5. 「金利タイプを把握していない」現実

和田 直子

住宅ローンは返済が数十年におよぶため、長らく低金利が続くなかで「固定か変動か」「いつ金利が変わるのか」といった契約内容の記憶が曖昧になっている方は少なくありません。

特に60代・70代の方は、現役世代のように昇給で負担増を吸収することが難しいうえ、年齢や健康状態(団信加入条件等)の審査から「他社への借り換え」という選択肢が狭まるケースもあります。

金利のある世界へシフトした今、まずはご自身の「契約内容」と「金利の見直し時期」を正確に把握しておくことが、老後資金を守るための第一歩となります。

5.1 60歳代・70歳代は「借り換え」の選択肢も狭まる

現役世代であれば、金利上昇局面で固定金利への借り換えを検討する余地があります。しかし60歳代・70歳代になると、年齢や収入の審査基準から借り換え自体が難しくなることもあります。金利タイプを見直せる期間はかぎられているという前提で、早めに条件を確認しておくことをすすめています。

6. 60歳代・70歳代が今、確認しておきたいこと

最後に、今回の利上げを受けて確認しておきたい点を整理します。

6.1 自分のローンの金利タイプと見直し時期を確認する

まずは、契約している住宅ローンが変動型か固定型か、変動型であれば次の金利見直し・返済額見直しの時期がいつかを確認します。借入先の金融機関に問い合わせれば、現在の適用金利と次回見直し日を教えてもらえます。

6.2 団体信用生命保険の保障期間もあわせて確認する

団体信用生命保険(団信)は、多くの金融機関で満80歳の誕生月末まで保障が続きます。残りの返済期間と団信の保障期間を照らし合わせ、保障が切れる前に完済できるかどうかも、あわせて確認しておきたい点です。

6.3 一括返済・借り換えの前に、手元資金とのバランスを考える

退職金などでの一括返済は、返済負担を減らす選択肢の一つですが、手元の流動性が薄くなるというデメリットもあります。金利上昇による負担増と、一括返済によって失う流動性のどちらが大きいかを比べたうえで判断することをすすめます。

7. まとめ

日本銀行は2026年9月18日、政策金利を1.0%から1.25%に引き上げました。1995年以来、約31年ぶりの高水準です。

住宅ローンが残っているのは現役世代だけではありません。60歳代で14.3%、70歳代で6.7%の世帯に借入が残っており、平均残高はそれぞれ697万円・927万円です。金利が0.25ポイント上がった場合の返済額の増加は、編集部試算で月750円台〜1000円台程度ですが、年金収入が中心の世帯では、この増加をそのまま家計で受け止めることになりやすい点に注意が必要です。

まずは自分のローンの金利タイプと見直し時期を確認し、団信の保障期間、一括返済や借り換えの選択肢もあわせて検討してみてください。

参考資料

和田 直子