日本の年金制度は、国民年金(1階部分)と厚生年金(2階部分)からなる「2階建て構造」になっていますが、「将来、自分はいくら年金をもらえるのだろう?」そんな不安を感じることもあると思います。
厚生労働省の統計によると、年金受給額が年間300万円を超える人はごくわずかであり、多くの人が公的年金だけでは生活に不安を抱えています。今回は、最新の統計データから年金受給額の実態を紐解き、2025年に成立した年金制度の改正内容も交えながら、私たちの老後を豊かにするためのヒントをお伝えします。
1. 【厚生年金+国民年金】年間300万円超えは「ほんの一握り」
厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金の男女全体の平均月額は「14万6429円」です。年換算すると約176万円となります。月額15万円以上の年金を受け取っている人は全体の47.6%で、これは受給している人の半分にも満たないのが現状です。
なお、この金額には1階部分の国民年金が含まれています。
1.1 厚生年金の受給額ごとの受給権者数
受給額ごと人数分布のデータを年間に換算すると、さらに明確な実態が見えてきます。
- 年間180万円以上(月額15万円以上):47.6%
- 年間240万円以上(月額20万円以上):16.3%
- 年間300万円以上(月額25万円以上):1.7%
このように、年間300万円以上の年金を受け取っている人は、全体のわずか1.7%とまさに「一握り」であることがわかります。厚生年金を受給しない人も母数に加えると、年金を月額15万円以上受け取る人の割合はさらに下がるでしょう。公的年金だけでゆとりのある老後を送ることが難しい現状が、この数字からも読み取れます。