4. 役職を離れた49.0%が「気持ちが楽になった」
同調査は役職を離れたときの心境も聞いています。
「モチベーションが低下した」「喪失感・寂しさを感じた」といった心境を挙げた方は3割前後います。いっぽうで「プレッシャーがなくなり、気持ちが楽になった」と答えた方が49.0%、「自分のキャリアと向き合う機会になった」が38.8%でした。
肯定と否定の両方が同時にあった「交錯型」は41.0%で、4つに分けた心境のなかでいちばん多い区分です。退任の理由が制度によるものでも、制度の外のものでも、自己都合でも、いずれも交錯型が最も多く、喪失だけを感じた型が最も少なくなっていました。
役職を離れることが、そのまま気持ちの落ち込みにつながるとはかぎらない、という形です。肯定と否定が同時にあるということは、どちらか一方で割り切れてはいないということでもあります。また、キャリアと向き合う機会になったというように、改めて自身のキャリアを考えるきっかけにもなっているでしょう。
5. 【管理職のその後】プレーヤーが47.2%で最多に
管理職退任後の主たる役割を4タイプにわけたところ、自ら成果を創出する「プレーヤー」が47.2%と最多であり、次に「サポーター」19.7%、「コーディネーター」18.7%、「メンター」は13.5%となりました。また、全体の26.7%が未経験職種へ異動しています。
退任後の業務適応は「高適応」が36.1%、「低適応」が34.6%と同程度になっています。
今回確認したように、想定せずに管理職を退任するケースも少なくありません。総務省「統計からみた我が国の高齢者-「敬老の日」にちなんで-」によれば、65歳以上の年齢階級別就業率はいずれも過去最高を更新。長く働き続けることが多い時代だからこそ、役職退任後の働き方についてもあらかじめ考えておくと、退任後の仕事にも適応しやすくなる可能性が上がるでしょう。
また、未経験職種へ異動する人も少なくありません。職種についてもさまざまな可能性について考えておくとよいでしょう。
6. 役職はゴールではない
いま管理職として働いている方に向けて、手元で確かめられることを並べておきます。
はじめに、勤め先の人事制度は確認しておきましょう。役職定年の制度があるか、あるなら何歳か、そのあとの職位や処遇はどう決まるかー制度は会社ごとに違うので、ご自身の勤務先の制度が基本的にご自身の答えになります。
次に、その先に何をするかです。先ほどの調査で退任後について準備をしていた方が挙げたのは「仕事に対する考え方を変えた」33.9%、「専門性を広げる努力」31.9%が上位で、「退任後のキャリアプランの計画」は23.6%、「具体的業務の計画」は22.8%となっています。
役職はゴールではなく、その後もキャリアは続いていきます。また、役職をとりまく環境も日々変わるもの。俯瞰した目で会社全体を、また自分自身を見つめ、続くキャリアに向けいま取るべき行動は常に考えたいものです。
役職に就くかどうかも、離れる時期も、そのあとに何を選ぶかも、人によって事情が違います。勤め先の制度も、ライフスタイルなども同じではありません。役職を退任した「その先」まで見据えて自分の希望なども考えてみましょう。
7. 編集部よりコメント
課長を経験した方が役職を離れるのが平均53.9歳で、65歳まで働くならそこから11.1年。課長としての経験年数の平均も11.1年でした。あくまで平均になりますが、同じくらいの長さが、役職を離れたあとに残っているということになります。
退任後の準備として、なかには考え方の変化や専門性を広げる、深めるなど準備をしている方もいました。長く働き続ける現代だからこそ、退任後まで見据えて動きたいもの。たとえば70歳まで働くとしても、45歳なら残り25年、50歳なら残り20年、55歳なら残り15年働き続けることになります。また、AIが進化している現代においては、仕事をとりまく環境の変化も速いもの。今の時代だからこそ、長い目で考えたキャリアプランを都度考えていきましょう。
参考資料
- パーソル総合研究所「元管理職の社内キャリアに関する調査」(2026年9月25日公開)
- 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」役職第1表 役職、学歴、年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)
- 厚生労働省「賃金構造基本統計調査」(用語の解説・利用上の注意)
宮野 茉莉子
