2.2 繰り上げ返済のデメリット
住宅ローン控除が適用できなくなる可能性
住宅ローン控除は、年末借入残高(*)の0.7%が原則13年間、所得税から還付されるものですが、ローンの借入期間が10年以上残っていることが要件となっています。
*住宅性能により上限金額が異なる
住宅ローン控除対象期間に、返済期間短縮型の繰り上げ返済をしたことで、返済期間が10年未満となってしまうと、せっかくの恩恵が受けられなくなります。
住宅ローン控除を満額受けられない可能性
年末借入残高の0.7%が、住宅ローン控除の還付額ですが、繰り上げ返済によりローン残高が減ることにより、控除額も減額になる可能性があります。
たとえば、年末ローン残高が3000万円だった場合、還付額は21万円ですが、500万円の繰り上げ返済により残高が2500万円となった場合の還付額は17万5000円になります。
満額控除を受けたい場合には、控除適用期間中の繰り上げ返済額に注意しましょう。
ただ、当たり前ですが、払っている所得税以上の金額は還付されません。
上記の例で、仮に所得税年額が15万円の方であれば、15万円以上の還付はないため、繰り上げ返済をしても控除額に影響はないということになります。
個人により事情が異なりますので、実際に繰り上げ返済をする際は所得税納税額も確認してください。
団体信用生命保険(団信)の効果が薄くなる
団信に加入していると、住宅ローンの返済中に契約者が死亡してしまった場合に、残りのローン残債を保険金で完済してくれます。
ローンの残債と保険金はイコールですので、繰り上げ返済によりローン残債が減れば、保険金額も減額されます。
もし、500万円の繰り上げ返済をした直後に契約者が亡くなってしまったら、残された家族からみたら500万円の繰り上げ効果はなかったことになってしまいます。
団信に加入している場合は、このようなケースもあることを念頭に置いておきましょう。