秋も深まり、肌寒さを感じる日が増えてきました。冬は防寒対策の服や寝具、家電などが必要になるもの。早めに冬支度をすることを考えても、年金受給者の方々の中には今年最後の年金支給日である12月15日が待ち遠しいと感じている方もいらっしゃるかもしれません。
老後の生活を支える重要な柱である年金ですが、自分が将来いくら受け取れるのか、他の人はどのくらいもらっているのか、漠然とした不安を抱えている方も少なくないでしょう。
日本の公的年金制度は「国民年金」と「厚生年金」の2階建て構造が基本です。
この記事では、厚生労働省が公表したデータに基づき、60歳代から90歳代までの平均年金受給額を年齢階級別にご紹介します。ご自身の将来設計の参考にしてください。
1. 日本の公的年金制度は「2階建て」の構造
日本の公的年金制度は、その仕組みから「2階建て」と表現されることがあります。これは、原則20歳以上60歳未満が加入する基礎部分の「国民年金」と、会社員などが上乗せで加入する「厚生年金」で構成されているためです。
国民年金と厚生年金のそれぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
1.1 1階部分:国民年金
- 加入対象:原則として日本国内に住む20歳以上から60歳未満の全ての人
- 年金保険料:全員一律(※1)
- 老後の受給額:40年間納付すると65歳以降に満額(※2)を受給できる
※1 国民年金保険料の月額:2025年度 1万7510円
※2 国民年金(老齢基礎年金)の月額:2025年度 6万9308円
1.2 2階部分:厚生年金
- 加入対象:会社員や公務員、一定要件を満たすパート・アルバイトの人が国民年金に上乗せして加入
- 年金保険料:報酬(賞与・給与)に応じて計算される(上限額あり※3)
- 老後の受給額:国民年金に上乗せして受給。厚生年金部分は年金加入期間や納付済保険料により個人差が出る。
※3 保険料額は標準報酬月額(上限65万円)、標準賞与額(上限150万円)に保険料率をかけて計算されます。
厚生年金に加入している期間は、同時に国民年金にも加入していることになります。そのため、老後に受け取る年金額は、基本的には国民年金のみの加入者よりも厚生年金加入者の方が手厚くなる傾向があります。
近年では、公的年金だけでは将来の生活に不安を感じるという理由から、「iDeCo(個人型確定拠出年金)」や民間の「個人年金保険」といった私的年金(3階部分)に加入し、自ら備える人も増加しています。
次に、現在の高齢者世代が実際に受け取っている年金の平均額を確認していきましょう。