4. 足されるのは前年9月から当年8月までの期間

何が加わるのかを見ておきます。

4.1 1年分の加入期間が反映される

日本年金機構によると、年金額に反映されていない前年9月から当年8月までの厚生年金に加入していた期間を追加して、年金額の再計算が行われます。

つまり毎年1回、直近1年分がまとめて足されていきます。働き続けているかぎり、翌年もその次の年も見直しの機会があります。

4.2 退職した場合は別の改定になる

退職して1か月を経過したときは、退職した翌月分の年金額から見直されます。こちらは退職改定と呼ばれ、時期は人によって変わります。

在職定時改定が毎年決まった時期に行われるのに対し、退職改定はその方の事情に応じたタイミングです。どちらも「まだ反映されていない期間を足す」という点は同じで、区切り方が違います。

5. 【元銀行員の視点】増えた分は一度きりで終わらない

資産運用の相談を受けてきた立場から、見ておきたい点を挙げます。

5.1 増えた額はその後も続く

在職定時改定で増えるのは、月あたりで見ると大きな額にならないこともあります。ただし一度上がった年金額は、その後も受け取り続けるかぎり続きます。

働き続けていれば翌年も見直しの機会があります。単年の増加額だけでなく、この先何年受け取るのかとあわせて見ておきたいところです。

5.2 夫婦それぞれが対象になることもある

対象になるかどうかは一人ずつ判定されます。夫婦がどちらも65歳以上70歳未満で厚生年金に加入していれば、それぞれが見直しの対象です。

家計を世帯で見ている場合、片方だけを確認して終わりにすると全体像がつかめません。二人分の通知を並べて確かめておきましょう。

5.3 額面と振込額は分けて考える

年金からは介護保険料や医療保険の保険料が差し引かれる場合があります。年金額が見直されても、振込額が同じだけ増えるとはかぎりません。

家計の見通しを立てるときは、額面ではなく実際に振り込まれた額を基準にしたほうが確実です。通知書で内訳を確かめておきたいところです。

6. 確かめておきたいこと

自分がどうなるかを知る手順です。

6.1 9月1日時点の勤務状況を振り返る

対象になるかどうかは、9月1日に厚生年金の被保険者だったかで決まります。勤務先を通じて加入しているかどうかが分からない場合は、勤め先の担当部署で確認できます。

短時間勤務の場合は、加入の要件を満たしているかどうかが分かれ目になります。自分では判断しにくいところですので、書面で確かめておきましょう。

6.2 12月の振込通知書で確認する

改定後の額は、12月の支給に合わせて届く通知で確認できます。前回の振込額と見比べると、どれだけ動いたかが分かります。

見込額や個別の計算については、年金事務所や街角の年金相談センターで記録をもとに相談できます。判断に迷う点があれば、書類を持って問い合わせてみてください。

7. まとめにかえて

在職定時改定は、厚生年金に加入しながら老齢厚生年金を受けている65歳以上70歳未満の方が、基準日の9月1日に被保険者であるときに、10月分の年金額から見直される仕組みです。前年9月から当年8月までの加入期間が足されます。

令和8年4月末現在の平均年金月額は、老齢給付が15万7687円、障害給付が10万6939円、遺族給付が8万6780円でした。平均には同一の年金種別の基礎年金月額が含まれています。

年金からは保険料が差し引かれるため、額面の増え方と振込額の増え方は一致しないことがあります。自分の額はねんきん定期便で確かめ、分からない点は年金事務所に相談してみてください。

参考資料

和田 直子