日本銀行は2026年9月18日の金融政策決定会合で、政策金利を1.0%から1.25%へ引き上げました。1995年以来、約31年ぶりの高さです。
「変動金利で住宅ローンを組んでいる人への影響が大きい」と報じられていますが、住宅ローンが残っているのは現役世代だけではありません。60歳代・70歳代でも、借入を続けている世帯は一定数あります。
この記事では、今回の利上げの内容をおさらいしたうえで、60歳代・70歳代に残る住宅ローンへの影響を確認していきます。
1. 日銀の利上げをおさらい
まずは、今回の利上げの内容を確認します。
1.1 政策金利は1.0%から1.25%へ
日本銀行は2026年9月18日の金融政策決定会合で、政策金利(無担保コール翌日物レートの誘導目標)を0.25ポイント引き上げ、1.25%としました。2026年6月16日の会合で1.0%へ引き上げて以来、3カ月ぶりの追加利上げです。1.25%という水準は1995年以来、約31年ぶりの高さになります。
1.2 物価の上振れリスクを抑えるための利上げ
今回の利上げは、原油高や円安などを背景にした物価の上振れリスクを抑える狙いがあるとされています。2024年3月以降の利上げ局面のなかでも、今回は最短の間隔での追加利上げとなりました。
2. 60歳代・70歳代でも、住宅ローンが残る世帯がある
住宅ローンというと現役世代の話と思われがちですが、60歳代・70歳代でも返済を続けている世帯があります。
2.1 借入がある世帯は60歳代14.3%、70歳代6.7%
金融経済教育推進機構(J-FLEC)「家計の金融行動に関する世論調査(令和7年)」(二人以上世帯調査)によると、借入金がある世帯の割合は60歳代で14.3%、70歳代で6.7%です。年齢が上がるにつれて完済する世帯が増えるため、割合は下がっていきます。
2.2 借入が残る世帯の残高は、60歳代697万円・70歳代927万円
借入金がある世帯に限ってみると、住宅ローン残高の平均は60歳代で697万円(中央値300万円)、70歳代で927万円(中央値275万円)です。借入を完済した世帯が母数から外れるぶん、残っている世帯の残高は現役世代とそれほど変わらない水準になっています。
60歳代・70歳代でも、住宅ローンが残る世帯がある1/2
出所:金融経済教育推進機構(J-FLEC)「家計の金融行動に関する世論調査(令和7年)」二人以上世帯調査をもとにLIMO編集部作成
3. 変動金利で組んでいる人が多数派
住宅金融支援機構「住宅ローン利用者の実態調査結果(2026年1月調査)」によると、新規に住宅ローンを借りた人のうち75.0%が変動型を選んでいます。60歳代・70歳代が過去に組んだローンの金利タイプの内訳はこの調査からはわかりませんが、変動型は長年にわたって選ばれる割合が高いため、残っているローンの多くも変動型とみられます。
3.1 変動金利は「5年ルール」「1.25倍ルール」で緩やかに反映される
変動金利型の住宅ローンは、多くの金融機関で半年ごとに金利が見直されます。ただし、毎月の返済額自体は5年間変わらない「5年ルール」、5年後に見直す返済額も直前の1.25倍までしか増えない「1.25倍ルール」を設けている金融機関が多く、金利の上昇がすぐに返済額へ跳ね返るわけではありません。この仕組みの詳しい内容は、LIMOの記事「住宅ローン|金利3タイプと返済2方式、変動金利の5年ルールと1.25倍ルールで生じる未払利息」で解説しています。
4. 0.25ポイントの利上げで、返済額はどのくらい変わるか
とはいえ、金利が上がれば、いずれは返済額に反映されます。編集部で、今回の利上げ幅にあたる0.25ポイントの金利上昇が、60歳代・70歳代の平均残高にどう影響するかを試算しました。
4.1 元利均等・残り10〜20年で試算
元利均等返済で、残りの返済期間を10年〜20年と仮定して試算すると、金利が0.25ポイント上がった場合の毎月の返済額の増加は、60歳代の平均残高697万円で月750円〜790円程度、70歳代の平均残高927万円で月1000円〜1050円程度になります。残りの返済期間や借入先の金利水準によって変わる点には注意してください。
金利が0.25ポイント上がると、毎月の返済額はどう変わるか(編集部試算)2/2
出所:日本銀行、住宅金融支援機構、J-FLECの情報をもとにLIMO編集部が試算(元利均等・残り10〜20年)
4.2 60歳代・70歳代は、収入で吸収しにくい
現役世代であれば、昇給などで返済負担の増加をある程度吸収できます。一方、60歳代・70歳代は年金収入が中心になっている世帯も多く、返済額の増加をそのまま家計で受け止めることになりやすい点が現役世代と異なります。金額自体は月数百円〜千円程度でも、積み重なれば無視できない負担になります。