生活保護を利用すると、毎月いくら受け取れるのでしょうか。制度の名前は知っていても、金額の決まり方までは見えにくいものです。

生活扶助の基準額は、厚生労働省の告示「生活保護法による保護の基準」に定められています。2026年4月1日から適用されている額が、その別表第1に載っています。

この記事では、生活扶助費がどのように組み立てられているのかを、告示の数字をたどりながら確認していきます。

1. 生活保護の保護費は8種類の扶助でできている

生活保護と聞くと、ひとまとまりのお金が支給されるように思えるかもしれません。実際には、暮らしの場面ごとに分かれた扶助の集まりです。

1.1 生活扶助は食費や光熱水費にあてる費用

厚生労働省によると、生活保護の扶助は生活扶助、住宅扶助、教育扶助、医療扶助、介護扶助、出産扶助、生業扶助、葬祭扶助の8種類です。

このうち生活扶助は、食費や被服費、光熱水費といった日々の暮らしにあてる費用にあたります。金額のしくみがいちばん複雑なのも、この生活扶助です。

1.2 保護費は最低生活費から収入を差し引いた差額

厚生労働省は、保護費の考え方を「最低生活費と収入を比較して、収入が最低生活費に満たない場合に、最低生活費から収入を差し引いた差額が保護費として支給されます」と説明しています。

つまり基準額がそのまま振り込まれるわけではありません。年金や給与などの収入がある世帯では、その分だけ保護費は少なくなります。

2. 生活扶助費は第1類費と第2類費を組み合わせて計算する

生活扶助の基準額は、性質の違う2つの費用を足し合わせて求めます。告示の別表第1第1章に、その組み立てが書かれています。

2.1 第1類費は年齢別、第2類費は世帯人員別に決まっている

第1類費は、食費や被服費のように世帯員1人ごとにかかる費用です。年齢によって額が分かれています。

第2類費は、光熱水費や家具什器費のように世帯でまとめてかかる費用です。こちらは世帯人員の数によって額が決まります。

2.2 計算式は「A+B+C」の3つでできている

告示の算式では、Aが「第1類費の合計に逓減率を掛けた額と第2類費の合計額」、Bが「経過的加算額」、Cが「地区別冬季加算額」です。

この3つを足した額に10円未満の端数が出たときは、10円に切り上げます。さらに、世帯人員1人につき月2500円の特例加算が加わります。

生活扶助費は第1類費と第2類費を組み合わせ、加算を足して求める1/2

生活扶助費の組み立て方を示した図。第1類費の合計に逓減率を掛けて第2類費を足した額に、経過的加算額、地区別冬季加算額、特例加算を加えて生活扶助費を求める

出所:厚生労働省「生活保護法による保護の基準」を参考にLIMO編集部作成

3. 1級地-1の第1類費・第2類費と逓減率を並べる

基準額は住んでいる市町村の級地区分によって変わります。ここでは最も高い1級地-1の額で見ていきます。

3.1 第1類費は年齢によって11の区分に分かれる

第1類費は0歳から75歳以上まで11の区分に分かれています。第2類費と逓減率は、1人から10人以上まで10の区分です。

第1類費は年齢別、第2類費と逓減率は世帯人員別に決まる(1級地-1)2/2

1級地-1の第1類費を年齢別に並べた表と、第2類費と逓減率を世帯人員別に並べた表

出所:厚生労働省「生活保護法による保護の基準」を参考にLIMO編集部作成

【第1類費(1級地-1・世帯員1人ごとの月額)】

  • 0歳~2歳:4万4580円
  • 3歳~5歳:4万4580円
  • 6歳~11歳:4万6460円
  • 12歳~17歳:4万9270円
  • 18歳・19歳:4万6930円
  • 20歳~40歳:4万6930円
  • 41歳~59歳:4万6930円
  • 60歳~64歳:4万6930円
  • 65歳~69歳:4万6460円
  • 70歳~74歳:4万6460円
  • 75歳以上:3万9890円

【第2類費と逓減率(世帯人員別の月額)】

  • 1人:2万7790円/逓減率1.00
  • 2人:3万8060円/逓減率0.87
  • 3人:4万4730円/逓減率0.75
  • 4人:4万8900円/逓減率0.66
  • 5人:4万9180円/逓減率0.59
  • 6人:5万5650円/逓減率0.58
  • 7人:5万8920円/逓減率0.55
  • 8人:6万1910円/逓減率0.52
  • 9人:6万4670円/逓減率0.50
  • 10人以上:1人増すごとに2760円を加算/逓減率0.50

第2類費の額は級地によって変わりません。級地で差がつくのは第1類費のほうです。

4. 単身から4人世帯まで生活扶助費を試算する

実際に数字を入れて計算してみましょう。逓減率がどう効くのかは、同じ年齢の人だけで世帯をつくったと考えると見やすくなります。

4.1 65歳から69歳の人だけの世帯で計算する

1級地-1で、世帯員全員が65歳から69歳、冬季加算のない月という条件で試算します。第1類費は1人あたり4万6460円です。

単身の場合は、4万6460円に逓減率1.00を掛けた額に第2類費2万7790円を足し、経過的加算額130円と特例加算2500円を加えて月7万6880円になります。

2人世帯では、第1類費の合計9万2920円に逓減率0.87を掛け、第2類費3万8060円と特例加算5000円を足して月12万3910円です。

4.2 世帯人数が増えるとひとりあたりの額は下がる

同じ条件で3人世帯、4人世帯まで計算すると、次のようになります。

  • 単身:月7万6880円(ひとりあたり7万6880円)
  • 2人世帯:月12万3910円(ひとりあたり6万1955円)
  • 3人世帯:月15万6770円(ひとりあたり約5万2257円)
  • 4人世帯:月18万1560円(ひとりあたり4万5390円)

世帯の人数が4倍になっても、生活扶助費は2.4倍ほどにしかなりません。ひとりあたりで見ると、単身の7万6880円が4人世帯では4万5390円まで下がります。

第1類費に逓減率を掛けるしくみが、この差を生んでいます。

熊谷 良子

生活扶助の基準額は厚生労働大臣の告示で細かく定められていて、年齢と世帯人員、住んでいる地域で変わります。記事の試算はあくまで目安として読み、実際の額は福祉事務所で確かめておくと安心です。