来月は今年4回目の年金支給日がありますが「もし今離婚したら、将来の年金ってどうなるんだろう?」と、そんな不安を感じたことはありませんか?
じつは「年金分割制度」という仕組みがあり、結婚中の厚生年金の納付記録を分けることで、離婚後の年金額に差が出ることがあります。中には、月3万円以上の増減が起きるケースも。今回は、制度の仕組みや分割の種類、実際の影響額や手続きの流れまでを、厚生労働省の最新データをもとに解説します。
1. 年金分割の利用はわずか2割 制度が進まない理由とは?
厚生労働省の「令和5年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」の厚生年金保険(第1号)における離婚等に伴う年金分割の状況」をみていきましょう。厚生年金に加入していた夫婦の年金分割が実施されたのは3万2642件でした。このうち、合意分割は2万1625件、配偶者の合意が不要な3号分割は1万1017件でした。
このデータから、厚生年金に加入していた夫婦の離婚においても、年金分割制度の利用は全体の約17.8%(※)にとどまっており、活用が進んでいない実態が明らかです。特に3号分割は単独で請求できますが、件数は1万件強です。年金分割には合意分割と3号分割の2種類があり、手続きを行わなければ受けられないことが、利用が進まない要因の一つと考えられます。
※この割合は、同資料内の年金分割の実施件数3万2642件を、厚生年金被保険者における離婚件数(離婚等に伴う標準報酬改定請求の申立件数)18万4223件で割って算出したものです。日本の全離婚件数に対する割合ではありません。