4. 係長級は役職の中で所定内給与額のばらつきが最も小さい
分布の統計表には、給与のばらつきの大きさを示す分散係数も載っています。係長級の給与の広がりを、ほかの役職と比べます。
4.1 係長級の十分位分散係数は0.35
十分位分散係数は、第9・十分位数と第1・十分位数の差を、中位数の2倍で割った値です。値が小さいほど、真ん中の額の近くに給与が集まっています。
係長級は0.35で、非役職の0.42、課長級の0.44、部長級の0.49より小さくなっていました。
4.2 部長級は上位1割と下位1割の差が月56万4500円
部長級の所定内給与額は、第1・十分位数が月37万3100円、第9・十分位数が月93万7600円でした。上位1割と下位1割の境目の差は月56万4500円です。
係長級の同じ差は月26万4100円で、部長級の半分以下にとどまります。第1・四分位数と第3・四分位数から出す四分位分散係数も、係長級は0.17で役職の中で最も小さい値でした。
5. 係長級の分布の数字を読むときに押さえたい定義
分布の数字は平均額とは作り方が違います。自分の給与と比べる前に、数字の範囲を確認しておきます。
5.1 中位数と平均は別の数字
平均は全員の給与を足して人数で割った額で、中位数は低い順に並べた真ん中の人の額です。係長級では平均のほうが2万7200円高くなっていました。
「平均くらい」と「真ん中くらい」は同じ意味ではありません。自分の位置を知りたいときは、中位数と十分位数を使うほうが確かめやすくなります。
5.2 係長級の所定内給与額に残業代は含まれない
分布の統計表も、所定内給与額で集計されています。係長級の超過実労働時間数は月15時間で、残業代などを含むきまって支給する現金給与額は月44万5400円でした。
所定内給与額の平均との差は月4万6200円です。残業代を含めた額で比べると、分布の中の位置を実際より高く見積もることになります。
5.3 集計は雇用期間の定めがない一般労働者に限られる
役職別の統計表は、一般労働者のうち雇用期間の定めがない人を集計しています。常用労働者10人以上の民営事業所が対象で、短時間労働者は含まれません。
労働者数は十人単位で公表されています。この記事で示した人数はその値を人に直したもので、1人単位で数えた数ではありません。
6. 自分の給与が係長級の分布のどこにあるか確かめる手順
分布の境目の額は、自分の給与明細と並べることで使えるようになります。次の順番で確かめてみましょう。
6.1 給与明細から所定内給与額にあたる額を出す
基本給と役職手当・家族手当などの諸手当を合計し、時間外勤務手当や休日出勤手当を除きます。税金や社会保険料を差し引く前の額を使います。
6.2 中位数と十分位数の境目に当てはめる
出した額を、係長級の第1・十分位数の月27万5800円、中位数の月37万2000円、第9・十分位数の月53万9900円と並べます。どの境目の間に入るかで、係長級の中のおおよその位置が分かります。
6.3 年間賞与は月の額とは別に並べる
係長級の年間賞与その他特別給与額は151万2100円でした。賞与は勤務先ごとの差が大きいため、月の額とは分けて、昨年1年間に受け取った賞与の合計と比べてみてはいかがでしょうか。
7. まとめ
令和7年賃金構造基本統計調査によると、係長級の所定内給与額は平均で月39万9200円、中位数で月37万2000円でした。下位1割の境目は月27万5800円、上位1割の境目は月53万9900円です。
非役職の上位1割は係長級の中位数を上回り、係長級の上位1割は課長級の中位数を上回ります。役職どうしの給与は分布で見ると重なっており、係長級はその中でもばらつきが最も小さい役職でした。
自分の位置を確かめるときは、残業代を除いた月の額を分布の境目と並べ、賞与は別に比べてみてはいかがでしょうか。
参考資料
- 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 結果の概況」
- 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 結果の概況:主な用語の定義」
- 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 結果の概況:調査の概要」
- 厚生労働省「賃金構造基本統計調査 令和7年賃金構造基本統計調査 一般労働者 役職」
安達 さやか