4月になり、新学期が始まりました。子育て世代にとって、お金に関する問題はいつも悩みの種。いつの時代も子育てには何かとお金がかかります。
子育て費用の準備は万全と思っていても、予想外の出費が発生することも多いのが特徴です。こども大きくなってから貯蓄をスタートしても、いざという時に間に合わなければ意味がありません。
今回は、幼稚園から大学までの子育て費用はいくら必要なのか、また進路次第でどのようにその費用が変わるのかを、文部科学省が開示するデータなどをもとに見ていきます。その際の注意すべき、見落としがちなポイントも交えてお伝えします。
子育て費用には何が含まれるのか
子育て費用は大きく分けて2つあります。それは子どもを育てるのにかかる「養育費」と、子どもが勉強するために必要な「教育費(学習費)」です。
当たり前だと思うかもしれませんが、子育て費用は以下の関係にあるということで今回は話を進めていきます。
子育て費用=養育費+教育費(学習費)
非常にシンプルな等式ですが、これが分かりやすい整理かと思います。
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養育費は22年間でいくらかかるのか
「養育費」についてですが、これは世帯ごとに差が出る領域です。一概に分析はしにくいですが、非常に興味深いデータがあります。
首相官邸「第9回 教育再生懇談会」にある、2005年のAIU保険会社「現代子育て経済考」では、22年間の養育費を約1640万円と見積もっています。
- 出産・育児費用:約91万円
- 22年間の食費:約671万円
- 22年間の衣料費:約141万円
- 22年間の保険医療・理美容費:約193万円
- 22年間のおこづかい額:約451万円
- 子どもの私的所有物代:約93万円
【22年間の基本的養育費合計】約1640万円
今回見てきたデータは2005年のものですので、すでに15年近く時が過ぎています。したがって、その後、さらに必要な養育費が増えているということもあるでしょう。
ただ、子どもを産む前から、子どもが大学を卒業する前までには、「養育費」として、2000万円には届かないまでもそれに近い額が必要になりこともあるというのを頭に入れておいてください。
結構かかる!学年別に必要な教育費
「養育費」についてはここまで見てきたとおりですが、では、幼稚園から高校までいったい「教育費」は平均でいくらかかるのでしょう。
下記は文部科学省「平成30年度子供の学習費調査の結果について」における「子供の学校教育及び学校外活動のために支出した1年間の経費(学習費総額)」です。
ここでいう「学習費」には、「学校教育費」、「学校給食費」、「学校外活動費」が含まれており、「学校外活動費」には、授業料や学校外活動費(塾の費用など)も含まれています。これがいわゆる「教育費」という定義をここではします。
早速、ステージごとの教育費である「学習費」について見ていきましょう。
ちなみにこどもへのお小遣いなどは「養育費」に含まれており、ここで見る「学習費」には含まれておりませんので、ご注意をください。
- 公立幼稚園 22万3647円
- 私立幼稚園 52万7916円
- 公立小学校 32万1281円
- 私立小学校 159万8691円
- 公立中学校 48万8397円
- 私立中学校 140万6433円
- 公立高等学校(全日制) 45万7380円
- 私立高等学校(全日制) 96万9911円
このように、当たり前ですが、進路が公立か私立かでその学習費は大きく変わってきます。
「公立 vs 私立」の格差・倍率はどれくらいか
各世帯で習い事や塾の費用など支出の状況は当然異なりますが、先ほど見たデータをもとにすればどうでしょうか。
先ほどの文科省のデータの平均値を前提に計算すると、公立学校と私立学校の学習費総額の差は,幼稚園では私立が公立の2.4倍、小学校では5倍、中学校では2.9倍、高等学校(全日制)では2.1倍となっています。
意外かもしれませんが、小学校の学習費の格差(倍率)が大きいことが分かります。
公立と私立では学校に支払うお金の差はどこで生まれるのか
こうしてみてくると私立に進学すると多くの費用がかかるのは当然といえば当然ですが、間違いなさそうです。
公立と私立の違いでいえば最大の違いは授業料の有無でしょう。
私立の小学校の授業料は、48万5337万円と全体90万4164円のうち53.7%を占めます。これも12ヶ月で割り戻すと、約4万円です。私立の小学校に通うということになれば、授業料はこんなものかと思います。
ちなみに、慶應幼稚舎の授業料は、慶應義塾「【一貫教育校】学費」によれば、年間94万円。月額に換算すると約7万8000円となり、先ほど見た平均値よりは大きく上回っているということが分かります。余談ですが、幼稚舎というと幼稚園のようにも聞こえますが、実際は小学校です。
さて、話を戻しましょう。
私立の学習費が高くなる理由のひとつに、「学校納付金」、「寄付金」などの費用があげられます。これは、授業料についで大きな割合を占めています。
ちなみに、「学校納付金等」とは、以下の内容を含みます。
- 入学金
- 検定料
- 私立学校における施設整備資金
- 学級費
- PTA会費
私立の小学校ですと、学校納付金等が費用全体の約25%(合計90万4164円のうち、23万1425円)を占め、全体の総額を押し上げているのです。
お金がかかるべき時期は公立か私立で違うのに注意
さらに注目すべきは、「学校外活動費」です。その中でも「補助学習費」と「その他の学校活動費」の合計が特徴的です。これらは学習塾などの費用が含まれます。
これらの費用の特徴として最もお金がかかる時期がことなります。幼稚園から高校までの就学期間で、一番お金がかかるのはいつでしょうか。
公立の場合だと、中学3年生の時。また、私立では小学校6年生の時で。つまり、公立と私立では学校に支払うお金のピークが異なっているのです。
多額の教育費用がかかるのは大学からか
大学に進学すると教育費は更にかかります。文系と理系でも異なりますし、医薬歯系大学に進学する場合は、6年間通う必要がありますので、その分、費用がかかります。
京都大学が掲載している文部科学省「国立大学等の授業料その他の費用に関する省令」をみていくと、国立大学では初年度納入金額は817,800円(授業料年額535,800円、入学料282,000円)
また、文部科学省「私立大学等の平成30年度入学者に係る初年度学生納付金平均額の調査結果について」によれば、私立大学の初年度納入金額は全学部平均で1,336,033円(となります。
「私立大学は国立大学よりもお金がかかる」という印象がある方は多いかと思いますが、ここまで見てきた文部科学省のデータを見ても、そのイメージは正しいということになります。
たとえば、私立大学で慶應義塾大学の授業料について,慶應義塾大学「【学部】学費」を参考にしながら、みてみましょう。
慶應義塾大学の「看板学部」といわれる経済学部の初年度の必要な費用を見てみましょう。
- 入学金:20万円
- 在籍基本料:6万円
- 授業料:88万円
- 施設設備費:20万円
- その他費用:8350円
【経済学部初年度合計金額】134万8350円
慶應義塾大学の経済学部に入学した際には、初年度納付金合計は134万8350円となります。先ほど見てきた文部科学省での平均値に近い金額となっています。
大学進学で文系と私立の医歯薬理工系では授業料は全く異なる
ただし、この授業料、お子さんが文系学部に進学するのか、理系学部に進学するのかで全く異なり、注意が必要です。
ここでは、先ほど見てきたように総合大学で医学部もある慶應義塾大学の理系についてみていきましょう。
慶應義塾大学の理工学部に進学してみたとしましょう。
- 入学金:20万円
- 在籍基本料:6万円
- 授業料:128万円
- 施設設備費:22万円
- 実験実習費:10万円
- その他費用:3350円
【理工学部初年度合計金額】186万3350円
このように医学部でない理系学部に進学すると初年度納付金の水準がぐっと増えることになります。
では、医学部ではどうでしょうか。
- 入学金:20万円
- 在籍基本料:6万円
- 授業料:304万円
- 施設設備費:35万円
- 実験実習費:19万円
- その他費用:3350円
【医学部初年度合計金額】384万3350円
私立大学の医学部の授業料は高い、というのは多くの人が持っているかと思いますが、このように文系学部よりも理工系学部、そして医学部という順に初年度の納付金の金額は多くなっていきます。
ちなみに、ここまで見てきた金額は1年間の金額です。初年度以降は入学金の必要ありませんが、それを除いた金額が年間の費用として必要となります。学部によりますが、最低でもそうした金額が4年間必要となります。
学習費は全部公立なら約1000万円、全部私立なら約2000万円
ここまでみてきたように、文部科学省公表の資料から、幼稚園~大学までの子育て費用の平均を計算してみましょう。
今回は、すべて公立(国立含む)のケース「ケース1」とすべて私立(大学は文系)のケース「ケース2」の2つのケースを考えてみましょう。
ケース1:幼稚園から高校まですべて公立+大学は国立
このケースが教育費用・学費という面では親孝行のパターンといえるでしょう。文部科学省の資料をもとに、幼稚園から高校3年までの15年間と国立大学4年間の学習費用の合計でまとめてみます。
国立大学については、4年間の授業料と入学金の合計である242万5200円を前提に計算してみましょう。
- 幼稚園(公立):65万円
- 小学校(公立):193万円
- 中学校(公立):146万円
- 高校(公立):137万円
- 大学(国立):242万円
【ケース1合計】783万円
大学卒業まで約800万円でまかなえることになります。つまり、子供が大学を卒業するまでに必要な費用はざっくり800万円程度ということになります。
もっとも、大学進学先が親元を離れる場合には、そのために必要な賃料などが別途かかるということは念頭に入れておいてもよいでしょう。
つづいて、ケース2についてみていきましょう。
ケース2:幼稚園から高校、大学(文系)まですべて私立
ここでは、幼稚園から大学まですべて私立のケースです。
- 幼稚園(私立):158万円
- 小学校(私立):959万円
- 中学校(私立):422万円
- 高校(私立):290万円
- 大学(私立文系):495万円
【ケース2合計】2325万円
このように、全部公立に通わせると約800万円弱、全部私立に通うと、文理系を問わず2000万円超、医薬歯系ですと、なんと4000万円を超える結果となりました。
先ほども触れましたが、こちらの費用には大学の教材費、また仕送り等の費用は入っていませんので、実際には少し多めの費用を用意しておいた方がよさそうです。
慌てないで!幼児教育や高等教育の無償化が拡充されています!
現在、未就学児や高校生を養育されている方は、既にご存知かと思いますが、昨年の10月より幼児教育の無償化、また本年度から高等教育の無償化が拡充されています。
幼児教育の無償化に関しては、自治体によって給付方法が異なりますが、いずれにせよ、保護者の負担が大幅に減額されています。
高等教育の無償化については、所得制限はあるものの、今年度より高等学校等就学支援金制度が改正されたことにより、私立高校に通う生徒の親も現行の支給に加算して給付を受けることができるようになりました。
このように、こどもに対する支援は徐々に拡大しています。こどもの進学先や子育て費用を考える上で、無償化や給付金、奨学金の制度は事前に調べておくことが重要であると言えます。
ミドル世代の子育て世帯は要注意!教育資金は生まれた時から準備が必要!
ここまでは子育て費用について説明してきましたが、大切なのはこどもが生まれた時から、計画的に貯める必要があることを認識することです。一日でも早く、準備していきましょう。
最近は30歳後半で出産を経験する方も珍しくありません。このような方はより一層の注意が必要です。
例えば、40歳で出産されると、子供が大学を卒業するのは62~63歳です。70歳まで雇用が延長されるとはいえ、60歳以降は収入が下がるケースがほとんどです。定期的な収入が減る時期に、大学の進学費用など数百万円の負担があるのは大変なことです。
さらに問題なのは、若くして子育てを終えた家庭と比較した場合、子育て終了後から定年までの期間が短い、あるいは全く無い状況になってしまうため、親自身の老後費用を貯める期間が無くなってしまうことです。
子育て期間が50歳台の大半を占めてしまう世帯や、60歳を過ぎて、こどもが大学を卒業する予定の世帯は、より一層の注意が必要です。
終わりに:大事なのは運用を一刻も早く始めること!
家庭の状況やこどもの進路によって、必要な子育て費用は大きく変わります。
たとえば、幼稚園から大学まですべて国公立で済ませたとして、養育費が22年間で1640万円、教育費(学習費)が780万円としても、合計で約2400万円ということになります。ざっくりいえば、子ども一人あたりで2500万円というのがわかりやすいでしょうか。
この前提で子どもが2人というご家庭ですと、ざっくり5000万円必要ということになります。
また、子どもが私立に進学したり、医歯薬理工系の学部に進学するとすれば、さらに多くの金額が必要となってきます。
こうした多額の金額が必要ということが分かれば、こどもの特性を見極めて、早めに準備していくことが将来の不安を消し去るポイントと言えるでしょう。
早めに貯蓄や運用で準備してきた資産が思いがけず大きく増えることもあります。そうすれば、こどもの結婚資金や自分の老後資金に振り分けることも可能となります。何事も早めにスタートすることが肝心。さあ、さっそく積み立て生活を始めましょう!
References(参考資料)
文部科学省「平成30年度子供の学習費調査の結果について」
「国立大学法人法施行規則等関係省令について」
「「私立高校授業料の実質無償化」申請手続きを忘れずに!」
「「幼稚園・保育園の無償化」対象や上限額について知りたい!」
「「保育園から大学まで」国の教育費無償化が、この春さらに手厚く!」
「【2019年最新】慶應義塾大学・経済学部の学生が就職する上位企業ランキング」
「【2019年最新】慶應義塾大学・理工学部の学生が就職する上位企業ランキング」
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