2. 60歳~90歳代の「国民年金・厚生年金の平均受給額」を一覧表でみる
厚生労働省年金局が公表した「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」を基に、年金受給額の実態を見ていきます。
この資料から、国民年金と厚生年金(※1)について、年齢階級別(5歳刻み)の平均受給月額を以下にまとめました。
※1 厚生年金の被保険者は厚生年金の被保険者は第1号~第4号に区分されており、ここでは民間企業などに勤めていた人が受け取る「厚生年金保険(第1号)」(以下記事内では「厚生年金」と表記)の年金月額を紹介します。
2.1 【国民年金・厚生年金の一覧表】5歳刻みの平均額
国民年金
- 60~64歳:4万4836円
- 65~69歳:5万9331円
- 70~74歳:5万8421円
- 75~79歳:5万7580円
- 80~84歳:5万7045円
- 85~89歳:5万7336円
- 90歳以上:5万3621円
厚生年金 ※国民年金部分を含む
- 60~64歳:7万5945円
- 65~69歳:14万7428円
- 70~74歳:14万4520円
- 75~79歳:14万7936円
- 80~84歳:15万5635円
- 85~89歳:16万2348円
- 90歳以上:16万721円
表を見ると、本来の年金受給開始年齢である65歳を境に、平均受給額が大幅に増加していることがわかります。
64歳までの平均額が低いのは、年金を60歳から64歳の間に前倒しで受け取る「繰上げ受給」(※2)を選択した人や、報酬比例部分のみを受け取る「特別支給の老齢厚生年金」(※3)の受給者が含まれるためです。
65歳以降の平均月額を比較すると、国民年金のみの受給者は月額5万円台であるのに対し、厚生年金受給者(国民年金部分を含む)は14万円台から16万円台と、約3倍の差があります。
実際には個人の加入状況により個人差がありますが、平均を見ると現役時代に国民年金のみに加入していたか、厚生年金にも加入していたかによって、老後の年金額に基本的には大きな違いが生じることが明らかです。
予期せぬ老後資金の不足に陥らないためにも、ご自身の年金加入履歴を確認し、早期に将来の生活設計を立てることが重要です。
次の章では、全年齢を対象とした平均受給額についても見ていきましょう。
※2 繰上げ受給:老齢年金を「60歳から64歳」の間に前倒しして受給を始めること。繰上げた月数に応じて減額率が適用されます。
※3 特別支給の老齢厚生年金:昭和60年の法改正により厚生年金の受給開始年齢が60歳から65歳に引き上げられた際、受給開始年齢を段階的に引き上げるために設けられた制度。年齢など一定条件を満たす場合に受け取ることができます。