2026年8月から2027年2月にかけて、年金受給者のもとへ「公金受取口座登録の意向確認書」が簡易書留で順次送付されます。年金の振込口座を公金受取口座として登録することに同意するかを確認する書類です。

本記事では、公的年金の基本を確認したうえで、この意向確認書の対象となる方の条件、手続きの方法と注意点、そして世帯分離を検討する際に押さえておきたい点を整理します。

神田 翔平
簡易書留で年金関係の書類が届くと、詐欺ではないかと不安になる方がいらっしゃいます。この意向確認書は正式なものですが、窓口では対応していないという特徴があるため、確認先を知っておくことが大切です。まずはどのような制度なのかを確認するところから進めていきましょう。

1. 公的年金の基本を確認する

日本の年金制度は2階建て1/4

日本の年金制度は2階建て

出所:日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」をもとにLIMO編集部作成

日本の公的年金制度は、国内に住む20歳以上60歳未満のすべての人が加入する1階部分の「国民年金」と、会社員や公務員が上乗せして加入する2階部分の「厚生年金」からなる「2階建て構造」になっています。

2026年度(令和8年度)の年金額は、物価や賃金の上昇を反映し、国民年金が前年度比1.9%(※満額:1961年4月1日以前生まれは月額7万408円、4月2日以後生まれは月額7万608円)、厚生年金が2.0%の増額改定となりました。

4年連続のプラス改定であるものの、物価上昇のスピードには追いついておらず、実質的な購買力は目減りしているのが現状です。

実際の平均受給額(国民年金部分を含む)は全体で月額約15万円ですが、男女別に見ると男性が約17万円、女性が約11万円と、現役時代の働き方や性別によって受け取れる額には大きな差があるのが実態です。

こうした公的年金の基本的な仕組みや、額面から引かれる社会保険料・税金(天引き)のシビアな現実については、別記事『【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説』で詳しく解説しています。

すでに年金生活がスタートしている方はもちろん、シニア世代の親御さんがいるご家族、そして将来に備えたい現役世代の方まで、これからの暮らしと資産設計を考えるうえでの参考になれば幸いです。

2. 「公金受取口座登録の意向確認書」とは何か

公金受取口座登録法の改正に伴い、年金受給者の方へ「年金振込口座の情報をデジタル庁に提供し、公金受取口座として登録することに同意するか」を確認するための意向確認書が簡易書留で送付されます。

これにより、今後の給付金等を迅速かつ確実に受け取れるようになります。

2.1 私は届く?送付の対象となる方・対象外となる方

送付の対象となるのは、2026年4月15日時点で65歳以上(1961年4月16日以前生まれ)の年金を受給している方です。ただし、以下の要件に一つでも該当する場合は送付されません 。

  • すでに公金受取口座を登録している方 
  • 令和8年4月に年金が支払われなかった方(全額支給停止、振込不能など)
  • 国外に居住している方
  • 共済組合等から支給される年金のみを受給している方
  • 令和7年6月以降の年金請求手続きにおいて、公金受取口座への登録意思表示をした方 など

2.2 「公金受取口座登録の意向確認書」の手続き方法と注意点

意向確認書が届いた際の手続きは、公金受取口座への登録を「希望するか(同意)」「希望しないか(不同意)」によって異なります。

2.3 登録を希望する場合(同意)

  • 手続き: 不要です
  • 流れ: 何もせずそのままにしておくと、年金振込口座の情報(金融機関名・口座番号等)やマイナンバーが自動的にデジタル庁へ提供され、登録されます。後日、デジタル庁から登録結果通知が届きます。

2.4 登録を希望しない場合(不同意)

  • 手続き: 意向確認書の下部にある「公金受取口座登録不同意申出書」を切り離します。
  • 提出: 同封の目隠しシールを貼り、裏面の差出人欄を記入のうえ、記載された返送期限(目安)までに返送してください。

2.5 押さえておきたい3つの注意点

「45日」を過ぎると自動的に同意扱いになる

意向確認書を受け取ってから45日以内に不同意申出書の返送がない場合、登録に「同意」したものとみなされ、自動的に公金受取口座として登録されます。

不在等で受け取れなかった場合は登録されない

不在等により書類自体を受け取れなかった場合は「意向確認ができなかった」ものとして扱われ、口座が勝手に登録されることはありません。

不同意申出書を紛失した場合は「専用ダイヤル」へ

不同意申出書は再発行できません。ただし、任意の様式で提出できる場合があるため、紛失した際は速やかに「意向確認書照会専用フリーダイヤル」へ相談しましょう。

2.6 発送スケジュールと相談窓口

意向確認書は、2026年8月から2027年2月(予定)にかけて順次発送されます。

また、手続きに関するお問い合わせ窓口として、2026年8月4日から「意向確認書照会専用フリーダイヤル」が開設されます。

  • 意向確認書照会専用フリーダイヤル: 0120-74-0011
    ※フリーダイヤルが利用できない場合は 050-3524-7372
  • マイナンバー総合フリーダイヤル: 0120-95-0178

市区町村の窓口や年金事務所の窓口ではこの件に関する対応を行っていません。確認や相談は、必ず上記の専用フリーダイヤルへ行いましょう。