9. 40歳代に多い「入っている保険や運用しているものの中身が自分でも分からない」というご相談。ファイナンシャルアドバイザー・神田 翔平が伝えたいこと

働きはじめてからの年数が長くなるほど、保険や運用しているものは少しずつ増えていきます。

加入したときには内容を理解していたはずでも、年数がたつと記憶があいまいになり、いま何がどうなっているのか自分でも説明できない、という状態になりやすいものです。

相談の場でも、金額の多い少ないではなく「中身が分からない」ことそのものが気がかりだという声をよくいただきます。

9.1 40歳代に多いお悩み相談は「入っている保険や運用しているものの中身が自分でも分からない」

40歳代のお客様
保険も、運用しているものも、いくつか持っています。ただ、今入っているものがそれぞれどういう内容なのか、自分でもよく分かっていません。手元にある書類を見ても、どこから読めばいいのか分からず、そのままにしています。自分の保険や投資の一覧のようなものがあればと思うのですが、何をどう書き出せばいいのか決めきれずにいます。

増えていく過程では、そのつど必要だと考えて選んできたものばかりです。

それでも、加入した時期も窓口もばらばらだと、全体としてどうなっているのかは見えにくくなります。

9.2 【ファイナンシャルアドバイザー・神田 翔平が回答】まず1枚に書き出す。見直すかどうかを決めるのはそのあと

神田 翔平

今まで、資産形成に向けて積極的に取り組んできた方ほど、手段が複数に分かれていることは珍しくありません。改めて振り返ってみると、何のためにこの商品に加入しているのか目的が曖昧になってしまうこともあるかと思います。

まずは、契約している商品がどこ経由なのか、いつスタートしたのか、毎月の積立額がいくらなのかで整理してみましょう。

それぞれの商品の特徴や目的については担当者に確認すると明確になることもあります。まずは、自分の商品をわかる部分だけで区分けしてあげることが、ご自身の状況をご自身の言葉で説明できる状態への近道になります。

9.3 まず「どこと契約しているか」「いつ始めたか」「毎月の支出の額」の3列から書き出す

最初から完璧な一覧を目指すと、手が止まってしまいます。

まずは紙でも表計算のファイルでもかまいませんので、1行に1つずつ、契約先はどこか、いつ始めたものか、毎月どれくらいの支出になっているか、という3つの列だけを書き出してみてください。

この3列は、手元の書類や口座の引き落とし履歴からたどりやすい項目です。埋まらないところは空欄のままで先に進みます。

書き出す作業そのものが、いま何を持っているかを自分で確かめる作業になります。

9.4 「いつ受け取れるか」「誰が受け取るか」の列を足すと、性格の違いが見えてくる

3列が並んだら、そこに受け取りに関する2列を足します。いつ受け取れるものなのか、そして誰が受け取るものなのか、という2点です。

ここを書き足すと、同じように毎月お金が出ていっていても、それぞれの役割が違うことが見えてきます。

受け取る時期が決まっているもの、条件を満たしたときに受け取るもの、自分ではなく家族が受け取るものが混ざっていることも少なくありません。

なお、運用しているものは値動きによって受け取れる額が変わり、元本を下回る場合もあります。額が確定しているのか、そのときの状況によって変わるのかも、この欄に書き添えておくと後で読み返しやすくなります。

また、保険は保障と一体の仕組みです。増え方の数字だけを取り出して運用のものと横に並べて比べないほうが、それぞれの役割を見誤らずにすみます。

9.5 埋まらない欄は、証券や通知書、契約先の窓口で確かめられる

空欄が残っても、そこで止まる必要はありません。

契約の内容は、加入時に受け取った証券や、定期的に届く通知書に書かれています。

まずは手元の書類を探し、それでも分からなければ、契約先の窓口に問い合わせれば内容を確認できます。「今どうなっているか教えてほしい」という聞き方で十分です。

見直すかどうかを決めるのはそのあとの話で、この段階では中身を確かめるだけにとどめておいて問題ありません。

なお、制度に関わるものは条件が改正されることもありますので、最新の内容は公的機関の情報や関連する窓口でご確認ください。

9.6 【試算】「毎月の支出の額」の列を埋めると、年間と10年でいくらになるか

3列のうち「毎月の支出の額」を合計すると、いま出ていっているお金の規模がつかみやすくなります。

月々の合計額ごとに、年間と10年分を並べてみます。

  • 月1万円の場合:年12万円/10年で120万円
  • 月3万円の場合:年36万円/10年で360万円
  • 月5万円の場合:年60万円/10年で600万円

1件ずつでは小さく見えても、合計して10年分に直すと数百万円規模になります。

書き出す作業に意味があるのは、この規模が自分の目で確認できるようになるからです。1ページ目で見た公的な給付と同じで、確かめないと目に入ってこない金額だといえます。

相談の場でも、一覧をつくったというだけで表情が変わる方は少なくありません。判断を急がなくても、見える形にすること自体に意味があります。

10. まとめにかえて

保険も運用しているものも、必要だと感じたそのときどきに選んできたものです。時間がたって内容が思い出せなくなるのは、めずらしいことではありません。

まずは契約先・開始時期・毎月の支出の額・受け取る時期・受け取る人という項目を1枚に並べてみてください。

埋まらない欄は証券や通知書、契約先の窓口で確かめる。そこまで進めば、見直しが必要かどうかを考える材料はそろいます。

何をどう扱うかはご家庭の状況によって変わりますので、判断に迷う場面では、個別の事情をふまえて専門家に相談することもご検討ください。

参考資料