6月26日に総務省が公表した「2020年基準 消費者物価指数 東京都区部 2026年(令和8年)6月分(中旬速報値)」によると、総合指数は前年同月比で1.7%上昇しました。

データにも表れているように物価の上昇が続くなか、年金だけで生活していくことに不安を感じている方も少なくないかもしれません。

筆者はこれまで金融商品の販売を通じ、多くのはたらく世代やシニア世代のお悩みに寄り添ってきましたが、家計の負担を少しでも和らげるには「もらえるはずのお金」をしっかり受け取ることが大切だと実感しています。

実は、公的年金に加えて給付金が支給される「年金生活者支援給付金」という制度があります。

この制度は、所得が一定の基準に満たない年金受給者の生活を支えることを目的としています。

この記事では、どのような方が対象になるのか、いくら受け取れるのか、そして手続きはどのように進めるのかを、具体的に解説していきます。

ご自身が対象になるかどうか、この機会にぜひ確認してみてください。

中本 智恵
本記事は、厚生労働省および日本年金機構の公式資料をもとに、編集部が制度内容を確認し、正確性に配慮して執筆・監修しています。

1. 年金生活者支援給付金とはどのような制度?

年金生活者支援給付金は、公的年金などの収入やその他の所得額が基準額を下回る年金受給者の生活を支援するための制度です。

この給付金は一時的なものではなく、年金に上乗せする形で継続的に支給される点が特徴です。

受給している基礎年金の種類に応じて、以下の3つに分けられます。

  • 老齢年金生活者支援給付金
  • 障害年金生活者支援給付金
  • 遺族年金生活者支援給付金

初回の受け取りには申請が必要ですが、一度手続きをすれば、支給要件を満たしている限り2カ月に1度の頻度で支給が続きます。

2. 年金生活者支援給付金の支給対象となる要件

基礎年金を受給している方のうち、年金収入や所得の合計が一定の基準を下回る場合に「年金生活者支援給付金」を受け取れる可能性があります。

この章では、3種類の給付金それぞれの具体的な支給要件について詳しく見ていきましょう。

2.1 老齢年金生活者支援給付金の支給要件

老齢年金生活者支援給付金の支給要件2/11

支給要件

出典:日本年金機構「老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金の概要」

老齢年金生活者支援給付金は、下記の要件をすべて満たす方が対象となります。

  • 65歳以上で老齢基礎年金を受給している
  • 同じ世帯の全員が市町村民税非課税である
  • 前年の公的年金などの収入金額(※1)とその他の所得の合計額が、昭和31年4月2日以降に生まれた方は80万9000円以下、昭和31年4月1日以前に生まれた方は80万6700円以下である(※2)

※1 障害年金や遺族年金といった非課税収入は含まれません。
※2 昭和31年4月2日以降生まれの方で80万9000円を超え90万9000円以下、昭和31年4月1日以前生まれの方で80万6700円を超え90万6700円以下の方には「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給されます。

2.2 障害年金生活者支援給付金の支給要件

障害基礎年金を受給されている方へ3/11

障害基礎年金を受給されている方へ

出典:厚生労働省「年金生活者支援給付金制度」

障害年金生活者支援給付金は、以下の支給要件を両方とも満たす場合に支給の対象となります。

  • 障害基礎年金の受給者であること
  • 前年の所得(※)が479万4000円以下であること(扶養親族の人数に応じて増額されます)

※ 障害年金などの非課税収入は所得に含まれません。

2.3 遺族年金生活者支援給付金の支給要件

遺族基礎年金を受給されている方へ4/11

遺族基礎年金を受給されている方へ

出典:厚生労働省「年金生活者支援給付金制度」

遺族年金生活者支援給付金を受け取るには、下記の要件をすべて満たす必要があります。

  • 遺族基礎年金の受給者であること
  • 前年の所得(※)が479万4000円以下であること(扶養親族の人数に応じて増額されます)

※ 遺族年金などの非課税収入は所得に含まれません。

3. 年金生活者支援給付金で受け取れる給付額はいくら?

「年金生活者支援給付金」の給付額は、毎年度見直しが行われます。

これは、公的年金と同様に前年の物価の変動などに連動する仕組みになっているためです。では、今年度の給付額はいくらになるのでしょうか。

3.1 2026年度における年金生活者支援給付金の金額

年金生活者支援給付金の給付額5/11

年金生活者支援給付金の給付額

出典:厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」をもとにLIMO編集部作成

2026年度の「年金生活者支援給付金」の基準額は、前年度から3.2%増の月額「5620円」となりました。

  • 老齢年金生活者支援給付金(基準額):月額5620円
  • 障害年金生活者支援給付金:障害等級1級は月額7025円、2級は月額5620円
  • 遺族年金生活者支援給付金:月額5620円

ただし、老齢年金生活者支援給付金に関しては、この基準額を基に保険料を納付した期間などを考慮して、個別の給付額が計算されます。

4. 年金生活者支援給付金を受け取るための手続き

それでは、この給付金を受け取るためには、どのような手続きを踏めばよいのでしょうか。

年金生活者支援給付金6/11

年金生活者支援給付金

出典:厚生労働省「年金生活者支援給付金」

「手続きを忘れてしまいそうで不安」と感じる方もいるかもしれませんが、支給対象と判断された方には、日本年金機構から請求に関する書類が送付されます。

基本的には、その書類に必要事項を記入して返送するだけで手続きは完了しますので、ご安心ください。

ただし、対象者の年金の受給状況によって書類の形式や手続きのタイミングが変わります。ここでは3つのケースに分けて、手続きの方法を見ていきましょう。

4.1 ケース1:これから老齢年金の受給を開始する方(緑色の封筒)

まだ年金を受け取っていない方には、受給が始まる3カ月前に、年金手続きに必要な「年金請求書(事前送付用)」が届きます。

その際に、「年金生活者支援給付金請求書」が一緒に封入されています。

必要事項を記入し、年金の請求書とあわせて提出してください。注意点として、請求書は年金の受給開始年齢に達する誕生日の前日以降でないと提出できません。

4.2 ケース2:すでに年金を受給中の方(薄緑色の封筒)

年金生活者支援給付金請求書の封筒8/11

年金生活者支援給付金請求書の封筒

出典:日本年金機構「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)送付用封筒」

すでに基礎年金を受給している方でも、所得額の変動などによって新たに給付金の対象となる場合があります。

そうした方々を対象に、毎年9月1日から「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が順次郵送されます。

令和7年度の年金生活者支援給付金請求書(はがき型)9/11

令和7年度の年金生活者支援給付金請求書(はがき型)

出典:日本年金機構「令和7年度の年金生活者支援給付金請求書(はがき型)の送付について」

はがきに必要事項を記入し、同封されている目隠しシールを貼り付けます。その後、差出人欄にご自身の住所・氏名を書いて、切手を貼ってから投函しましょう。

※支給要件に該当するかどうか確認できない方には、A4サイズの請求書と、所得情報を確認するための所得状況届が送付されます。

4.3 ケース3:老齢基礎年金を繰上げ受給している方(薄橙色の封筒)

年金生活者支援給付金の請求書封筒、繰上げ受給中の人用10/11

年金生活者支援給付金の請求書封筒、繰上げ受給中の人用

出典:日本年金機構「65歳の誕生日を迎えた方で、老齢基礎年金を繰上げ受給している方」

最後に、老齢基礎年金を繰上げ受給している方のケースです。

給付金の受給対象になると見込まれる場合、65歳になる誕生月の初旬(1日生まれの方は前月初旬)に「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が郵送されます。

書類が届いたら、必要事項を記入し、付属の目隠しシールを貼ってから切手を貼付してポストに投函してください。

※支給要件に該当するか確認できない方には、A4サイズの請求書と、所得情報を確認するための所得状況届が送付されます。

最初の年は手続きが必要ですが、その後は支給要件を満たし続ける限り、自動的に給付金を受け取ることができます。

もし所得が増えるなどして支給要件を満たさなくなった場合には、「年金生活者支援給付金不該当通知書」が届き、給付金の支給は停止されます。

なお、2025年1月以降に65歳になり、日本年金機構から「年金生活者支援給付金請求書(はがき)」が届いた方は、電子申請での提出も可能になっています。

電子申請を利用した場合、郵送での提出は不要です。

5. 高齢者世帯の生活実態:半数以上が「生活苦」を実感

ある調査では、高齢者世帯の半数以上が日々の生活を「苦しい」と感じているという結果が報告されています。

ここでは、高齢者の生活意識に関する厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」を参考に、その実態を見ていきましょう。

この調査によると、高齢者世帯の生活意識は以下のようになっています。

5.1 高齢者世帯の生活意識の内訳

  • 大変苦しい:25.2%
  • やや苦しい:30.6%
  • 普通:40.1%
  • ややゆとりがある:3.6%
  • 大変ゆとりがある:0.6%

「大変苦しい」と「やや苦しい」を合計した「苦しい」と感じている世帯の割合は、55.8%と半数を超えています。

この結果から、「普通」と回答した世帯よりも、生活に苦しさを感じている世帯の方が多いことがわかります。

6. まとめ

今回は、年金生活者支援給付金について詳しく解説しました。

年金生活者支援給付金とは、年金収入やその他の所得が一定の基準以下の方を対象にした公的な支援制度です。

2026年度の給付額は、前年比で3.2%の増額となっており、月額5620円もしくは7025円の給付金が受け取れます。

この給付金を受け取るには請求手続きが必要です。請求手続きの案内が届いていたが手続きをしていないという方は速やかに請求手続きをおこないましょう。

また、このような公的な支援制度は他にもたくさんあります。

年金生活が苦しくて大変という方は、市役所の福祉課などに一度相談してみましょう。

参考資料

鶴田 綾