秋が深まり、街路樹の紅葉が鮮やかに色づく11月。そろそろ年末に向けて家計や貯蓄を見直そうと考えている方も多いのではないでしょうか。

そんなとき、ふと頭をよぎるのが「退職後の生活は大丈夫だろうか」という不安です。長年働いてきた日々を終え、収入の形が変わると、誰しもお金のことが気になるでしょう。

筆者が銀行員時代に多くのお客様と接してきた経験から言えるのは、安心して老後を過ごしている人には、いくつか共通するポイントがあるということです。

この記事では、そんな人たちに共通するポイントをご紹介します。さらに、各年代の平均貯蓄額も掲載していますので、ご自身の貯蓄と照らし合わせながら、ぜひ参考にしてみてください。

1. 【おひとりさま世帯・二人以上世帯】みんなの貯蓄額「20歳代〜70歳代」の平均はいくらか

最初に、「20歳代・30歳代・40歳代・50歳代・60歳代・70歳代」の平均貯蓄額を、単身世帯と二人以上世帯に分けて見ていきましょう。

1.1 【単身世帯】20歳代〜70歳代の「平均貯蓄額(平均・中央値)」はいくら?

J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査 2024年」によると、20歳代〜70歳代・単身世帯の貯蓄額は下記のとおりです。

20歳代〜70歳代・単身世帯の貯蓄額

20歳代〜70歳代・単身世帯の貯蓄額

出所:J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査 2024年」をもとにLIMO編集部作成

  • 20歳代:平均値161万円・中央値15万円
  • 30歳代:平均値459万円・中央値90万円
  • 40歳代:平均値883万円・中央値85万円
  • 50歳代:平均値1087万円・中央値30万円
  • 60歳代:平均値1679万円・中央値350万円
  • 70歳代:平均値1634万円・中央値475万円

単身世帯は、全体としてこの後紹介する二人以上世帯よりも貯蓄額が少ないのが特徴です。

特に全体の真ん中の順位の方の貯蓄額を表す「中央値」でみると、60歳代以上になるまで貯蓄は100万円以下となっています。

60歳代・70歳代になっても中央値は500万円以下です。ゆとりのある老後生活を送るにはやや心もとない金額といえます。

また、年代が上がるにつれて平均値と中央値の差が拡大するのも特徴です。

60歳代にもなると、平均と中央の差は1300万円以上に広がります。一部の高所得者や富裕層が多くの貯蓄を持つなど、同世代間の格差が年代と共に広がっていく様子がうかがえます。

J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査 2024年」によると、たとえば70歳代の場合、貯蓄3000万円以上を持つ世帯が15.9%ある一方で、金融資産を持たない世帯も27%います。

単身世帯では、病気などもしものことがあったときのためにも、潤沢な貯蓄を確保しておくのが望ましいといえるでしょう。