「日本最大級の鉄道会社であるJR東日本で働くと、実際どれくらいの年収が得られるのか」「安定した大企業というイメージがあるけれど、実態はどうなのか」と気になっていませんか?
有価証券報告書によると、東日本旅客鉄道(JR東日本)の平均年間給与は819万1696円で、前年から6.8%増加しています。
ただし、この数字は約4万人の従業員全体の平均であり、運輸事業に集中する同社の雇用構造を反映したものです。
本記事では、2026年3月期の最新の有価証券報告書をもとに、JR東日本の平均年間給与・従業員数・業績推移・今後の経営方針を詳しく解説します。
就職や転職を考えている方はもちろん、同社の株主・投資家の方にとっても、待遇や経営状況を把握する参考になるはずです。
- 平均年間給与819万1696円(前年比6.8%増):2026年4月の人事・賃金制度改正で職務能力給が導入され、成果に応じた昇給の仕組みに変わった。
- 従業員数は単体3万9598名、連結7万623名:単体従業員の98%以上が運輸事業に従事しており、鉄道事業に人員が集中する雇用構造がわかる。
- 4期連続の増収増益とグループ経営ビジョン「勇翔2034」:コロナ禍からの回復を経て、2034年度に営業収益5兆円をめざす成長戦略の中身がわかる。
1. 東日本旅客鉄道の平均年間給与はいくら?2026年3月期の最新データ
東日本旅客鉄道(提出会社単体)の2026年3月31日時点における平均年間給与は819万1696円で、前年から6.8%の増加となりました。
平均年齢は39.8歳、平均勤続年数は17.1年です。
東日本旅客鉄道株式会社(提出会社単体)主要データ1/3
出所:東日本旅客鉄道株式会社「有価証券報告書-第39期」をもとにLIMO編集部作成
2026年4月には、社員の意欲を後押しする人事・賃金制度改正が実施されました。
従来の年功序列的な仕組みを見直し、昇給額を職責に応じて6区分に分ける「職務能力給」が新たに導入され、1年間の業務への取組みと成果を昇給に反映しやすくしています。
あわせて、居住地に応じた住宅等手当の新設や、業務手当の対象拡大なども行われており、年間の人件費を300億円程度増額するとしています。
2. 東日本旅客鉄道の従業員数は何人?セグメント別の内訳
有価証券報告書によると、提出会社(単体)の従業員数は2026年3月31日時点で3万9598名です。
単体のセグメント別従業員数は以下の通りです。
- 運輸事業:3万8879名
- 流通・サービス事業:212名
- 不動産・ホテル事業:383名
- その他:124名
また、連結の従業員数は7万623名(臨時従業員2万629名を含む)です。セグメントごとの内訳は以下の通りです。
- 運輸事業:5万3165名〔臨時1万70名〕
- 流通・サービス事業:6310名〔臨時7660名〕
- 不動産・ホテル事業:6007名〔臨時1964名〕
- その他:5141名〔臨時935名〕
東日本旅客鉄道株式会社 セグメント別従業員数2/3
出所:東日本旅客鉄道株式会社「有価証券報告書-第39期」をもとにLIMO編集部作成
連結従業員数は前連結会計年度末に比べ1064名増加した一方、臨時従業員数は1146名減少しています。
3. 過去5期の業績推移―コロナ禍からの回復と増収増益
過去5期の連結業績を振り返ってみましょう。
新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けた第35期(2022年3月期)は、営業収益1兆9789億円に対し、経常利益・親会社株主に帰属する当期純利益ともに赤字となりました。
その後は鉄道利用の回復とともに業績が持ち直し、第39期(2026年3月期)の営業収益は前期比6.8%増の3兆846億円となりました。
経常利益は同9.4%増の3516億円、親会社株主に帰属する当期純利益は同10.5%増の2478億円と、4期連続の増収増益を達成しています。
東日本旅客鉄道株式会社 業績推移(連結)3/3
出所:東日本旅客鉄道株式会社「有価証券報告書-第39期」をもとにLIMO編集部作成
4. 今後の方針―グループ経営ビジョン「勇翔2034」で目指す成長戦略
東日本旅客鉄道は2025年7月、新たなグループ経営ビジョン「勇翔2034」を発表しました。
2031年度に連結営業収益4.3兆円程度、2034年度には5兆円に向けた成長軌道を描くことを目標に掲げています。
モビリティ(運輸事業)分野では、2025年9月に中長期成長戦略「PRIDE & INTEGRITY」を発表しました。
次世代新幹線の開発や新たな夜行特急列車の運行など、移動体験の価値向上に取り組む方針です。
生活ソリューション(流通・サービス事業、不動産・ホテル事業等)分野では、中長期ビジネス成長戦略「Beyond the Border」のもと、TAKANAWA GATEWAY CITYの開発や、伊藤忠グループとの不動産事業提携などを進めています。
2033年度までに、生活ソリューションの収益・利益を倍増させることをめざしています。
5. まとめにかえて
東日本旅客鉄道の平均年間給与は819万1696円と、前年から6.8%の増加を見せています。
従業員数は単体3万9598名、連結7万623名で、運輸事業に集中した雇用構造となっている点が特徴です。
業績面では、コロナ禍からの回復を経て4期連続の増収増益を達成しています。
2025年7月に発表された「勇翔2034」のもと、モビリティと生活ソリューションの二軸経営によるさらなる成長が期待されています。
5.1 【注意点】有価証券報告書における年間平均給与及び従業員数について
平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでいます。また、従業員数は就業人員数であり、他社への出向者等を除き、他社からの出向者を含みます。
5.2 【ご参考】有価証券報告書とは
日本取引所グループによれば、金融商品取引法に基づく法定開示として、財務内容や事業・営業の概要を記した有価証券報告書を各地財務局に提出することが上場企業に義務付けられており、その内容は金融庁のEDINETで誰でも閲覧できるとされています。
6. 本記事の監修を終えて:新NISAで資産運用を行う元FP会社職員の監修者コメント
JR東日本は運輸事業を中核としながら、Suicaをはじめとする決済・データ事業や不動産・ホテル事業へと収益源を広げています。
就職や転職を検討する際は、平均給与の水準だけでなく、2026年4月から導入された職務能力給のように、成果や役割に応じて処遇が変わる新しい人事制度にも注目したいところです。
年功序列型の賃金体系から、個々の挑戦と成果を反映する仕組みへの転換が進んでいる点は、キャリア形成を考えるうえで大きな判断材料になるでしょう。
投資家目線では、コロナ禍で大幅な赤字を計上した2022年3月期から一貫して業績を回復させ、4期連続の増収増益を達成している点が注目に値します。
同社は2031年度に営業収益4.3兆円、2034年度には5兆円をめざす中期経営ビジョン「勇翔2034」を掲げ、モビリティと生活ソリューションの二軸経営を進めています。
TAKANAWA GATEWAY CITYなどの大規模開発や不動産事業の拡大が、鉄道事業に次ぐ収益の柱として成長するかどうかが、今後の株価動向を占ううえでのポイントとなりそうです。
参考資料
マネー編集部年収班
