梅雨の晴れ間に夏の気配が感じられる6月下旬を迎え、これからの生活設計を落ち着いて見直してみたい時期ではないでしょうか。身体障害者手帳について「自分や家族はどんな状態になると交付されるのだろう」と疑問に思うことはありませんか。

今回は、今月公表された内閣府の最新「障害者白書」や厚生労働省の調査結果をもとに、手帳の対象となる障がいの種類や受けられる支援について分かりやすく解説します。

1. 身体障害者手帳、所持者は「467.4万人超」そのうち8割「肢体不自由・内部障がい」

身体障害者手帳がどのくらい活用されているのか、厚生労働省の「身体障害者手帳交付台帳」のデータを見てみましょう。2024年度(令和6年度)の登録件数は全体で467万4999件にのぼります。

1.1 障がい種類別の内訳

障がいの種類別の具体的な内訳は以下の通りです。

  • 肢体不自由:224万7815件(48.1%)
  • 内部障害:161万8720件(34.6%)
  • 聴覚・平衡機能障害:43万9036件(9.4%)
  • 視覚障害:31万2992件(6.7%)
  • 音声・言語機能またはそしゃく機能障害:5万6436件(1.2%)

「内部障がい」とは心臓や腎臓、肝臓などの内臓機能に関わる障がいの総称です。現在、肢体不自由と内部障害の2つだけで、全体の8割以上を占めているのが現状です。

2. 身体障害者手帳、等級は「1級から6級」まで!交付基準となる9つの障がいとは?

身体障害者手帳は、身体の機能に永続的な障がいがある方に交付される公的な証明書です。都道府県知事等によって認定され、障がいの程度が重い順に1級から6級までの等級が定められています。

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障害者手帳について

出所:厚生労働省「障害者手帳」

  • 障がいの程度が最も重い:1級
  • 障がいの程度が比較的軽い:6級

なお、7級という区分も存在しますが単独では手帳の交付対象とはなりません。ただし、複数の7級に該当する障がいが重複している場合に、合わせて6級として認定されて手帳が交付されるケースがあります。

2.1 身体障害者手帳、交付対象となる「9つの障がい」

身体障害者手帳の交付対象となるのは、身体障害者福祉法別表に定められた身体上の障がいがあり、一定以上の程度で永続すると認められる場合です。交付対象となるのは、以下の9つの区分です。

  1. 視覚障害
  2. 聴覚または平衡機能の障害
  3. 音声・言語・そしゃく機能の障害
  4. 肢体不自由
  5. 心臓・じん臓・呼吸器の機能障害
  6. ぼうこう・直腸の機能障害
  7. 小腸の機能障害
  8. ヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能障害
  9. 肝臓の機能障害

3. 障害者手帳、「暮らしの支援」と「就労支援」の動向をみる

障害者手帳を取得して必要な申請を行うと、福祉分野だけでなく日常生活の金銭的な負担を軽減するさまざまな支援や優遇措置を受けることができます。全国共通で利用できる主なサービスは以下の通りです。

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障害者手帳で利用できるサービスの一例

LIMO編集部作成

  • 公共料金の割引: 鉄道・バス・タクシー運賃、携帯電話料金、NHK受信料の減免など
  • 税制上の優遇: 所得税、住民税、自動車税の減免
  • 医療・福祉: 自立支援医療(更生医療)による自己負担軽減、補装具の費用支給
  • 福祉サービス: 居宅介護やグループホームの利用

※自治体や事業者、等級により内容は異なります。

3.1 2025年10月から障害福祉サービス「就労選択支援」

さらに、2026年6月に内閣府から公表された最新の「障害者白書」では 、障がいのある方が自分らしく安心して暮らせる社会の実現に向けて、以下のような新しい支援や環境整備が進んでいることが報告されています 。

合理的配慮の浸透:

改正「障害者差別解消法」施行から1年が経過し 、業界団体の約8割で所属企業への周知が進むなど 、街なかや職場での差別解消に向けた取り組みが広がっていますが 、企業内の職員へのさらなる浸透が今後の課題とされています。

就労選択支援の開始:

2025年10月より 、本人の意向や適性を丁寧に把握(アセスメント)して一般就労などを目指すための 、新たな障害福祉サービス「就労選択支援」がスタートしています。

バリアフリーの推進:

2026年4月に新たな5年間のバリアフリー整備目標が施行され 、駅ホームの段差縮小などが進められているほか 、建築物における車椅子使用者用のトイレや客席 、駐車施設の設置基準も強化されています。

手話環境の整備:

2025年6月に公布・施行された「手話施策推進法」に基づき 、手話を使用・学習しやすい環境づくりや 、災害時の情報提供体制の強化が図られています。

4. まとめにかえて

今回は、身体障害者手帳の等級区分や交付対象となる障がいの種類、受けられる支援制度について解説しました。手帳は肢体不自由だけでなく内部障がいも広く対象としており、現在467万件を超える方が活用されています。

さらに、今月公表された最新の障害者白書が示すように、社会全体で合理的配慮やバリアフリー、新たな就労支援などの環境整備が着実に進んでいます。

もしご自身やご家族の体調の変化で不安を感じている場合は、まずはお住まいの市区町村の福祉窓口に相談してみてはいかがでしょうか。公的な支援を正しく理解し、大切な権利として適切に味方につけることは、決して特別なことではありません。あなたと大切な家族がこれから先も笑顔で安心して暮らしていくための、確かな第一歩になるはずです。

参考資料