2026年9月、日本年金機構より「障害年金業務統計(令和7年度決定分)」が公表されました。障害年金は、病気やケガによって生活や仕事に支障が出たときに支給されることのある大切な公的年金です。
いざという時のセーフティネットである障害年金について、最新のデータをもとに「どのような病気が対象になるのか」「支給割合の実態はどうなっているのか」を3つのポイントで詳しく解説します。
1. 【障害年金】どんな病気が対象?対象となる主な病気やケガとは
障害年金と聞くと、「手足が不自由になったときや、目が見えなくなったときにもらえるもの」というイメージを抱く方が多いかもしれません。しかし、政府広報オンラインによると、障害年金の対象となる「障がいの状態」には、視覚障害や聴覚障害、肢体不自由(手足の障害)だけでなく、長期療養が必要ながんや糖尿病、心疾患、呼吸器疾患などの「内部疾患」も含まれます。
さらには、統合失調症やうつ病などの「精神の障害」によって、仕事や日常生活に著しい制限を受ける状態も対象となります。
障害年金の請求に使う診断書は、障がいの種類に応じて次の8種類に分かれています。
- 精神の障害:精神障害・知的障害
- 内部障害:呼吸器疾患、循環器疾患、腎疾患・肝疾患・糖尿病、血液・造血器・その他
- 外部障害:眼、聴覚・鼻腔機能・平衡機能・そしゃく・嚥下機能・音声又は言語機能、肢体
ここで知っておきたい点として、「障害者手帳の有無は問われない」という点があります。障害者手帳を持っていなくても、年金制度独自の基準(保険料の納付要件や障害の状態など)を満たし、適切な手続きを行えば障害年金を受け取ることができます。「手帳がないから」とあきらめず、まずは要件を確認することが大切です。
2. 【障害年金】9月発表の最新統計「支給件数がもっとも多かった障がいとは?」
日本年金機構「障害年金業務統計(令和7年度決定分)」から、診断書の種類別の支給件数をみていきましょう。
2.1 【新規裁定】精神障害・知的障害が約7割
初めて請求して支給が決まった「新規裁定」の支給件数は、診断書ベースで13万2568件でした。
- 精神障害・知的障害:8万9725件(67.7%)
- 肢体:2万1707件(16.4%)
- 腎疾患・肝疾患・糖尿病:6596件(5.0%)
- 血液・造血器・その他:4319件(3.3%)
- 循環器疾患:3924件(3.0%)
- 聴覚等:2850件(2.1%)
- 眼:2773件(2.1%)
- 呼吸器疾患:674件(0.5%)
もっとも多かったのは「精神障害・知的障害」で、全体の67.7%と約7割を占めました。次いで「肢体」が16.4%、「腎疾患・肝疾患・糖尿病」が5.0%となっています。
2.2 【再認定】精神障害・知的障害が約8割
すでに受給している方が更新の審査を受けて支給が続いた「再認定」の支給件数は、診断書ベースで21万632件でした。
- 精神障害・知的障害:16万4763件(78.2%)
- 肢体:1万8342件(8.7%)
- 腎疾患・肝疾患・糖尿病:8886件(4.2%)
- 循環器疾患:5937件(2.8%)
- 血液・造血器・その他:4418件(2.1%)
- 眼:4374件(2.1%)
- 聴覚等:3291件(1.6%)
- 呼吸器疾患:621件(0.3%)
再認定でも「精神障害・知的障害」がもっとも多く、78.2%と約8割を占めています。新規裁定・再認定ともに、精神障害・知的障害の分野で多くの支給決定が行われていることが分かります。
※なお、1人の受給者が複数の診断書を使っている場合は、診断書ごとに件数が計上されているため、合計は実際の決定件数とは一致しません。