上記の研究機関は、水から製造する水素と発電所や工場などから排出するCO2を原料として炭素数が2~4のエチレン、プロピレン、ブテンを合成する方法をすでに研究開発中です。効率の良い「人工光合成」の実現を期待したいところです。

水素は水から生まれて水に戻る

水素によるエネルギー獲得手段は、現状ではコスト競争力はないかもしれませんが、今から投資しておくことは、中長期的に我が国にとって大きな財産になるはずです。

政府は、2017年に策定した水素基本戦略を前倒しして、2030年に水素利用量を30万トンから1000万トンに引き上げる調整に入ったとのこと。脱炭素化を目指すのであれば、この計画をさらに進めるべきでしょう。

太陽光と光触媒で水を水素と酸素に分解し、それらを使って電気エネルギーを取り出し、出てくる水をまた分解すればCO2は発生せず水をリサイクルするだけです。究極の再生可能エネルギーがそこまで見え始めています。

化石燃料で発展してきた人類の歴史が、新しいエネルギーの出現で塗り替えられるかもしれません。水から生まれて水に戻る水素によって、農業、産業、情報に次ぐ第4の革命の時代が近づいています。

和田 眞