2025年は、障害年金の不支給が増加したことが報じられ、障害者支援制度への関心が高まっています。その中で、知的障害のある方がさまざまな支援を受けるための「療育手帳」について、改めて知っておきたいという声も増えています。今回は、厚生労働省の調査をもとに、療育手帳の種類や所持者の傾向、年代別の分布、そして申請時の注意点についてやさしく解説します。
1. 障害者手帳は3種類「適切に様々な支援を受けるために」
障害者手帳とは、一般的に「身体障害者手帳」「療育手帳」「精神障害者保健福祉手帳」の3種類のことをいいます。制度の根拠となる法律等はそれぞれ異なりますが、どの手帳を持っていても「障害者総合支援法」の対象となり、さまざまな支援を受けることができます。また、自治体や民間企業などが独自に提供しているサービスが利用できる場合もあります。
1.1 【身体障害者手帳】所持者数478万3069人
厚生労働省によると、令和5年度の身体障害者手帳の所持者数は478万3069人。視覚や聴覚、手足などの身体機能に一定以上の障がいがある人に交付され、指定医師の診断書などが必要です。原則更新は不要ですが、状態変化時には再認定を受けることがあります。この手帳は「身体障害者福祉法」に基づき、都道府県・指定都市・中核市が交付業務を行っています。
1.2 【療育手帳】所持者数128万1469人
令和5年度の療育手帳の所持者数は128万1469人。児童相談所や知的障害者更生相談所で知的障害と判定された人に交付され、この手帳を持つことで様々な障害福祉サービスや自治体・民間の支援が受けられます。ただし、この制度は全国共通ではなく、自治体ごとに運用方法や判定基準が異なります。
1.3 【精神障害者保健福祉手帳】所持者数144万8917人
令和5年度の精神障害者保健福祉手帳の所持者数は144万8917人。精神障害者保健福祉手帳は、一定程度の精神障害があると認められた人に交付され、手帳を持っていることで社会参加の促進などのための様々な支援を受けられます。等級は1級から3級まであり、精神疾患の状態と日常生活や社会生活における能力障害の状態の両面を総合的に判断して決定されます。
今回は「療育手帳」の所持者について解説していきます。