私たちが支払った年金保険料の一部は、将来の年金支払いに備えて「年金積立金」として管理されています。

そして、この積立金の一部は、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)によって、国内外の株式や債券などで運用されています。

2025年11月7日にGPIFが公表した「2025年度第2四半期運用状況(速報)」によると、7-9月期の期間収益は+5.52%を記録。運用がスタートした2001年度からの収益率は年4.51%と、着実に資産を増やしていることがわかりました。

「公的年金の積立金の運用」という性質上、資産を大きく減らすことは許されません。こうした中で、着実な運用成果をあげているGPIFの運用方法は、個人の資産運用においても参考にできる部分があります。

この記事では、GPIFによる年金積立金の運用状況や、資産配分を確認していきます。そのうえで、運用益が非課税になるNISA制度を活用して「毎月3万円」の積立投資を年4%・5%で運用できた場合、資産がどのように増えるかをシミュレーションしてみます。

1. 年金積立金の運用状況、2025年7-9月期は収益率+5.52%を記録

私たちの公的年金の積立金を管理・運用しているGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は、2001年度の市場運用開始以来、年率換算で+4.51%という安定した収益率を達成しています。

直近の2025年度第2四半期(7月~9月)における期間収益率は+5.52%と、好調な結果を示しました。

下記のグラフが示すように、短期的には市況によって収益が変動する局面もありますが、長期的な視点で見ると着実に資産が積み上がっていることがわかります。

GPIF「市場運用開始後の四半期収益率と累積収益額(2001 年度~2025年度第1四半期)」

GPIF「市場運用開始後の四半期収益率と累積収益額(2001 年度~2025年度第1四半期)」

出所:GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)「2025年度第2四半期運用状況(速報)」

公的年金の運用は、国民の大切な資産であるため、極めて慎重な方針が採られています。具体的には、下の円グラフのように「国内債券・国内株式・海外債券・海外株式」の4つの資産に25%ずつ均等に配分する「基本ポートフォリオ」を構築し、リスク分散を徹底しています。

このような堅実な運用方針のもと、公的年金は市場の変動を乗り越えながら、長期的には年率でおおよそ+4%前後のリターンを上げてきました。

これからNISAなどで資産運用を始めようと考えている方にとって、GPIFの運用実績や資産配分は、リスクを管理しながら長期投資を行う上での現実的な目標設定の参考になるのではないでしょうか。