4. 貯蓄額の不満・不安の解消方法は
ここまで、現状の貯蓄額・年代別の貯蓄負債割合・貯蓄額階級ごとの内訳を統計データから確認してきました。
貯蓄の実態は、個々の世帯の状況により、大きく異なることがわかります。
それでは、多くの人が抱える貯蓄に関する「不満」「不安」にはどのように向き合えば良いのでしょうか。
4.1 自身の世帯の収入・支出・貯蓄を知る
経済的な不安を軽減させるためには、平均値を知ることと同じくらい、「自分自身の状況を把握すること」が重要です。
世帯の収支や貯蓄額を把握することで、自分が目標とする貯蓄額が見えてきます。
ただやみくもに収入増を目指したり節約をすることは、ゴールのない迷路に足を踏み入れるようなもので、途中で息切れしてしまう場合が多くあります。
自分が何のために、いつまでに、いくらが必要なのかを見据えてそこに向かって努力をしていくことで、もやもやとした不安が解消されるはずです。
4.2 物価上昇に備えるために
次に、もう一つの大きな不安材料である「物価上昇」に備えるためには、どのような対策ができるのかを考えていきましょう。
物価上昇という経済的課題に対して、私たちはどのように備えることができるでしょうか。
これは個人の努力では止められない経済現象ですが、その影響から自分の資産を守る方法は確かに存在します。
第一の方法としては、金融商品を戦略的に活用することです。
特に積立投資信託、中でも物価連動型の商品は、物価上昇対策として大きくメリットがあります。
これらの投資商品は物価の上昇に合わせて価値が高まる傾向があるため、あなたの購買力を実質的に保護してくれるのです。とはいえ、投資商品にはリスクも伴います。ご自身の資産とリスク許容度とのバランスを考慮して検討しましょう。
もう一つのアプローチとして、就労期間の見直しが挙げられます。
一般的に物価上昇時には賃金も上がる傾向があります。
そのため、働く期間を延長することで、インフレの影響を受けやすい老後の経済状況を安定させることができるのです。
言わば、長く働くことは物価上昇の波から身を守る堅固な防御策となります。
5. まとめ
本記事では、日本の二人以上世帯における貯蓄の実態について、最新の統計データをもとに詳細に分析してきました。
貯蓄額4000万円以上の世帯が全体の約14%を占める一方で、多くの世帯が貯蓄や資産に不満を抱えていることが明らかになりました。
老後への経済的不安を解消するためには、まず自身の家計状況を正確に把握し、具体的な目標を設定することが第一歩となります。
統計データは全体の傾向を示すものですが、一人ひとりの生活設計は個別の事情によって大きく異なります。本記事が読者の皆様の将来設計を考える上での一助となれば幸いです。
参考資料
斎藤 彩菜