10月の年金支給から、振込額が変わる方がいます。しかもその理由は一つではありません。天引きされる金額が変わる場合と、年金額そのものが変わる場合があります。
本記事では、公的年金の2階建てのしくみを押さえたうえで、年代別の平均年金月額を一覧で確認し、10月に手取りが変わる理由と、その確かめ方を整理します。
1. 65歳以上で働く年金受給者が344万人「1年で21万人増えている」
年金を受け取りながら働く人は増えています。令和6年度末の在職者に係る老齢給付の受給状況は、次のとおりです。
- 老齢給付の受給者数:415万9000人(前年度比11万9000人増)
うち65歳以上の老齢厚生年金受給者:344万4000人(前年度比21万5000人増、6.7%増)
65歳以上の老齢厚生年金受給者数の推移を見ると、
- 令和2年度:276万人
- 令和3年度:285万3000人
- 令和4年度:306万8000人
- 令和5年度:322万9000人
- 令和6年度:344万4000人
となっており、4年間で68万4000人増加しています。なお、この資料でいう「在職者」には、厚生年金保険の被保険者のほか、適用事業所で働く70歳以上の人なども含まれます。また、在職老齢年金による年金の支給停止対象ではない人も、この数字に含まれています。
65歳以降も働きながら年金を受け取る人が、年々増えていることがわかります。
2. 10月に年金の「手取り額」が変わる2つの理由
ここからは、元公務員として国保や後期高齢担当だった頃に見てきたことをお話しします。
10月は、手取りが増える人と減る人が同時に生まれる月でした。
2.1 10月から11月は「振込額が減った」という相談が増えました
後期高齢担当として窓口に立っていた頃、秋になると問い合わせが目に見えて増えました。
「先月まではこの金額ではなかった」という相談が10月から11月に集中したのを覚えています。
話を伺うと、前年に退職金を受け取っていた方、土地や建物を売却した方が多くを占めていました。
一時的であっても所得が大きくなれば、その額をもとに保険料が計算されます。仮徴収の間は低い額のままだったものが、本徴収から一気に反映されるわけです。
保険料が急に引き上げられたわけではなく、年度の後半にまとめて調整されているだけということが、実際には少なくありませんでした。
2.2 通知書が届く時期と振込に反映される時期は3カ月ほどずれます
保険料の決定通知書が手元に届くのは6月から7月ごろです。一方で、年金からの天引きに反映されるのは10月の支給分からになります。
このずれが、相談につながりやすい一番の原因だったと感じています。
2.3 納めすぎた保険料は還付請求で戻ってきます
仮徴収の合計が年額を超えていた場合、その差額は過誤納金として扱われます。
このときは自治体から還付通知書と還付請求書が届きます。必要事項を記入して返送すると、1カ月から2カ月ほどで振り込まれます。
ほかに未納の保険料があるときは、還付ではなく充当に回ることもあります。この場合は請求書が同封されず、充当の通知だけが届く自治体もあります。
気をつけたいのが時効です。還付を請求できる期間は原則2年ですので、届いた封筒をそのままにしないようにしましょう。
取り扱いは自治体によって違いがありますので、届いた書類の内容に迷ったときは担当窓口に確認してみてください。
3. 10月の手取り額はどこで確かめられるか
振込額が気になったときに、何を見れば内訳がわかるのかを挙げていきます。
3.1 年金振込通知書で振込額と控除の内訳を見る
日本年金機構からは毎年6月に「年金振込通知書」が届きます。ここに年金額と控除される金額の内訳が記載されています。
年度の途中で振込額が変わる場合には、あらためて通知書が送られることがあります。郵便物は都度開封して確認しておきましょう。
3.2 自治体の保険料決定通知書で仮徴収と本徴収の額を照らす
国民健康保険料や後期高齢者医療保険料、介護保険料については、自治体から届く決定通知書に年額と各期の金額が載っています。
手元に見当たらない場合は、住んでいる自治体の担当窓口で内容を確認できます。計算のもとになった所得額についても、その場で説明を受けられます。
3.3 ねんきんネットで年金額そのものをたどる
額面や過去の支払記録については、日本年金機構のねんきんネットから見られます。
在職定時改定の対象になっている方は、改定後の金額がいくらになるのかを合わせて確かめておくとよいでしょう。
