キャリアの中で希望する方もいる「管理職」。役職に就けば収入は基本的に上がるものの、「管理職のその後」についてまではあまり考えない方もいるでしょう。課長や部長として働いている方にとって、その役職をいつ離れるかは、あまり口に出しては話さないことかもしれません。
2026年9月25日に公表されたパーソル総合研究所「元管理職の社内キャリアに関する調査」によると、課長を経験した方が役職を離れた年齢は平均53.9歳でした。同じ会社で65歳まで働くとすると、そこから先に11.1年が残ります。
この11.1年という長さには、もう一つの顔があります。同じ調査で、課長としての経験年数の平均も11.1年でした。管理職として働いた年数と、管理職でなくなってから働く年数が、同じくらいの長さになるという形です。
今回は中間管理職の平均的な収入を確認した後、管理職をどういう理由で離れているのかを見てきましょう。
離れた後の気持ちやその後についても確認します。
1. 中間管理職の平均給与&賞与を一覧表で見る
まずはじめに中間管理職の収入面を確認しましょう。厚生労働省が公表している「令和7年賃金構造基本統計調査」によると、役職ごとの賃金は次のようになっています。
1.1 役職別の所定内給与額と賞与(令和7年・産業計)一覧表
- 部長級 月63万5800円/年間賞与244万6600円/平均53.1歳・勤続22.6年/93万1330人
- 課長級 月52万9200円/年間賞与219万1900円/平均49.5歳・勤続20.9年/179万6950人
- 係長級 月39万9200円/年間賞与151万2100円/平均45.4歳・勤続17.5年/161万7180人
- 役職なし 月31万500円/年間賞与86万6400円/平均41.8歳・勤続10.8年/1851万3140人
1.2 役職なしの平均年齢は41.8歳
役職別の所定内給与額・年間賞与・平均年齢・人数1/2
出所:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」役職第1表 役職、学歴、年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)をもとにLIMO編集部作成
部長級と課長級の差は月10万6600円、課長級と係長級の差は13万円でした。いちばん上の部長級といちばん下の役職なしでは、32万5300円の差があります。
男女の内訳もみておきます。部長級93万1330人のうち女性は9万5950人で10.3%。課長級では17.1%、係長級では26.0%、役職なしでは41.5%でした。役職が上がるほど、女性の占める割合は小さくなっていきます。この要因に関してはさまざまな理由が考えられますが、今後変わる可能性もあるでしょう。
ここで気をつけたいのが、いちばん下の「役職なし」です。人数が1851万3140人と多く、平均年齢は41.8歳、勤続年数は10.8年。役職を離れた方だけを集めた区分ではなく、まだ役職に就いていない方を含む全体の数字です。
2. 50〜64歳の43.6%が管理職の経験者。その約7割が元課長
次にパーソル総合研究所「元管理職の社内キャリアに関する調査」について、まずどれくらいの方が当てはまる話なのかを確かめます。
2.1 調査の対象と主な区分
- 元管理職 課長以上のライン管理職を経験して退任し、同じ企業に勤めている50〜64歳 690名
- 現管理職 課長以上のライン管理職を務めている30〜59歳 500名
- 共通の条件 従業員300人以上の企業(第一次産業、学術研究・専門技術サービス業、複合サービス事業、国家公務・地方公務を除く)
- 調査時期 2026年6月16日〜22日 インターネット調査
2.2 60代前半では、元管理職が31.6%を占める
50〜64歳の正社員・再雇用者のうち、管理職を経験した方は43.6%でした。60代前半にしぼると47.3%に上がります。そして60代前半では、いま管理職を務めている方が減るいっぽうで、役職を離れた方が31.6%を占めていました。
役職の内訳をみると、元管理職がいちばん上まで到達した職位は課長相当が67.5%です。部長や事業部長まで進んだ方より、課長で役職を離れた方のほうが多いと考えれます。
離れた理由は役職定年が32.9%、定年・再雇用が21.3%、任期満了が3.6%で、制度によるものが約6割を占めました。組織改編によるものが15.2%、自己都合は7.2%です。
ただ、制度によるものだからといって、本人の想定どおりとはかぎりませんでした。役職を離れた方の35.3%が、想定していなかった理由で離れたと答えています。組織改編による退任にしぼると、81.0%が想定外でした。制度による退任でも、役職定年と定年・再雇用で約15%、任期満了では36%が想定外と答えています。
3. 課長は平均53.9歳で役職を離れ、そこから11.1年が残る
次に、いつ役職を離れているかです。
課長を経験した方の平均退任年齢は53.9歳でした。65歳まで同じ会社で働くとすると、退任してからの就業年数は11.1年になります。そして同じ調査で、課長としての経験年数の平均も11.1年でした。
上の職位まで進んだ方は、この期間が短くなります。部長を経験した方は平均57.1歳で役職を離れ、その後7.9年。事業部長・執行役員を経験した方は平均57.3歳で離れ、その後7.7年です。
離れる時期そのものも、思っていたとおりにはなっていない方もいました。退任の時期が「想定通り」だった方は47.8%で、25.1%は想定より早く離れています。60歳での退任を希望・想定する方が4割前後と多いのに対し、実際には54歳以下で離れた方が35.9%を占めていました。
一つ、読み方でお伝えしておきたいことがあります。53.9歳という数字は、いま役職を離れて働いている方をならした1つの年齢です。同じ会社でも、制度も、離れる時期も人によって違います。
それから、この調査は従業員300人以上の企業に勤める方を対象にしています。役職定年の制度があるかどうかは会社によって違いますし、公務員の方は対象に入っていません。ご自身の勤め先に当てはめるときは、まず就業規則や人事制度の定めを見ることになります。数字はその手前で、全体の形を知るためのものです。
