後期高齢者の医療費は現役世代の約5倍

「年を重ねると医療費がかかる」と漠然と感じている方も、実際にはどれほど医療費がかかるのか想像もつかないのではないでしょうか。

厚生労働省が2021年11月9日に公表した「令和元(2019)年度 国民医療費の概況」によると、医療費は次のとおりとなっています。

出所:厚生労働省「令和元(2019)年度 国民医療費の概況」

  • 65歳未満の1人あたりの医療費:19万1900円
  • 65歳以上の1人あたりの医療費:75万4200円
  • 75歳以上の1人あたりの医療費:94万600円

65歳未満の医療費に比べ、75歳以上の医療費は約5倍になっています。こうした医療費を、あまり医療にかからない現役世代が支えていることを考えると、今回の制度改正は当然の流れにあったといえます。

かつて、老人の自己負担分は地方自治体や国が公費負担することで、「負担なし」という時代もありました。

その後自己負担額が定額で定められ、やがて1割負担に。その後、現役並所得者は2割→3割負担という経過を辿っています。

つまり、高齢者の医療費負担は徐々に引き上げられているのです。少子高齢化が進むとなると、当然の動きとも言えますね。