5. 年金から天引きされる税金・社会保険料とは

年金額が一定以上(65歳以上で年額18万円以上など)の場合、次の項目が年金から直接天引き(特別徴収)されます。手取りは額面のおおむね80〜85%まで目減りします。

  1. 介護保険料: 65歳以上の全員が対象。市区町村によって金額が異なります。
  2. 国民健康保険料(または後期高齢者医療保険料): 75歳未満は国保、75歳以上は後期高齢者医療制度の保険料が引かれます。
  3. 所得税および復興特別所得税: 一定の控除額を超えた場合に課税されます。
  4. 個人住民税および森林環境税: 前年の所得に応じて課税されます。

早見表で見た「月額・額面」の金額から、これらが差し引かれた金額が実際の振込額になります。家計を組むときは、額面ではなくこの手取りをもとに考える必要があります。

6. 年金額を確実に増やす3つの方法

6.1 1.長く働き、70歳まで厚生年金に加入する

65歳以降も厚生年金に加入して働き続ける方法です。厚生年金は原則70歳まで加入でき、保険料を納めた分だけ老齢厚生年金(報酬比例部分)が増えます(上限あり)。

6.2 2.受給開始時期を遅らせる「繰下げ受給」

年金の受給開始は原則65歳ですが、66歳から75歳までの間で遅らせることができます。1カ月遅らせるごとに0.7%増額され、70歳まで遅らせれば42%、75歳まで遅らせれば最大84%の増額です。増額された年金は一生涯続きます。

ただし、繰下げ待機中の生活費をどう用意するか、また配偶者の加給年金が受け取れなくなる点まで含めて判断する必要があります。

6.3 3.国民年金の任意加入で満額に近づける

20歳から60歳までの間に未納期間や免除期間があり、国民年金が満額に届いていない場合、60歳から65歳になるまでの間に「任意加入制度」で保険料を追加して納めることができます。基礎年金の額を満額に近づける方法です。

7. まとめにかえて

今回は、年収別の年金受給額の目安と、実際の家計収支、そして年金からの天引きを確認してきました。

40年間の平均年収が400万円なら年金は月約14.4万円、700万円なら約19.9万円(いずれも額面)です。ここから介護保険料や医療保険料、所得税、住民税が引かれ、手取りは額面の80〜85%程度になります。

一方、65歳以上の無職世帯の支出は夫婦で29万6829円、単身で16万1435円。収入との差は夫婦で月4万2434円、単身で月2万9980円の赤字でした。

徳田 椋
将来資金の不足を解消するためにはいくつか対策があります。1つ目は長く働いて厚生年金の加入期間を延ばすこと。2つ目は繰下げ受給で年金そのものを増やすこと。3つ目は国民年金に未納期間がある方の任意加入です。この3つはいずれも公的制度の中で完結しますので、ご自身のライフプランも含めて検討してみましょう。そのうえで不足する部分を、NISAやiDeCoといった制度で補う。この順番で考えることで、今からどんな準備をしておけばいいか見通しを立てることができますよ。

繰下げ受給は増額率だけでなく、待機中の生活費や加給年金への影響まで含めて判断する必要があります。

まずはご自身の見込額を確かめ、手取りベースで生活費と並べるところから始めてみてはいかがでしょうか。

参考資料

徳田 椋