筆者は普段から、個人向け資産運用の相談を受けていますが、今の時代「老後」に対しての漠然とした不安を感じている方が多いように感じます。
物価上昇や少子高齢化による年金問題などが浮上することによって、老後への注目が高まっています。
そこで本記事では、実際に老後を迎えた70歳代世帯の貯蓄額にフォーカスしていきます。
老後生活がスタートしている方の貯蓄額を一つの目安として、どんな準備をしていったらいいのか紐解いていきましょう。
1. 70歳代世帯の生活資金源「金融資産の取り崩し」は何割?
2024年12月、金融経済教育推進機構(J-FLEC)は「家計の金融行動に関する世論調査 2024年」の結果を公表。
このうち「二人以上世帯」の調査結果によると、60歳代・70歳代の老後における生活資金源は以下の結果となりました。
1.1 70歳代世帯の生活資金源、9割弱が《公的年金》と回答。金融資産の取り崩しも約3割
- 就業による収入:60歳代41.6%→70歳代19.7%
- 公的年金:60歳代79.8%→70歳代87.3%
- 企業年金、個人年金、保険金:60歳代37.5%→70歳代32.6%
- 金融資産の取り崩し:60歳代31.2%→70歳代30.8%
- 利子配当所得:60歳代12.2%→70歳代13.2%
- 不動産収入(家賃、地代等):60歳代4.2%→70歳代5.3%
- こどもなどからの援助:60歳代1.0%→70歳代1.7%
- 国や市町村などからの公的援助:60歳代3.3%→70歳代4.9%
- その他:60歳代5.2%→70歳代5.0%
60歳代で41.6%だった「就業による収入」は、70歳代ではガクンと下がり19.7%に。一方で「公的年金」の回答割合は、60歳代は79.8%でしたが70歳代87.3%にまで上がります。
一般的な公的年金開始年齢が65歳であることを考えると、自然なデータであると言えるでしょう。一方「金融資産の取り崩し」の回答割合は、60歳代31.2%→70歳代30.8%と、ほぼ横ばいでした。
では実際に70歳代世帯はどの程度の金融資産を保有しているのでしょうか。次では同調査より、その貯蓄事情を深掘りします。