なかなか貯金ができない、ローンが大変だ...など、お金の心配はつきないものです。ここでは、各世代における一世帯あたり貯蓄現在高と負債現在高の平均値、その過去10年における変化について見ていきます。

貯蓄現在高と負債現在高の平均値を世代ごとに見てみる

総務省は2018年5月18日、「家計調査報告(貯蓄・負債編)-平成29年(2017年)平均結果-(二人以上の世帯)」を発表しました。それによると、一世帯あたり貯蓄現在高の平均値は1812万円、世代別の平均値は以下のようになっています。

世代別の一世帯あたり貯蓄現在高平均値

  • 40歳未満:602万円
  • 40歳代:1074万円
  • 50歳代:1699万円
  • 60歳代:2382万円
  • 70歳以上:2385万円

このように、世代が上がるごとに金額も上がっています。

一方、一世帯あたり負債現在高の平均値は517万円、各世代の平均値は以下のようになっています。

世代別の一世帯あたり負債現在高平均値

  • 40歳未満:1123万円
  • 40歳代:1055万円
  • 50歳代:617万円
  • 60歳代:205万円
  • 70歳以上:121万円

ここからは若い世代ほど多くの負債を抱えていることがわかります。これは住宅や土地のローンが関係していると考えられますが、実際には単に負債超過分を見るだけではなく住宅や土地の資産価値なども考慮する必要があります。

また、平均値は必ずしも世の中の実情を正しく表しているとは限らないことには注意が必要です。突出して大きかったり小さかったりするデータがあると、平均値もその影響を受けるからです。

極端な例として、100人中1人の貯蓄額が1億円で残り99人の貯蓄額がゼロだとします。この100人の貯蓄額の平均値は100万円になりますが、1億円の貯蓄を持っている人からしても貯蓄のない99人からしても、平均値が自分の実情から大きくずれてしまっています。そのため、データを見るときは中央値や最頻値も大切な要素になります。

次に、各世代ごとの過去10年間の貯蓄と負債の推移を見ていきます。

20~30代は負債が貯蓄を上回る

過去10年、40歳未満の一世帯あたり貯蓄現在額の平均値は500万円台の後半から600万円を少し超える程度の間で増減を繰り返しています。一方、負債の平均値は増加傾向が継続し、2017年には1123万円になりました。2008年は758万円でしたので、その差は実に365万円です。

平均値で見ると貯蓄の2倍程度の負債があることになりますが、先に述べた通り、負債の多くは住宅や土地のローンだと考えられます。若年層の負債が増加した背景には、低金利の影響で住宅ローンを利用しやすくなったことや不動産価格が上昇したことなどがありそうです。

詳しくはこちら:貯蓄は20から30歳代で平均いくらあるのか

40歳代の懐事情は厳しい?

子育てのために教育費がかさんだり、そろそろ老後の蓄えが気になってくるのが40歳代です。上述の総務省の調査結果では、一世帯あたり貯蓄現在高の平均値が1074万円、負債現在高の平均値が1055万円となっており、貯蓄と負債がほぼ同じ程度となっています。

これを10年前と比べると、貯蓄は100万円ほど減った一方で、負債は100万円程度増えています。収入や貯蓄が増えないにも関わらず負債は年々増えていくという、かなり厳しい懐事情が見て取れます。

詳しくはこちら:貯蓄は40歳代で平均でいくらあるのか

老後が気になる50歳代の貯蓄は?

50歳代は子育てが終わるか終盤になり、より老後の生活資金への意識が強くなってくる時期です。その50歳代の一世帯あたり貯蓄現在高の平均値は1699万円で、負債現在高の平均値は617万円でした。

10年前と比べると貯蓄はほぼ横ばいですが、負債は100万円弱増加しています。10年前とほとんど貯蓄現在高の平均値が変わらないのは、老後資金を貯めようとしてもなかなか難しいという状況を反映しているのかもしれません。

詳しくはこちら:貯蓄は50歳代で平均でいくらあるのか

定年を迎えたシニア世代の懸念は?

仕事を定年になったシニア世代では、60歳代で一世帯あたり貯蓄現在高の平均値は2382万円、70歳以上で2385万円となっています。10年前と比べると、60歳代の貯蓄は100万円ほど増え、負債は微減。70歳以上は貯蓄が微減、負債は横ばいとなっています。

他の世代よりも貯蓄は多く、負債は少ないシニア世代ですが、今や人生100年時代と言われ、医療や介護問題、年金支払開始時期の延長などといった問題が待ち構えています。そう考えると、先々が不安という場合も少なくないかもしれません。

詳しくはこちら:貯蓄は60歳代で平均でいくらあるのか貯蓄は70歳以上で平均でいくらあるのか

まとめ

世代ごとの一世帯あたり貯蓄現在高と負債現在高の平均値、それが10年間でどう推移したかを見てきました。ざっくり言うと、10年前と比べると貯蓄現在高にはあまり上昇が見られず、負債現在高は増加している傾向にあることがわかります。

なお、今回参照した総務省の調査の対象は、全国168市町村から無作為抽出された二人以上の世帯8,076世帯です。つまり、一人暮らしの世帯は含まれていません。

また、この調査における「貯蓄」には、預貯金(普通預金・定期預金など)、有価証券(株式、債券、投資信託など)、積立型の生命保険や個人年金などが含まれます(公的年金や企業年金は含まれない)。また、社内預金、勤め先の共済組合などへの預貯金も含まれます(たんす預金は含まれない)。

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LIMO編集部