3. 月20万円以上は18.8%、8割超は月20万円未満

本章では、厚生年金(国民年金部分を含む)の受給額分布を見てみましょう。

厚生年金の受給額ごとの受給権者数3/3

厚生年金の受給額ごとの受給権者数

出所:厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

3.1 厚生年金:受給額ごとの人数

  • 1万円未満:4万3399人
  • 1万円以上~2万円未満:1万4137人
  • 2万円以上~3万円未満:3万5397人
  • 3万円以上~4万円未満:6万8210人
  • 4万円以上~5万円未満:7万6692人
  • 5万円以上~6万円未満:10万8447人
  • 6万円以上~7万円未満:31万5106人
  • 7万円以上~8万円未満:57万8950人
  • 8万円以上~9万円未満:80万2179人
  • 9万円以上~10万円未満:101万1457人
  • 10万円以上~11万円未満:111万2828人
  • 11万円以上~12万円未満:107万1485人
  • 12万円以上~13万円未満:97万9155人
  • 13万円以上~14万円未満:92万3506人
  • 14万円以上~15万円未満:92万9264人
  • 15万円以上~16万円未満:96万5035人
  • 16万円以上~17万円未満:100万1322人
  • 17万円以上~18万円未満:103万1951人
  • 18万円以上~19万円未満:102万6888人
  • 19万円以上~20万円未満:96万2615人
  • 20万円以上~21万円未満:85万3591人
  • 21万円以上~22万円未満:70万4633人
  • 22万円以上~23万円未満:52万3958人
  • 23万円以上~24万円未満:35万4人
  • 24万円以上~25万円未満:23万211人
  • 25万円以上~26万円未満:15万796人
  • 26万円以上~27万円未満:9万4667人
  • 27万円以上~28万円未満:5万5083人
  • 28万円以上~29万円未満:3万289人
  • 29万円以上~30万円未満:1万5158人
  • 30万円以上~:1万9283人

公的年金収入が「月額20万円以上」に達しているのは、厚生年金受給権者のうちわずか18.8%にとどまります。

8割以上の人がひと月20万円未満となっているのが実情です。年金収入は世帯単位で考える必要もありますが、公的年金だけで安定した生活を送るためには、自助努力による備えが欠かせません。

なお、この数字は、あくまで厚生年金を受給している人のなかでの割合です。国民年金のみを受給している方々も含めて全体を見渡すと、年金月額が「月額20万円以上」となる人の割合は、さらに低くなると考えられます。

4. 平均年収400万円・勤続38年なら、年金は月いくらになるか

分布を見てきたところで、逆の方向からも確かめておきます。現役時代にどれくらいの年収と加入期間があると、年金額はどのあたりに落ち着くのでしょうか。

ここでは、平均年収400万円で38年間(456カ月)厚生年金に加入し続けたケースを例に、老齢厚生年金の報酬比例部分を試算します。

  • 平均標準報酬額(賞与を含む月額換算):400万円÷12カ月=約33万3000円
  • 加入期間:38年(456カ月)

老齢厚生年金の報酬比例部分は、次の計算式(本来水準、2003年4月以後の加入期間分)で求められます。

  • 報酬比例部分(年額)=平均標準報酬額×5.481/1000×加入月数

この式に当てはめると、報酬比例部分は年額約83万3000円、月額に換算すると約6万9000円となります。

これに、老齢基礎年金の満額(月額7万608円、40年間の保険料納付を想定)を加えると、月額の合計はおよそ13万9000円です。

平均年収400万円・勤続38年という決して短くないキャリアであっても、月20万円にはもちろん、月15万円にもわずかに届かない計算になります。現役時代の賃金の推移や賞与の有無、加入期間の長さによって金額は変わりますが、8割以上が月20万円未満という分布の背景には、こうした計算の積み重ねがあります。

なお、この試算はあくまで一定の前提を置いた簡易的なものであり、実際の受給額は個々の加入履歴によって異なります。より正確な見込み額は、「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で確認しましょう。

5. まとめにかえて

今回は、公的年金のしくみと受給額の分布を確認してきました。

厚生年金の平均年金月額は15万289円、国民年金は5万9310円。国民年金は保険料が全員一律であるため個人差が小さく、満額でも2026年度は月7万608円です。この制度だけで年240万円、つまり月20万円に届くことはありません。

一方、厚生年金は報酬比例で決まるため、受給額に大きな個人差が生まれます。ただし月20万円以上を受け取っているのは18.8%にとどまり、8割以上は月20万円未満でした。

しかも、この割合は厚生年金の受給権者に限ったものです。国民年金のみを受給している人まで含めれば、月20万円以上の割合はさらに下がります。

現役時代の年収から逆算しても、この分布は裏づけられます。平均年収400万円で38年間厚生年金に加入したケースで試算すると、報酬比例部分は月額約6万9000円。老齢基礎年金の満額を足しても、月額の合計はおよそ13万9000円です。決して短くないキャリアであっても、月20万円には遠く及びません。

徳田 椋
この分布を踏まえると、公的年金だけで生活費をすべてまかなえる世帯は多くありません。まずは「ねんきん定期便」で将来の見込額を確認し、現在の1カ月の支出と比較してみましょう。ご夫婦であればお二人分を足して世帯で見ることでよりリアルなイメージを共有しておきましょう。世帯として月20万円を超えられるかどうかで、必要な準備の量はかなり変わってきます。

不足を埋める手段としては、NISAやiDeCoといった税制優遇制度の活用、家計の見直し、就労期間を延ばして厚生年金の加入期間を伸ばすことなどが挙げられます。

まずはご自身の見込額を確かめるところから始めてみてはいかがでしょうか。

参考資料

徳田 椋