3. 【障害基礎年金】新規裁定で等級に当てはまらず《非該当》とされるのは何割?

ここからは、初めて請求した「新規裁定」の結果を、加入していた年金制度別に詳しくみていきます。まずは、主に自営業の方や学生、20歳前に初診日がある方などが対象となる「障害基礎年金」です。

令和7年度の障害基礎年金の新規裁定の決定件数は8万8052件でした。このうち1級が1万1865件、2級が6万4619件、非該当が1万1568件(13.1%)となっています。

診断書の種類別に、支給の割合と非該当の割合をみていきましょう。

ここでいう「非該当」とは、障害の状態が、障害年金で定められた等級の基準に該当しないと判定されたことを指します。本人が感じている症状のつらさや、日常生活上の不便さそのものを否定するものではなく、診断書などをもとに審査した結果、障害年金の認定基準に該当しなかったという意味です。

令和7年度 診断書種類別件数 ②新規裁定・障害基礎3/4

令和7年度 診断書種類別件数 ②新規裁定・障害基礎

出所:日本年金機構「障害年金業務統計(令和7年度決定分)」

3.1 精神障害・知的障害:約9割が支給、大半が2級

  • 決定数:7万1510件
  • 支給:6万3947件(89.4%)
  • 内訳:1級6476件(9.1%)、2級5万7471件(80.4%)
  • 非該当:7563件(10.6%)

障害基礎年金の新規裁定では、精神障害・知的障害の決定数が全体の大半を占めています。支給された方の多くは2級で、決定数の8割を占めています。

3.2 内部障害:非該当が約4割。循環器疾患では6割を超える

  • 内部障害全体:決定数6126件、支給3737件(61.0%)、非該当2389件(39.0%)
    ・呼吸器疾患:支給40.7%、非該当59.3%
    ・循環器疾患:支給36.4%、非該当63.6%
    ・腎疾患・肝疾患・糖尿病:支給82.9%、非該当17.1%
    ・血液・造血器・その他:支給41.1%、非該当58.9%

内部障害では、決定数の約4割が非該当となりました。とくに循環器疾患(63.6%)、呼吸器疾患(59.3%)、血液・造血器・その他(58.9%)では、非該当が半数を超えています。一方で、腎疾患・肝疾患・糖尿病は支給が82.9%と、内部障害の中でも高い割合です。

3.3 外部障害:約8割が支給。眼・聴覚等では1級が半数を超える

  • 外部障害全体:決定数1万2706件、支給1万628件(83.6%)、非該当2078件(16.4%)
    ・眼:支給91.9%(1級77.0%、2級14.9%)、非該当8.1%
    ・聴覚等:支給91.3%(1級52.5%、2級38.8%)、非該当8.7%
    ・肢体:支給81.2%(1級42.8%、2級38.4%)、非該当18.8%

外部障害は支給の割合が高く、とくに眼や聴覚等では9割以上が支給となっています。また、眼では1級が77.0%を占めるなど、ほかの障がいと比べて1級の割合が高いのも特徴です。

4. 【障害厚生年金】新規裁定は9割超が支給。障害厚生年金は「3級」が約半数?

続いて、主に会社員や公務員の方が対象となる「障害厚生年金」の新規裁定をみていきましょう。

令和7年度の障害厚生年金の新規裁定の決定件数は5万6055件でした。このうち1級が4351件、2級が1万9772件、3級が2万7902件、障害手当金が387件、非該当が3643件(6.5%)となっています。

障害厚生年金には、障害基礎年金にはない「3級」と、一時金の「障害手当金」があります。そのため、障害基礎年金と比べると非該当の割合が低くなっています。

令和7年度 診断書種類別件数 ③新規裁定・障害厚生4/4

令和7年度 診断書種類別件数 ③新規裁定・障害厚生

出所:日本年金機構「障害年金業務統計(令和7年度決定分)」

4.1 精神障害・知的障害:支給は94.1%。2級と3級がほぼ半々

  • 決定数:2万7407件
  • 支給:2万5778件(94.1%)
  • 内訳:1級684件(2.5%)、2級1万1870件(43.3%)、3級1万3224件(48.3%)
  • 非該当:1629件(5.9%)

障害基礎年金では2級が中心でしたが、障害厚生年金では3級が48.3%と、2級(43.3%)をやや上回っています。

4.2 内部障害:支給は88.9%。循環器疾患は約9割が3級

  • 内部障害全体:決定数1万3252件、支給1万1776件(88.9%)、非該当1476件(11.1%)
    ・呼吸器疾患:支給80.4%(うち3級64.5%)、非該当19.6%
    ・循環器疾患:支給94.6%(うち3級87.6%)、非該当5.4%
    ・腎疾患・肝疾患・糖尿病:支給92.2%(うち2級71.8%)、非該当7.8%
    ・血液・造血器・その他:支給81.8%(うち3級63.9%)、非該当18.2%

障害基礎年金との違いがもっとも大きいのが内部障害です。たとえば循環器疾患では、障害基礎年金の非該当が63.6%だったのに対し、障害厚生年金では5.4%にとどまります。障害厚生年金の循環器疾患では、支給の大半(87.6%)が3級となっています。

障害基礎年金は1級・2級のみの制度であるため、3級に相当する障害の状態では支給の対象になりません。同じ病気でも、初診日に加入していた年金制度によって結果が変わりうることが、数字からも読み取れます。

4.3 外部障害:支給は96.0%。障害手当金の支給も

  • 外部障害全体:決定数1万7403件、支給1万6702件(96.0%)、非該当701件(4.0%)
    ・眼:支給98.1%(1級54.3%、2級16.8%、3級21.0%、障害手当金6.1%)
    ・聴覚等:支給95.6%(1級27.0%、2級38.6%、3級20.5%、障害手当金9.5%)
    ・肢体:支給95.8%(1級20.6%、2級24.6%、3級49.6%、障害手当金1.1%)

外部障害では、支給の割合が96.0%と高くなっています。また、障害手当金は診断書ベースで392件のうち391件が外部障害で、とくに聴覚等(9.5%)や眼(6.1%)で割合が高くなっています。なお、1人の受給者が複数の診断書を使っている場合は、診断書ごとに件数が計上されています。

新規裁定で「非該当」となった割合は、障害基礎年金が13.1%、障害厚生年金が6.5%と差がみられました。障害厚生年金には基礎年金にはない「3級」があるため、初診日に加入していた年金制度によって認定される等級や結果が異なる場合があります。

5. まとめにかえて

今回は、2026年9月に発表された障害年金の最新統計と、加入制度による支給割合の違いについて解説しました。最新の令和7年度決定分では、支給件数がもっとも多かったのは「精神障害・知的障害」であり、全体の約7割から8割を占めました。また、初診日に会社員などが加入する障害厚生年金には「3級」があるため、内部障害などでも支給決定を受けやすいという制度上の違いが確認できました。

障害年金は、いざという時に私たちの生活を支えてくれる心強い制度ですが、自分から請求手続きを行わなければ受け取ることができません。障害者手帳がなくても請求できるため、「自分は対象外」と思い込まず、まずは制度を知っておくことが大切です。

受給要件や必要な書類は、初診日や加入状況などによって異なります。ご自身やご家族のケースについては、ねんきんダイヤルやお近くの年金事務所に相談してみるとよいでしょう。

なお、障害年金の審査については、日本年金機構が審査体制の見直しや、過去に不支給となった事案の点検を進めています。令和6年度以降の不支給事案の点検はすでに完了しており、点検した1万4841件のうち444件(約3.0%)が支給に改められました(令和8年3月31日現在)。取り組みの状況は、日本年金機構の特設ページ「障害年金の認定状況について」で随時公表されています。

参考資料

村岸 理美