「人工光合成」で実現する究極の再生可能エネルギー。その仕組みとは

脱炭素化社会における新しいエネルギーとして注目されている水素について、前回『次世代エネルギー「水素」利用の技術開発はここまで進んでいる』で取り上げました。そこでも述べたように、水素を得る方法には、よく知られた水の電気分解があります。しかし、電気の使用は脱炭素化に逆行することになります。

一方、太陽光を使って水を簡単に水素と酸素に分解し、これらを燃料電池として使い、電気発生後に生成する水をまた太陽光で分解するプロセスは、水素・酸素・水が循環する究極の再生可能エネルギーとなるはずです。これをどう達成するか、ヒントは自然界の光合成にあります。

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自然界の光合成の仕組み

小・中学校で習う光合成は、太陽のエネルギーを使って、CO2と水から有機化合物の一種である糖質(デンプン、セルロースなど)と酸素を産生する反応として知られています。しかし、この反応は一つの反応ではなく、複雑な多くの反応が連続して進行する多段階反応です。

その反応は、太陽の光エネルギーを吸収して化学変化がおこる「明反応」と、その産生物を使ってCO2から糖質を合成する「暗反応」の2つの反応に大別されます。

明反応のステップでは、光エネルギーによって水が分解し、酸素と水素イオンと電子が生じます。この酸素が大気中に存在する酸素の源なわけですから、光合成がいかに貴重な反応であるかが分かります。

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執筆者

徳島大学名誉教授、元副学長(教育担当)・理事。元4大学で非常勤講師。元学童保育支援補助員。現在、東京理科大学非常勤講師、たまプラーザがん哲学外来カフェ代表。青山学院大学理工学部化学科卒業、同修士課程修了。東洋醸造(現、旭化成)研究員、東京大学研究生、東京工業大学助手(理学博士)、米国パデュー大学とカリフォルニア工科大学博士研究員を経て、広島大学助手、講師。徳島大学助教授、教授、総合科学部長、2012年3月定年退職。専門は化学(有機合成化学)。教育、生と死、超高齢多死社会、文明の危機に関する拙文執筆と講演。著書に『定命 父の喪・母の喪―息子が遺してくれた生き直す力―』文芸社。横浜市在住。