65歳以上になると、年金が生活の支えという人は多いです。
その際、「どのくらい年金をもらえるのかな?」「年金で生活する場合、足りるの?」など、気になる人は多いのではないでしょうか。
今回は、実際どのくらいの人がいくらの年金を受給しているかということと、年金から控除されるものについて解説します。
【注目記事】厚生年金の見込みが20万円だった男性。手取りの少なさに愕然としたワケ
1. 年金で最低限の生活送るために、月額20万円は確保したい
公益財団法人生命保険文化センターが行った「生活保障に関する調査令和元年度(2019年度)」によると、自分の老後生活が、現役時代の生活と比較して経済的にどのように変化すると考えているかという質問に対して、「つつましい生活」が70.0%を占めています。
多くの人にとっての老後生活は、現役時代よりも生活費を抑えた暮らしをイメージしていることがわかります。
さらに調査では、夫婦で老後生活を送るうえで最低日常生活費として必要な額という質問に対しては、平均22万1000円(月額)という結果となりました。分布では、「20~25万円未満」が29.4%と最も多く、以下「30~40万円未満」(17.0%)、「25~30万円未満」(13.1%)の順となっています。
これより、65歳以上を老後生活とするなら、年金で受け取る額は、少なくとも月額20万円ほどは確保したいと考えている人が多いと考えられます。
2. 厚生年金を月額20万円受け取るために必要な年収
まずは、月額20万円の厚生年金を受け取るために、現役時代の年収がどのくらい必要なのかを調べてみましょう。
2.1 <月20万円の年金を受け取るための年収計算の基本的な条件>
- 対象者は会社員、配偶者なし、扶養家族なし
- 2003年4月以降に就職
- 厚生年金保険の加入期間は38年。なお、20歳から2年間は国民年金に加入して、通算加入期間は40年とする
- 老齢基礎年金は満額の年額77万7800円(2022年分)→月額:6万5000円
- 年金を月20万円もらう場合の老齢厚生年金162万円→月額:13万5000円
2.2 老齢厚生年金の報酬比例部分の年金額を試算
- 平均標準報酬額×5.481/1000×2003年4月以後の被保険者期間の月数456月=162万円
- 平均標準報酬額×0.005481×456月=162万円
- 平均標準報酬額≒64万8172円
- 標準報酬月額は65万円(標準報酬月額の上限)
- 65万円で報酬比例部分を計算すると、162万4568円≒月額13万5000円
- 老齢基礎年金の月額6万5000円+老齢厚生年金の月額13万5000円=20万円
これより、約20万円の年金が受け取れます。
実際に、月額20万円の年金を受け取るには、標準報酬月額65万円とした場合の標準月額は63万5000円~66万5000円となります。つまり、年収は少なくとも63万5000円×12=762万円を平均的に受け取る必要がありそうです。
国税庁が公表している「民間給与実態統計調査(2020年分)」にて、年収700万円超の割合を確認してみると、全体の13.6%(男女計)という結果となりました。
3. 厚生年金を月平均で20万円以上受給できるのは何割なのか
厚生労働省が公表している「令和2年度(2020年度)厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、男女あわせた厚生年金受給額の月平均が14万4366円(老齢基礎年金含む)となっています。
また、男性の月平均は16万4742円(老齢基礎年金含む)、女性の月平均は10万3808円(老齢基礎年金含む)です。男女それぞれの厚生年金受給額を確認してみましょう。
厚生年金を「ひとりで20万円以上」受給しているのは男性で約23.6%となり約2割、女性で約1.26%です。男女合計しても、20万円以上の年金を受け取るのは1~2割ほどといえます。
なお、「夫婦で20万円以上」であれば、前述のとおり夫の平均月額が約16万円、妻(主婦)の老齢基礎年金月額が約6万5000円、合計年金額22万5000円となります。
4. 給料は毎月支払われるが、年金は2か月に1回しか支払われない
将来、年金だけで生活する場合、給料と大きく違うのは、支給される間隔です。給料は毎月支払われるものですが、年金は、2か月に1回しか支払われません。
年金の支給は、2月、4月、6月、8月、10月、12月の年6回だけです。支給される年金額については、毎年6月に届く「年金振込通知書」に2か月分が記載されています。
5. 厚生年金を約20万円受給した場合の手取り額
年金振込通知書で確認が必要なのは、支給額だけではありません。というのも、年金からは、国民健康保険料(75歳未満)または、後期高齢者医療保険(75歳以上)・介護保険料・所得税・住民税も2か月分が天引きされるからです。
ここからは、年金月額20万円、年額にして240万円が支給される場合の手取り額を考えてみましょう。
保険料や住民税などは、お住まいの地域の自治体ごとに異なります。今回は、東京都世田谷区の場合で確認してみましょう。
5.1 《条件》
- 東京都世田谷区在住、65歳〜74歳、扶養親族無し
- 年金は年間240万円、公的年金等の雑所得は130万円
「年金収入(240万円)―公的年金等控除(110万円)=雑所得(130万円)」
- 基礎控除額は43万円
- 所得額は130万円−43万円=87万円
1. 国民健康保険
- 所得割:基礎分保険料(87万円×7.16%=6万2292円)
- 所得割:支援金分保険料(87万円×2.28%=1万9836円)
- 均等割:(4万2100円+1万3200円=5万5300円)
- 合計額:13万7428円
2. 介護保険料
- 本人が住民税課税で、合計所得金額が120万円以上210万円未満(第8段階)に該当するため、9万2700円
3. 所得税
- 所得額は130万円−48万円-23万円※=59万円
※社会保険料控除が「国民健康保険料(13万7428円)+介護保険料(9万2700円)=23万128円」となります。
- 59万円×5%=2万9500円
4. 住民税
住民税の基礎控除は43万円と、所得税より5万円少なくなります。
- 所得額は130万円-43万円−23万円=64万円
- 64万円×10%(所得割)+5000円(均等割)=6万9000円
上記1~4の年金から控除されるものを合計すると、32万8628円となります。
これより、年金の年額240万円から約32万円を控除すると手取り額は208万円となり、年金月額にすると約17万円となります。支給される年金から約15%が控除されることになります。
なお、自治体ごとに、控除される税金・社会保険料などに違いがあるため、詳細な内容については、個々にご確認ください。
まとめ
年金も給与と同じで控除分が天引きされます。手取り額をしっかり押さえるようにしましょう。
参考資料
- 公益財団法人生命保険文化センター「令和元年度「生活保障に関する調査」(令和元年12月発行)」
- 国税庁「民間給与実態統計調査(2020年分)」
- 全国健康保険協会「令和4年度保険料額表(令和4年3月分から)」
- 厚生労働省「令和2年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 日本年金機構「年金振込通知書」
- 世田谷区「保険料の計算方法」
- 世田谷区「世田谷区の介護保険料額」
- 国税庁「No.2260 所得税の税率」
- 世田谷区「住民税について」


