3. 定年後に「安心して老後を過ごしている人」の共通点
次に、元銀行員である筆者の視点から、安心して老後を過ごしている人に共通するポイントを解説していきます。
3.1 共通点1:現役時代に収入を増やすことに積極的である
キャリアアップなどを通じて高収入を得た方の方が、ゆとりある老後生活を送る方は多いといえます。
年収が高いほど、貯蓄額は平均・中央ともに多い傾向にあります。
J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査 2024年」によると、たとえば世帯年収500~750万円未満の二人以上世帯の平均貯蓄額は1494万円ですが、1200万円以上となると3994万円まで増加します。
年収が高くても支出が多ければ貯蓄は増えていきませんが、現実にはやはり年収が高いほど生活にゆとりが出るのはあきらかです。
現役世代のうちは、年収に比例して増える可処分所得と生活費の差が大きいほど速いペースで貯蓄を増やせます。さらに、年収が高い方は、被保険者として納める年金額が多くなるため、将来相対的に多くの厚生年金を受け取る可能性があります。
現役時代の年収の高さは、目先の貯蓄余力と、老後の年金額の双方に好影響を与えます。ゆとりある老後生活を送るうえで、年収を高めるのがとても重要です。現役時代は少し頑張って積極的に収入を増やす方法を考えてみましょう。
3.2 共通点2:住宅ローンを無理なく早めに返済している
住宅ローンの返済に無理がなく、かつ老後に差し掛かる前に返済しきれる方が多いといえます。
多くの一般の方にとって、住宅ローンは人生で一番大きな借金となります。返済期間は数十年におよび、継続的に資金が出ていく要因です。
現役世代のうちは、住宅ローンの返済に苦しむ世帯も少なくありません。住宅ローンの借入限度は、多くの場合「ムリなく返せる」金額より高めに設定されています。金融機関の限度額いっぱいまで借りてしまうと、返済が家計を圧迫し、生活が苦しくなるケースがあります。
また、逆に月々の返済額をおさえるために長期のローンを借りて失敗する方もみられます。現代の住宅ローンは、返済完了時期が70歳代以上になるようなスキームでも組める場合があります。しかし「組める」と「返せる」は別問題です。
老後で年金暮らしになっても返済が続くようだと、老後も住宅コストが重くのしかかって生活が苦しくなる恐れがあります。
住宅ローンは、月々の返済額と返済完了時期に目を向けて、無理のない形で借りるのが鉄則です。