2. 家族と生計を一にしている場合の注意点とメリット

確定申告では、「生計を一にしている家族」がいる場合、所得や控除を家族間で合算したり、代表者がまとめて申告したりできるケースがあります。

特に年金受給世帯では、配偶者や子どもと同居している場合に、申告方法を工夫することで税負担を軽減できることがあります。

2.1 「生計を一にしている」とは?

税法上の「生計を一にしている」とは、同じ家に住み、生活費や家計を共同でやりくりしている状態を指します。

別居していても、仕送りや生活費の援助があり、経済的につながりがある場合は「生計を一にしている」と認められることもあります。

配偶者控除・扶養控除が使える

夫婦ともに年金を受け取っている場合でも、どちらかの所得が48万円以下(年金収入で約158万円以下)であれば、「配偶者控除」や「配偶者特別控除」を受けることができます。

これにより、もう一方の納税者(夫または妻)の課税所得を減らし、所得税・住民税の負担を軽くすることが可能です。

また、同居している子どもや孫を扶養している場合、所得要件を満たせば「扶養控除」を適用できることもあります。

年金暮らしの世帯では、この控除があるかどうかで税額が数万円単位で変わることもあります。

医療費は家族分を合算できる

医療費控除を利用する場合、生計を一にする家族全員の医療費をまとめて申告することができます。

たとえば夫婦や親子が同じ家計で暮らしており、それぞれが通院や薬代を支払っている場合は、全員分を合計して1人の名義で申告可能です。

医療費の合計額が10万円(または所得の5%)を超えると控除対象になるため、家族全体で合算した方が有利になるケースが多いでしょう。

控除の適用には領収書や証明書が必要

家族分をまとめて申告する際には、医療費の領収書や保険料の控除証明書などをそれぞれ一人分として整理しておくことが重要です。

マイナンバーカードを利用したe-Tax申告を行えば、医療費や保険料情報の一部は自動で入力されるため、負担を減らしつつ申告をスムーズに行えます。