い、組み入れる銘柄を決定します。

したがって、投資信託に組み入れられている銘柄は「これぞ!」という銘柄が入っているはずなんです。

ところが、ポートフォリオに100銘柄も200銘柄も入っている投資信託をよく目にします。日経225でも225銘柄ですよ。なぜそんなに銘柄数が必要なのでしょうか。

一つには、ポートフォリオマネージャーが投資判断に自信がないために、結果としてあれもこれもとポートフォリオに組み込んでしまうということがあります。

もっとも後で述べるように純資産が大きくなりすぎて、流動性などを考慮すると銘柄数を増やしながら流動性を確保して運用せざる得ないケースがあります。

こうした傾向を嫌って保有銘柄数を制限する投資信託も海外などにはありますが、これはファンドマネージャーの行動を考慮して制限を加える投資信託というわけです。

(ケース2)保有銘柄上位がベンチマークとほとんど一緒

日本株の大型株アクティブファンドに見られるダメな投資信託に見られるのが、上位の保有銘柄がTOPIXなどの時価総額が大きな銘柄の顔ぶれとほとんど変わらない投資信託です。

皆さんもご自身が保有する投資信託のトップ10を見てみてください。トヨタ自動車、三菱UFJフィナンシャル・グループ、ソフトバンク…こうした銘柄が並んでいないでしょうか。

こうした時価総額の大きな銘柄を組み入れられるべきではないとは言っていません。ただ、こうした銘柄であれば、ネット証券を活用すればすぐに投資できますし、あえて投資信託で持つべき銘柄という話ではありません。

もっとも、運用しているファンドマネージャーは、ベンチマークの比率に対してオーバーウェート(O/W)、アンダーウェート(U/W)、ひいてはセクターに対してO/W、U/Wの調整をしているので、結果としてベンチマークを意識した保有銘柄となってしまうのです。

もっともベンチマークがある投資信託のファンドマネージャーのパフォーマンスの評価はベンチマークに対して行われるので、ベンチマークの銘柄ウェートを意識せざるを得ません。

ただ、それでも上位保有銘柄を見て顧客に「ベンチマークと同じゃないか!」といわれないようにするために、期末にイケてそうな中小型株を購入して、「ちゃんとボトムアップで面白い銘柄を入れていますよ」と見せるような工夫もしているケースもあります。これを「ウィンドウドレッシング」と業界ではよんでいます。

(ケース3)1年と3年でパフォーマンスがベンチマークに負けている

外資系運用会社であれば、1年と3年のパフォーマンスが負けていれば、多くのケースではクビのリストに入ります。さすがに1年で負けてもイエローカード程度ですが、1年と3年がマイナスで並んでしまうとかなりジョブセキュリティは危なくなります。1、3、5年でマイナスとなるとレッドカードです。

したがって、1及び3年で負けているようですとファンドの運用者が将来も同じ可能性が低くなるので、そこで一旦自分が期待していた運用がされなくなるという可能性も踏まえて考えておくのが良いでしょう。

日本ではあまりファンドマネージャーにフォーカスが当たらないので、あまり議論にはなりにくいのですが、海外では「トランジション(引継ぎ)」といってファンドマネージャーの引継ぎなどをしっかりケアした運用会社が評価をされます。

運用哲学が維持されるのか、後任の運用者のスタイルはどうなのか、実績がある人物なのか、など様々な観点からのチェックやツッコミが入ります。

アクティブ運用においては特に「誰が運用してくれるのか」というところがカギでして、スーパーなファンドマネージャーが引退したあとの後任はどうするのかは常に議論の的です。

(ケース4)純資産(AUM)が極端に大きすぎるファンド

個人投資家からすると「運用資産が大きいと安心」みたいな感覚もありますが、運用者からすると全く逆です。

いわゆる「大きすぎて動けない」という状況に陥ります。売買でいうと「自分で買い上げて、自分で売り下げる」という状況も発生しますし、先ほども触れましたが、どんなに面白い小型株があっても、流動性を考えると手を出しにくいということもあります。

たとえば、運用資産(Asset Under Management, AUM)が5000億円のファンドがあったとしましょう。このファンドで、時価総額が500億円の勢いのある新興企業に投資をしたいとします。

このファンドでそこそこインパクトある比率をまず議論しないといけませんが、仮にこのファンドで50銘柄を保有していたとすると1銘柄当たりの金額は100億円です。また、100銘柄を保有していたとすると1銘柄当たりの金額は50億円となります。

仮に50億円程度、つまりはファンドの1%はないとポートフォリオにインパクトがないとしましょう。その時には、会社の発行済株式数の10%を保有しないといけなくなります。本当に買い付ければこの時点で大量保有報告書を提出しなければならないレベルです。

また、このような銘柄は流動性を気にしなければなりませんので、いきなり10%のポジションも作れませんし、会社の様子がおかしくなったら売却をしないといけないことを考えると、簡単に手が出ないことがお分りでしょう。

つまり、大きいことは良いことではありません。ファンドマネージャーの投資アイデアをそのままファンドに組み入れることができない可能性を残念ながら残してしまいます。

ですので、誠実な運用会社は募集を途中で中断をしたりする行動をします。そうしたファンドはもっと評価されてもよいと思います。

(ケース5)機能やテーマ性に求めるファンド

相変わらず、「毎月分配型」といった機能やテーマを売り文句とした「XXXファンド」が存在しますが、これらは投資家のニーズを満たしているので売れるということはあるのですが、最終的に投資家にリターンを提供できているのかは疑問が残ります。

まあ、「機能やテーマに訴えかけるのが商売の基本だ」といわれればそれまでなのですが、儲かった分を分配とし、バリュエーションを意識してテーマもえらぶというような工夫がされれば、文句もないですが、現時点ではそうなっていないので、本当に良いアクティブファンドとそうでないファンドの見極めが難しいというのが実際です。

ただ、付け加えておきたいのが、テーマといっても成長する産業、たとえばグローバルのテクノロジー産業というような切り口のセクターファンドという位置づけであれば、もっと様々な商品が出てきてもよいかなと思います。実は米国ではセクターファンドは一定のポジションを確立しています。

インデックスファンドとアクティブファンドを使い分けたい

世間では「アクティブファンドvs.インデックスファンド」の構造がありますが、投資信託の良さは「アクセスしにくい投資機会にアクセスできる」というのがそもそもの売りなので、両方の特徴を理解して活用すればよいかと思います。

投資においてもっともしてはいけないのは、求められてはいないのに「自分で投資の制限をつけること」です。もちろん、資本市場で決められたルールは守らないといけませんが、こと投資判断においては制約条件は少ない方が良いに決まっております。

【参考資料】

青山 諭志