コロナ禍で大きな打撃を受けた観光市場が、力強い回復と成長を見せています。出入国在留管理庁および観光庁の調査データによると、2025年の外国人入国者数と日本人の国内旅行消費額が、それぞれ過去最高を更新しました。
本記事では、訪日外国人の動向や日本人出国者数の伸び、さらに国内旅行における消費額・単価の急上昇について最新データをわかりやすく解説します。
1. 外国人入国者数は過去最高の4243万人超!日本人出国者数も1400万人台へ増加
出入国在留管理庁の発表によると、2025年の外国人入国者数は4243万0930人、新規入国者数は3918万4525人に達し、いずれも過去最高を更新しました。
新規入国者の在留資格別内訳では「短期滞在(3845万8105人)」が大部分を占め、国籍・地域別では1位韓国、2位中国、3位台湾と近隣諸国からの訪日客が上位を占めています。
また、2025年の日本人出国者数は1473万1615人を記録し、前年から172万4333人増加しました。
インバウンド(訪日外国人)の急増だけでなく、日本人の海外渡航需要も着実に回復しています。
2. 国内旅行消費額は過去最高の26兆円超え!1人1回あたりの旅行単価も過去最高に
外国人観光客の増加に加えて、日本人の国内旅行市場もかつてない盛り上がりを見せています。
観光庁の「旅行・観光消費動向調査」によると、2025年の日本人国内旅行消費額は前年比6.5%増の26兆7845億円となり、コロナ禍前の2019年を超えて過去最高額を達成しました。
日本人国内旅行の1人1回あたり旅行支出(旅行単価)も4万8424円と過去最高を記録。
国内延べ旅行者数も5億5313万人(前年比102.4%)に達し、旅行単価の上昇とともに国内観光市場を大きく押し上げています。
3. 【監修者コメント】伸びの主役は"人数"より"単価" ― 観光は日本の「輸出産業」になった
3.1 訪日4243万人、国内消費26.8兆円の過去最高
私はアナリストとして産業のデータを見てきましたが、観光の数字は「日本経済の体温計」として読むと、いろいろなことが見えてきます。2025年は、出入国在留管理庁によると外国人入国者が4243万人と過去最高。観光庁によれば、日本人の国内旅行消費額も26兆7845億円(前年比6.5%増)に達しました。インバウンドと国内需要の両輪が、そろって回っている構図です。
3.2 消費を押し上げたのは「単価」、そして観光は"輸出"になった
数字を分解すると、二つのことが浮かびます。一つは、国内消費の伸び(+6.5%)に対し、延べ旅行者数の伸びは+2.4%にとどまる点です。つまり消費増の主役は「人数」ではなく「単価」で、1人1回あたりは4万8424円まで上がっています。旅行にも、量より価格が効く高付加価値化・インフレの波が及んでいるのです。もう一つは規模感です。訪日外国人4243万人は、日本人出国者1473万人のおよそ2.9倍。海外にお金を落としに行く以上に、海外から稼ぐ国になったということで、観光はいまや立派な「輸出産業」だといえます。
3.3 「勢い」と「振れやすさ」を同時に見る
この好調は、旅行・小売・外食など幅広い業種の追い風になります。ただ、投資家の目線でいえば、観光は世界経済や為替、地政学リスクに左右されやすく、単価の上昇がどこまで続くかも見ておきたいところです。見出しの「過去最高」に一喜一憂するより、人数と単価のどちらが伸びているか、両輪のうちどちらが強いか、という中身で追うと、景気の実像がつかみやすくなるのではないでしょうか。なお、個別企業への投資判断は、各社の業績や見通しを別途ご確認ください。
泉田良輔(CMA)
参考資料
LIMO編集部
著者
LIMO編集部は、経済や金融、資産運用等をテーマとし、金融機関勤務経験者の編集者が中心となり、情報発信を行っています。またメディア経験者の編集者がキャリア、トラベル、SDGs、ショッピング、SNSなどについて話題となっているニュースの背景を解説しています。当編集部はファンドマネージャーや証券アナリスト、証券会社・メガバンク・信託銀行にて資産運用アドバイザー、調査会社アナリスト、ファッション誌編集長、地方自治体職員等の経験者で構成されています。編集スタッフの金融機関勤務経験年数は延べ58年(696か月)で、メンバーが勤務していた金融機関は、野村證券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券、日興証券、三菱UFJ銀行、三井住友信託銀行、日本生命、フィデリティ投信などがある。日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)、第一種外務員(証券外務員一種)、CFP®、FP2級、AFP等の資格保有者が複数在籍。生保関連業務経験者は過去に保険募集人資格を保有。株式会社モニクルリサーチが運営(最新更新日:2026年2月7日)。
監修者
株式会社モニクルリサーチ
代表取締役/日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)
株式会社モニクルリサーチ代表取締役。その他に株式会社モニクル取締役COO、株式会社モニクルフィナンシャル取締役COOも務める。LIMO&ファイナンス編集長。東京科学大学大学院非常勤講師。日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科修了(同研究科最優秀賞受賞)
1. 経歴
2013年に株式会社ナビゲータープラットフォーム(現:株式会社モニクルリサーチ)を原田慎司(現同社取締役)らとともに共同創業。2013年に個人投資家向け金融経済メディア「Longine(ロンジン)」を立ち上げ、編集長に就任。Longineの立ち上げの経緯はBloombergにおいて「体力勝負アナリスト辞めます、元外資マン個人に長期投資指南」として掲載され大きな反響を呼ぶ。投資情報のサブスクモデルを確立する。その後、株初心者向けネットメディア「株1」、2015年にはくらしとお金の経済メディア「LIMO」の前身となる「投信1」を立ち上げる。2026年6月に専門家と実務家が情報発信をする金融経済ニュースサイト「LIMO&ファイナンス」を立ち上げ編集長に就任。
それ以前は、日本生命・国際投資部で外国株式ファンドマネージャー、フィデリティ投信・調査部や運用部にて10年に渡ってインターネット、電機(半導体・民生・産業エレクトロニクス)、機械(ロボットやセンサー企業中心)といったテクノロジーセクターの証券アナリストや中小型株ファンドのアシスタント・ポートフォリオ・マネージャー(最年少で就任)として従事。
2. 専門・研究領域
慶応義塾大学商学部卒業。国際金融及びコーポレート・ガバナンスを専攻。アジア通貨危機、昭和金融恐慌などの金融パニックのメカニズムを金融政策や金融機関への規制の観点から研究。それらの内容は「昭和金融恐慌からの教訓 平成恐慌になにをどう生かすべきか」(三田商学研究学生論文集)として発表。
3. 著書
・『機関投資家だけが知っている「予想」のいらない株式投資』(ダイヤモンド社)
・『テクノロジーがすべてを塗り変える産業地図』(クロスメディア・パブリッシング)
・『銀行はこれからどうなるのか』(クロスメディア・パブリッシング)
・『Google vs トヨタ 「自動運転車」は始まりにすぎない』(KADOKAWA)
・『日本の電機産業 何が勝敗を分けるのか』(日本経済新聞出版社)
4. 寄稿や講演他
「日経BizGate」での連載「泉田良輔の新・産業鳥瞰図」や「現代ビジネス」、「東洋経済オンライン」、「プレジデント」などへの寄稿や対談も多数。対談記事例としては「【未来予想】ブロックチェーン革命が、「半沢直樹」の世界に終わりを告げる」や「【未来予想】アマゾンとビットコインが、次世代の「銀行」になる理由」(いずれもNewsPicks)、「米独に遅れる日本の自動運転、自動車も電機の二の舞に?」(週刊ダイヤモンド)。海外ジャーナリストからインタビューされることも多く、Financial TimesやThe Economist、Bloombergにおいて自動車や金融業界についての国内外産業動向コメントも発信している。
講演会や動画での情報発信も盛んに行っており、NewsPicksのTHE UPDATE、日経ビジネススクール、慶應丸の内キャンパス、慶應義塾SDM、アカデミーヒルズなどでも講義を行う。またNewsPicksのNewSchoolではプロジェクトリーダーとして「本当に初心者のための資産運用」を開催。
最終更新日:2026年6月26日