2023年1月20日、厚生労働省より2023年度(令和5年度)の年金額の例が発表されました。

国民年金(老齢基礎年金)厚生年金ともに、3年ぶりのプラス改定となっています。

しかし、実際には目減りしているという現状にあるのです。

詳しくみていくとともに、ここ数年の推移も確認しましょう。

【注目記事】厚生年金の見込みが20万円だった男性。手取りの少なさに愕然としたワケ

1. 2023年度の厚生年金と国民年金はいくらか

厚生労働省の発表によると、2023年度の年金額の例は次のとおりとなります。

1/5

出所:厚生労働省「令和5年度の年金額改定についてお知らせします」

出所:厚生労働省「令和5年度の年金額改定についてお知らせします」

国民年金(老齢基礎年金):6万6250円(1人分)※
厚生年金:22万4482円(夫婦2人分)

※2023年度の既裁定者(68 歳以上の方)の老齢基礎年金(満額1人分)は、月額 6万6050円。

ここで注意したいのは、厚生年金の金額です。

こちらは夫婦2人分の合計金額ですが、内訳としては

  1. 夫の国民年金(老齢基礎年金)
  2. 夫が平均標準報酬(賞与含む月額換算)43.9 万円で40年間就業した場合の厚生年金
  3. 妻の国民年金(老齢基礎年金)

となります。

夫の収入が限定的である点、さらには妻が専業主婦であると想定されている点などから、この数字が全員にあてはまるわけではないことがわかります。

2. 厚生年金と国民年金の実際の受給額

もう少し実情がわかりやすいように、ここでは実際に受給されている厚生年金と国民年金の受給額平均を見ていきます。

厚生労働省「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」から見てみましょう。

2.1 厚生年金(老齢厚生年金)の受給額

厚生年金の月平均(最新データ)2/5

厚生年金の月平均(最新データ)

出所:厚生労働省「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」

〈全体〉平均年金月額:14万3965円

  • 〈男性〉平均年金月額:16万3380円
  • 〈女性〉平均年金月額:10万4686円

※国民年金の金額を含む

2.2 国民年金(老齢基礎年金)の受給額

国民年金の月平均(最新データ)3/5

国民年金の月平均(最新データ)

出所:厚生労働省「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」

〈全体〉平均年金月額:5万6368円

  • 〈男性〉平均年金月額:5万9013円
  • 〈女性〉平均年金月額:5万4346円

厚生年金を受け取れるかどうかで、水準が大きく異なるようです。

厚生労働省が公表した2023年度の厚生年金では、「妻が専業主婦(国民年金だけ)」と想定されていましたが、夫婦ともに厚生年金を受給できる場合、もう少し高い金額になると期待できます。

3. 年金は過去から増えているのか

3年ぶりのプラス改定となった年金ですが、過去から増えているのでしょうか、それとも減っているのでしょうか。

最近の推移をまとめてみました。

3.1 厚生年金の平均月額の推移

4/5

出所:厚生労働省「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」

出所:厚生労働省「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」

  • 2017年度:14万4903円
  • 2018年度:14万3761円
  • 2019年度:14万4268円
  • 2020年度:14万4366円
  • 2021年度:14万3965円

3.2 国民年金の平均月額の推移

5/5

出所:厚生労働省「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」

出所:厚生労働省「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」

  • 2017年度:5万5518円
  • 2018年度:5万5708円
  • 2019年度:5万5946円
  • 2020年度:5万6252円
  • 2021年度:5万6368円

厚生年金の場合、やや減少傾向が見られます。

ちなみに2012年は14万8422円だったので、やはり減少していることが見て取れます。

一方、国民年金に関しては大きな減少傾向は見られません。しかし、支払う保険料は年々増えていることに注目したいところです。

2012年度の保険料は月額1万4980円でしたが、2022年度は月額1万6590円。

負担が高まる分年金の増加を期待したいところですが、現実ではそうはいきません。

2023年度はプラス改定になるものの、実質的には目減りするという現状もあるのです。

4. 2023年度の年金は実質目減り

2023年度の年金は、新規裁定者が2.2%、既裁定者が1.9%の増額となる見通しです。

しかし、2022年の消費者物価指数は2.5%増、賃金変動率は2.8%増。

本来であれば、こうした数字を年金額に反映させるため、もっと大きなプラスになるはずです。

そこまで大きく上昇しなかった原因は、年金額の伸びを抑える「マクロ経済スライド」が発動したためです。

目減りとなると生活が厳しいと感じるものですが、公的年金制度を維持するには不可欠な制度となります。

5. 老後に向けて個人でも対策を

年金額の推移や、直近の受給額平均を見ていきました。

「マクロ経済スライド」等により、年金制度は破綻することがないと言われています。

とはいえ、年金額が徐々に減少している可能性は高いでしょう。

年金だけで生活できる高齢者が少なくなる今、個人としての自助努力が必要となります。

まずは足りない老後資金を把握するために、ねんきんネットやねんきん定期便などで「年金の目安額」を確認してみましょう。

参考資料

太田 彩子